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【25歳までに読むべき本】ストーリーとしての競争戦略

おすすめ読者

・会社経営に関わりたい
・マーケティングに関心がある
・具体的にやりたいことが見つからない

誰が書いているのか?

楠木建(くすのき・けん)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。

戦略の神髄は、思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある。多くの事例をもとに「ストーリー」という視点から究極の競争優位をもたらす論理を解明。

何を書いているのか?

前半は戦略にストーリーが必要な理由と、優れたストーリーを成立させる3つの要素「ゴール」「コンセプト」「クリティカルコア」の説明。
後半をそれらの理解をさらに深めるために、具体例が並べられる。

筆者自身が記述している通り、かなりのボリュームがある。
ただし、無駄な記述はほぼない。優れた戦略を一気に、しかも他業種に渡り解説してくれるので、そのボリュームも納得だ。

経営戦略やマーケティングなど上流の思考を身に付けられるだけでなく、「企業が社会に対して与えられる価値」を丁寧に説明してくれるので、現時点で「やりたいことが明確に見つけられていない人」にとっては補助線の役割を担ってくれる

要点

戦略には優れたストーリーが必要。そして、そのストーリーを成立させるには3つの要素「ゴール」「コンセプト」「クリティカルコア」が重要

特に「クリティカルコア」の考えは面白い。
「真似できないから、普通の本では触れないクリティカルコアを扱う」ということ自体が、この本のクリティカルコアになっているという構造。

どのようにして利益を生むか → ゴール
どんな価値を顧客に提供するか → コンセプト
なぜ他社はその戦略を真似できないか → クリティカルコア

◼️ゴール: ※この3つしかない
低コスト = トヨタ
価値向上(WPS) = BMW・スタバ
ニッチ化 = フェラーリ
◼️コンセプト:顧客に対する提供価値の本質 
・「誰に」「何を」提供するのか
・誰に嫌われるのかを明確にすることが重要
・人間の本性を捉えるものである
・価値中立的な言葉で表現するべき(肯定的な形容詞はNG)

例)
・スタバ「第三の場所」
・サウスウエスト航空「空飛ぶバス」
・ガリバー「買取専門」
・ホットペッパー「狭域情報誌」=「生活圏内の事業者と消費者」に「生活情報の提供による消費マッチング」
・ブックオフ「捨てない人」に「リユース生活のインフラ」
・ベネッセ「子供を含めた家族のコミュニティ」に「学習を促進するコミュニケーション」
・アマゾン「人々の購入決断のサポート」
・楽天「エンターティメントとしてのショッピング」
・デル「ダイレクトモデル」
◼️クリティカルコア
=構成要素をまとめる重要要素(キラーパス)で、競合との競争優位となる

<条件>
①複数の構成要素をまとめる
②その要素だけでは一見「非合理」である(他と連動して全体としてみたときに「合理的」になる)
=賢者の盲点


例)
・マブチモーター「標準化」
・スタバ「直営方式」
 →フランチャイズではコンセプトが実現されない
 (店長の判断で売上優先で回転率を上げる、などコントロールが効かなくなる)
・デル「自社工場での組み立て」
・ガリバー「買取専門」
・サウスウエスト航空「ハブ空港を使わない」
・アマゾン「物流センターとそのための情報技術」

成功している企業には上記が揃っている。逆に(特にクリティカルコアが)欠けている場合、別の企業にイノベーションを起こされる可能性があると言える。

そしてストーリーを考えるヒントとして

◼️骨法
1. エンディングから考える(ゴールとコンセプト)
2.「普通の人々」の本性を直視する
3.悲観主義で論理を詰める
4.物事が起こる順序にこだわる
5.過去から未来を構想する
6.失敗を避けようとしない(成功と失敗の境界条件をいくつか設定する)
7.「賢者の盲点」をつく
8.競合他社に対してオープンに構える
9.抽象化で本質を掴む
10.思わず人に話したくなる話をする


「大学教授が書いた本だから、実践的じゃない」
「厚すぎる」

と敬遠している方がいたら、それはもったいない。
僕の中でこの本は人生で何度も読み返す1冊になっている。


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