自分より優秀な人を採用したら自分が危ない?
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※本ブログはベンチャーマネージャーコミュニティ「Emo」で投稿しているブログの転載です
はじめに
前職でCOOとして働いていた頃、面接で嬉しくも悲しい気持ちになったことがあります。
「あ〜、この人、自分より優秀だな」
「COOはこの人の方が適任だろうな」
と思う人に出会った時です。
普段はみんなに「自分より優秀な人を採用しましょう」と声を掛けておきながら、
いざそういうシーンに自分が出会った時、「終わった」と思いました。
せっかく今の仕事で成果を出せてきて良いキャリアを築けるかも知れないのに結局俺は浮かばれないのかよと残念な気持ちになったのが正直なところです。
結局自分のことしか考えていない器の小さな自分にもがっかりしましたが、それ以上に自分の安住の地が脅かされる恐怖を味わった体験でもありました。
その段階では私しか面接していないので嘘の面接評価をあげて落とすこともできましたが、さすがに自分の中の正義感がそれを許さず社長とCFOに「COO候補」として面接に上げました。
面接の結果、社長とCFOは「いやいや全然長村さんの方が上でしょ」となり、候補者の方はCOOでないならとお断りされました。
正直ホッとしたのですが、この時の私は何かが決定的にズレてます。
前置きが長くなりましたが今日はこの件について書きたいと思います。
自分より優秀な人を採用するのが恐怖である事実
これはいうまでもないですが、自分がその会社の発展を願うなら、自分より優秀な人を採用するのは当たり前でしょう。
雇われCOOで所詮は自分のキャリアしか考えていない私にとっては恐怖体験でしかありませんでしたが、自分が本当にその会社の発展を願うなら喜んでいたはずです。
しかし、自分がオーナーなわけでもない、自分にはまだまだ将来他にやりたいことがある、という人に、自分のキャリアを奪うような人を採用できる勇気があるでしょうか?
自分より優秀な人を採用せよというのは頭ではわかるものの、体がついてこないのもまた事実なのではないでしょうか。
違う、自分より優秀な人を「活かす」ことが仕事だ
その後、会社がどんどん成長し、その過程で社員のみなさんが大活躍されていました。
その大活躍1つ1つ見て、「これ、自分じゃ無理だな」と思うことはたくさんありました。
正直それまで「良い仕事だ、しかし自分でもできる」と思ってばかりいたので、この大活躍には圧倒されました。
「なんだ、ある面においては自分より全然優秀な人だらけじゃないか」
と思いました。あの時の面接の時にこう考えればよかったのですね。
「ぜひうちの会社に来て欲しい。あなたが大活躍できるようサポートします」
こう考えると楽だったと思います。その人を活かすことが仕事なのですから、思い切りその才能を発揮していただけるよう支援することが役割だと割り切ればこんなに楽なことはなかったと思います。
さて、それで良いでしょうか?
あの時に感じた「この人は自分よリもCOOとして最適なのではないか」という感覚を思い出してみることにします。
・・・・・・・・う〜ん、まあその人が大活躍できるよう支援する、というのは結論の大事な要素ではある感じはします。
しかし、活かした結果、大活躍してCOOチェンジとなっても私は自分の気持ちを整理できるのでしょうか?
活かして勝負しろ、意地でも離すな
結局、前職ではCOOのポジションを脅かされる経験は上記でご紹介した人以外には現れませんでした。
そして前職を卒業してフリーランスをしていた頃、ある会社の社長から「ちょっとうちのCOOとメシに行って色々と指導してくれないか?」と言われたので、行くことにしました。
そのCOOが「自分よりも優秀なCOO候補が来たらその人といつでもチェンジしますよ」と言ってました。
まあ話はわかる。綺麗な話だ。でもちょっと待て、COOやりたいんだろ?なんでそんなに簡単に負けを認めるのか?なんで負けることが前提なのか?
その時思わずこう言いました。
「自分よりすごい人を採用したら、勝負しましょう。やりたいなら簡単に離すな、意地でも離すな」
自分がやりたいポジションの適任者と思われる人は大歓迎して、その上で正々堂々勝負して、意地でも負けないよう努力する、こうすることがその人にとっても会社にとっても幸せだなと思ったので出た発言でした。
「あ〜こういう感じね」
と少し成仏できた感じがします。でもまだ完全には成仏できない最後のパートがありました。それは、今のEVeMの仕事を通じて気づいたことになります。
ポジションにしがみつくな、自分を活かせ
そもそも優秀ってなんだという話です。自分よりCOOが「適任」だとして、自分より「すごい」わけではありません。自分だってその人だって誰だって「すごい」のです。
そして、その適任者がCOOとして「偉く」なり、私が「偉くなくなる」わけではありません。
会社に偉いも偉くないもなくて、単なるその時の最適なロールを演じる、演劇にすぎません。外に出ればCOOと名乗る人なんてごまんといるわけで、COOというポジション自体に価値があるわけではありません。
適任者が入ったとして、その人が本当に適任だなと思った時、自分はその会社で何をするのが一番自分が輝いて、どう会社に貢献できるのか?考えることはできるでしょう。
会社のためでも何でもないです、自分のためです。
ポジションが奪われる、とか、自分が落ちる、とかそういう感覚自体が古いよなと感じます。
やりたい仕事は意地でも離さないというのは大事です。自分がやりたいなら自分が最も適任であるよう努力してそのポジションで求められる能力を磨き続けることが大事です。
簡単に渡すなんて、あり得ません。簡単に渡す人なんて成長できないです。
ただ、その結果相手が適任者であれば、それを渡したところで自分が貶められるわけではありません。
自分が最も適任であると言える仕事を探して、そこで輝くのみです。COOにしがみつくのが私の勝負ではなく、私が最も適任であると胸を張れる場所で仕事をすることが私の勝負なのです。
まとめ
ちょっと長くなってしまいましたが、まとめです。
・自分より適任だと思える人がいれば躊躇なく採用しましょう
・その人が大活躍できるよう支援しましょう。
・その上で、どっちが適任か、正々堂々勝負しましょう。会社のためにも、自分のためにも
・簡単に負けは認めない、最後の1秒まで自分の能力を磨き続けて、自分が適任だと言わしめるよう、勝ちにこだわりましょう。
・勝負をやりきった結果、自分が適任者ではないと判断すれば、渡しましょう。
・そして、また勝負しましょう。その勝負のテーマは「自分は最も適任だと胸を張れる仕事をする」ことです。
1つの会社の中のポジションにしがみつく人生なんて勿体無いし、それをキャリアアップとは言いません。自分が最も適任だと胸を張れる仕事をすることこそがキャリアアップと言うのでしょう。
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