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晴れの日も雨の日も#208 【創作SS タケおじシリーズvol.4】たかいたか〜い

「おじいちゃん、たかいたかいして〜」
「よっしゃ。ほりゃ、たかいたか〜い」
「キャッキャ。
 次は上に放り投げて」
「ようし、いくぞ〜どりゃ〜!」
「ウワーイウワーイ!
 今度は、お馬さんパカパカ!」
「はいどうはいどう。お部屋を一周じゃ」
「ほな次はかくれんぼしよ!」
「ちょっと待て、タケシ。
 じいちゃんちょっと疲れた。
 今度はパパに遊んでもらえ」
「え〜、パパぁ。。
 おじいちゃんがええんやけどなあ。。。」

そこにやってきたタケシのパパ。

「なんやタケシ、その言い方は。
 パパのどこがあかんねん」
「だって、パパはボクの言うことに
 すぐケチつけるもん」
「確かにじいちゃんはなんでも
 「はいはい」やからなあ。
 でも、それって、じいちゃんはタケシのことを
 そのまま全面的に受け入れてるいうことか。
 そりゃ、なかなかスゴイことやなあ。
 ところでタケシはじいちゃんと何して遊ぶのが
 一番好きや?」
「うーんとね、
 あの上に放り投げてもらうヤツ!」
「そうか。あれか。あれのどこが好きなんや?」
「じいちゃんの手が離れて空中におる時は、
 ウワーってなるし、受け止めてもらって
 目と目があったら、ブワッと安心感が広がって
 身体が緩むねん」
「なるほど〜。いわゆる心理的安全性やな」
「パパ、何を難しいこと言うてんの?」
「いやいや、こっちの話。
 そうか、この遊びはさっき気がついた
 「全面的に受け入れる」っていうのを一番形に
 表してるんかもしれんなあ」

おじいちゃんは寝転がって、タケシに腰を踏んでもらいながらそんな様子を見ていた。

「ま、少しは気がついたようじゃが、
 そんな手垢の付いた小難しい言葉を使っている
 ようではまだまだじゃな」
「おじいちゃん、もう元気になった?
 また続きやろうよ」
「うーん、まだまだ。もう少し。。。

 zzz

いつしかおじいちゃんは気持ちよさそうに寝入っていた。
それを見たパパがタケシに声をかけた。

「おじいちゃん寝てしもたな。
 パパとお散歩行こか」
「え〜、お散歩。。。
 そんなんあんまりオモロないなー」
「そう言うなや。アイス買ったるから」
「アイス?♬。ほんなら行くわ」

狸寝入りをしていたおじいちゃん。薄目を開けてこう呟いた。
「ふふん。アイスで釣りよったか。まだまだじゃのう」

おじいちゃん、アンタの時代はまだ終わっちゃいない。

名も知らない(しらべろ)道端の花。朝散歩の目を楽しませてくれる。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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本メルアドは皆様の「心のゴミ箱」でもあります。グチ、やり場のない思いやイライラ、悩みなどもどうぞお気軽にお寄せ下さい。しっかり受け止めます。「心のオアシス」を感じて頂ければ誠に幸甚です

<予定(但し、臨時差し替え頻発😂)>
#209 野良
#210 【創作会話】心のヒダヒダとか一体感とか
#211 しかない思考癖・ねばならない症候群・べき人間

(つづく)


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