コロナショックとリーマンショック 東京の不動産価格について考える
この原稿を執筆している2020年3月末現在、中国発のコロナウイルスによる感染者数は世界で70万人、死者が3万4千人となり世界的なパンデミック状況になっています。
日本でも、東京圏、大阪圏などの大都市を中心に感染者数が日増しに増加しており、都市のロックダウンの現実化一歩手前という状況となっています。
今回のコロナショックは、リーマンショック並み、更にリーマンショックを超える経済への打撃を与えると予想する向きも出始めており、先行きの不透明感が漂っています。
今回の記事では、経済ショックと不動産価格の相関について、過去のリーマン前後の地価推移を見ることによって、今後どのように不動産価格が推移していくかを予想していきたいと思います。
ここに2つのグラフがあります。
上のグラフは、地価公示の【住宅地】及び【商業地】の地価変動率の推移であり、2008年1月1日時点から2020年1月1日時点までの各年の前年対比の地価変動率をプロットしたものです。
比較対象としては、全国⇒東京圏⇒東京23区⇒都心5区⇒都心3区を採用し、全国平均データから東京の都心部にスコープを絞っていったものです。
私自身、不動産鑑定士でありながら地価公示については、実態を的確に反映していない派(※)でありますが、一定のトレンド把握には有用なデータであると考えます。
※不動産鑑定の世界では、公示価格等を規準として、、、鑑定評価を行わなければならないとありますので逸脱はダメです笑
このトレンドから言えることは、次の通りです。
【東京都心の不動産価格について】
①リーマンショック前まではファンドバブルの影響もあり都心の不動産価格が2ケタ成長していた。
②そしてリーマンショックで、上昇率が高かった都心から総崩れとなり上昇が激しかった地域の地価下落の幅が大きかった。
③その後の回復は都心が牽引し、特に2012年以降のアベクロ政策により加速していった。
④2020年1月1日時点の地価公示は、近年最高水準の上昇となった。
そして、コロナショック後は?
【住宅地と商業地について】
①住宅地より商業地のほうが価格変動が激しい。
②感覚的には、住宅価格が10%下落という局面では、商業地価格は15%下落していた。
③逆に、不動産市況の回復期は、商業地が上昇をけん引してきた。
つまり、商業地は価格変動リスク(ボラティリティ)が高く、住宅地は低いという傾向がはっきりと観察された。
【今後の予測】
短期予測
現時点では変数が多すぎるので、はっきりと予測するのは困難でありますが、あくまで感覚による私的な予測をしてみたいと思います。
短期的に見れば、コロナショックによる不動産価格の大幅な調整は避けられないものと考えます。リーマンショック時の地価の2ケタ下落ぐらいは当然に起こるものと覚悟したほうがいいと考えます。
一方で、このコロナショックが超短期で収束すると再び爆騰の可能性も否定できません。それは、このコロナショックで金融緩和のアクセルを更に踏んでおり、市場にはカネがジャブジャブの状況にあるからです。
ただし、この超短期で収束するシナリオより、長期化するシナリオのほうが可能性が高いような気がします。
長期予測
次に長期トレンドで見ると、やはり東京にカネが戻ってくると私自身は強く確信しています。
それは、人口予想で見れば、東京都心は当面は人口が増え続けるからです。
人口学者によると人口予測ほど、当たる予測はないらしいです。
人口は、所得や雇用、消費の裏返しです。
人口があるということは、人が生活して、オフィスでは働いて、店舗で消費するということです。
リモートワーク、バーチャルショップが増えようが、それは世界的な潮流なので、相対的に東京の地価だけにマイナスのインパクトを持つとは考えにくいです。
これにより、10年、20年スパンで見た際の東京の不動産価格は安定的に推移すると考えます。
ということは、不動産投資家としては、このコロナショックで市場がオーバーシュートした際は、絶好の買い時が来るということであるとです。
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