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4つのメンバータイプとその活かし方(動画付き)

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はじめに

マネージャーとして、これまでたくさんの人の才能を活かせこともあれば、台無しにもしたこともありました。

台無しにする時は大抵、

・あの人はベンチャーらしくない
・あの人はロイヤリティが低い
・あの人は自分勝手だ

など、ぼんやりとした判断基準で、その人の特性を深く考えず、また成果よりも取り組み方を見て、ネガティブな評価を抱きながら接していたと思います。

ある時、重要な役割を担う信頼していたメンバーに、自分の才能を活かしたいから異動させてくれと言われました。その時の私は、

・また自分勝手なこと言って・・・見損なった

とやはり思い、ものすごくネガティブな気持ちになりました。

ですが、その人は普段から責任感が強くまじめで勤勉な方で成果も出していた方だったので、ただのわがままには思えず、言う通りにしてみました。
その才能は見事に開花し、会社にすごく良い成果をもたらしました

その時に気づきました。これまで自分が思う望ましい人物像のようなものがぼんやりとあり、それにフィットしていれば良い人財、フィットしていなければ良くない人財、と浅い判断を繰り返していたのだなと。

そして、フィットしない人財は辞めるか、あるいは無理に自分の才能を押し殺して日々過ごしていたのだなと気づきました。自分がメンバーにそうさせていて、そのせいでたくさんの才能を台無しにしてきたのだなと。

しかし当たり前ですが、人は多様です。ワンパターンの人財だけしか活かせないなんて、マネージャー失格です。

自社のバリューでスクリーニングしたところで、人はやはり多様です。

その時から、アサインに活かせるような人財のタイプ分けというのはどのようなものがあるのだろうかと考え、多くの観察や対話を行いました。

結果、4つのタイプに整理してました。
この4つのタイプに合わせ、アサインメントを工夫することでメンバーの才能は活きます。

そのタイプと活かし方をお伝えします。

メンバーにはタイプがある

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メンバーには上の図のような4つのタイプがあります。
軸は以下のように定義しました。

縦軸

#自立
- 自分の良いところ・課題を自分で認識。自己評価を重視にする

#他人評価依存
- 自分の良いところ・課題を他人からのフィードバックにより認識。他人評価を大事にする

横軸

#チーム目的志向
- チームの成功が自分の喜びと重なる

#自分目的志向
- チームの成功ではなく個人としての成功を重視する

この軸で分け、4つのタイプに分けました。4つのタイプとその活かし方を以下ご説明します。

パートナー(自立xチーム目的志向)

特徴

パートナータイプのメンバーは、客観的に自分を評価でき、かつチームの成功を自分の喜びとすることができるメンバーです。

このタイプのメンバーはマネージャーに向いている人財であり、次期マネージャー候補となります。

マネージャーは人の評価に関わる仕事を行う必要があります。自分で自分を客観的に評価できる人は、評価者としての素養が高いと言えます。
逆に、自分のことを客観的に評価できない人は、他人のこともまたうまく評価できないことが多いでしょう。
マネージャーには自分を客観的に評価できる能力が必要です。

加えて、チームを率いてチームの目標を達成させることがマネージャーの仕事ですので、チームの達成を自分の喜びに変えられるタイプがマネージャーには向いています。
このようにパートナータイプの人財は、タイプとしてマネージャーに向いているメンバーです。

パートナーメンバーの口癖

・自分の課題は●●だと思う
・達成したいですね~~!!
・うちの会社(チーム)はどうすべきなんだろ

活かし方

マネジメント業務のサポートにアサインするのが良いと思います。
チームのビジョン・戦略の策定、会議や合宿の運営、チームメンバーのケアなどのマネージャー業務を共に行ったり、一部任せたりするのが良いと思います。

有効なコミュニケーション

普段からチームの全体状況やマネージャーの頭の中を常に共有しておくことで、パートナーの才能が活かせます。

一匹狼(自立x自分目的志向)

特徴

一匹狼タイプのメンバーは、自分のことを客観的に認識した上で、自分がやるべきことを自分ではっきりと認識し、そこにまっすぐ向き合うことを望むメンバーです。

このタイプのメンバーは、ある領域に強い興味やこだわりを持っているがゆえに、知識やスキルに尖がりをもっている場合が多いです。
それは、他人に評価されることを特に望まない、その人が持つ強い志向性と尖りです。

もしまだ経験が浅いメンバーでスキルが伴ってなくとも、こだわりそのものは発見できるはずです。

一匹狼メンバーの口癖

・それは自分がやるべきではない、●●がやりたいです
・自分は●●なタイプです
・この会社(チーム)は●●だからね~

活かし方

このタイプのメンバーは、自分がやるべきだと考えていること以外の仕事ではフルパワーは出ません。

ですので、過度にチームで動くことを求めるとパフォーマンスが上がらないことが多いです。
このタイプは、できる限り一人、あるいは少人数で完結できて、かつこの人の強い興味・こだわりを満たせる業務にアサインすると才能が開花します。

有効なコミュニケーション

一匹狼メンバーの尖ったこだわりに耳を傾け、それを聞くことを楽しむことで、こだわりが理解でき最適なアサインができます。また、そうすることで一匹狼メンバーからの信頼も得られます。

傭兵(他人評価依存x自分目的志向)

特徴

傭兵タイプのメンバーは他人評価を重視し、その他人評価にしっかりミートさせることが自分の目的に直結する人になります。

このタイプのメンバーは、キャリア、報酬、役職等へのこだわりが強い方が多いです。
また、目標達成することで他人評価が伴う場合は、非常に強い目標達成意欲を持ちます

逆に自分への他人評価に直接的には跳ね返ってこない、チーム全体施策などへの貢献には消極的です。

傭兵タイプの口癖

・どうすれば評価されますか?
・グレードや給与の基準はどのようなものですか?
・●●さん(マネージャー)は自分のことをどう考えてるんだろ

活かし方

このタイプのメンバーは、目標と評価基準が明確な仕事が向いています。

達成すべき目標と、それを達成することでどう評価されるのか、何が得られるのかを明確にすることで、一気に目標達成へと向かいます。

逆にそれらが曖昧な仕事では、フルパワーは出ません。

有効なコミュニケーション

要望を明確な評価基準と共にストレートに伝えます。評価基準は数値で示せる場合は数値で示し、数値で示すことが難しい場合は「~~な状態」という風に、「状態」で締めくくるような文言で伝えます。

明確な評価基準とセットであれば、高い要望にもチャレンジしてくれ、その才能が活かせます。

ベンチャーマネージャーの教科書リニューアル 編集用

(参考:「ベンチャーマネージャーのマニュアル」にある「目標設定」より)

甘えん坊(他人評価依存xチーム目的志向)


特徴

甘えん坊タイプの人は他人評価を重視し、チームの成功を自分の喜びと捉えるタイプです。
このタイプの方は「チームに貢献したいんだけど自信が持てない」というタイプが多いです。

チームについて意見はたくさんあるものの、それを自分の主張として強くは押し出せず、客観的なアドバイザー的立ち位置になってしまうこともあります。

甘えん坊タイプの口癖

・うちのチームはもっとこうした方が良い「と思います」
・Aという意見もありまずが、Bという意見もありますよね
・●●さん(マネージャー)はチームのことをどう考えているんだろう?

活かし方

このタイプのメンバーには、成果が出やすくかつ他人に称賛されやすい業務にアサインすると良いと思います。

成果を出し、他人にも称賛されることで自信をつけてもらい、チームへの貢献を第三者ではなく当事者として、力強く推進してもらうことでその才能が開花します。

逆に成果を出せない期間が続き、チームの中での自分の居場所を感じられなくなり、せっかくのチーム貢献意欲が果たせないとなると、逆にチームのことを批判的に捉えるようになる傾向もあります

有効なコミュニケーション

たとえメンバーの説明や行動に少し疑問があったとしてもそれが致命的なものでなければそれは流すことが重要です。
確認をすればするほど、甘えん坊タイプは自信を失います。

致命的ではない気になり事には触れずに流したうえで「君なら大丈夫でしょう」と自信を与えるようなコミュニケーションを行うことで、メンバーは自信が持て才能を発揮することができます。

どのタイプが良いのか?

こう見るとなんとなくパートナータイプが良さそうと思われる方も多いかと思いますが、それはマネージャーが一番コントロールしやすいからではありませんか?
タイプはあくまで特性であり優劣はありません。
タイプ別に成果の発揮の仕方は異なり、全てのタイプのメンバーに大きな成果を残すチャンスはあります。

私は「パートナータイプ以外はだめだ」と勝手に決め込んでいたでしょう。

一匹狼タイプには「もっとチームへの取組に積極的になってほしい」
傭兵タイプには「目標や基準とかいちいちうるさいな」
甘えん坊タイプには「そんな客観的に言うんじゃなくてコミットしてほしい」
と思ってました。

パートナータイプ以外で僕と一緒に仕事をした人には、非常に申し訳ないことをしたなと思っています。

その人の特性を無理に自分の好みや偏見で矯正させようとするのではなく、その人の特性をどう活かすかを考えるべきでした。

タイプは変わる

その人の環境や年齢、役割が変わればタイプが変わることもあります。
たとえば私の場合だと、

新卒時代は「一匹狼」。自分がこういう人間だからこれをやるべしという尖った考えがあり、チームの施策にはあまり関与したくない。

DeNAに移り、心の底から上司や仲間が尊敬できる環境でチームへの貢献欲が出てくる。一方、ハイレベルな環境で自分はまだ自信が持てず「甘えん坊」

成果を出す中で徐々に自信が湧いてきて、「パートナー」

独立することで自分のwillを叶えたいという思いが強くなり「一匹狼」(現在)

ハウテレビジョンを辞めようと思ったのも、一匹狼になりつつある自分と取締役というパートナーであるべき自分の中でのGAPが出てきたからなのでしょう。

人にはどのタイプも多かれ少なかれ住んでいて、それが環境、年齢、役割などが変われば異なるタイプが現れてくるとも考えられます。

今この時は、その人はどのタイプなのか、見極めそれに適したアサインをすることが大事です。

さいごに

メンバーのことを優秀・優秀じゃないと判断する前に、自分はそのメンバーのタイプ・特性を活かせているのか?と自問し、活かすためにしっかり考えることこそマネージャーにとって重要な仕事だと思います。

人を活かせる名マネージャーを目指したいものですね。

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