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『アンベードカル博士生誕祭ONLINE』

 去る4月14日、日本で暮らす現代インド仏教徒による『第129回アンベードカル博士生誕祭オンライン』が開かれました。言うまでもありませんが、今年は新型コロナウイルスの世界的な蔓延を受け、スカイプを活用しての開催となりました。
折しもこの日はインド政府が当初予定していたロックダウン(公共封鎖)の期限でしたが、同日現地時間午前10時、インド首相ナレーンドラ・モーディー氏はメディアを通じ、
「5月3日までロックダウンを延長します」
と発表。スピーチの冒頭、モーディー首相は「今日という日はアンベードカル博士の生誕記念日でもあります」と言いましたが、そもそも彼はカシミール問題に関し、アンベードカル博士が起草したインド憲法に〝初めて手を入れた〟首相なのですから、考えてみれば何ともおかしな話です。
ましてや、最初のロックダウン実施の際にはヒンドゥー神話『ラーマーヤナ』に記された「ラクシュマン・レカー(結界)」をSocial Distancingのために引用しました。これは、憲法に定められた『世俗国家インド』の大原則に反しています。
 そんな中、ふるさとを遠く離れ、アジアの東端で生活する改宗仏教徒たちは、おのおの #StayHome を守りながら、ネットを通じて
「विश्व रत्न बोधिसत्व डॉ बाबा साहेब अम्बेडकर (ヴィシュワ・ラトナ、ボーディサットヴァ、ドクタル・バーバー・サーヘブ、アンベードカル。世界の宝、菩薩、聖者アンベードカル博士)」
の生誕をお祝いしました。
この日に行なった私の法話(ヒンディー語)を要約すると、以下のような内容になります。

 如来無上等正覚、そして菩薩聖者アンベードカル博士に帰依し奉る。
今日は第129回ビームラーオ・ラームジー・アンベードカル生誕祭ですね。共にお祝いしましょう。
さて、皆さんもよくご存知のように、今や新型コロナウイルスが世界中に広がっています。ウイルスは、誰にでも感染します。しかし、社会的な弱者がもっとも苦しめられます。
そんな時、モーディーさんは「ラクシュマン・レカー(結界)」と言いました。つまり〝線を引け〟ということですね。
その線が隔てるのは、シーター姫と魔王ラーヴァナ、浄と穢、そしてヒンドゥー教とそれ以外の宗教でしょう。
三月末、首都デリーで開かれたイスラム教の集会「タブリギ・ジャマート」においてコロナの集団感染が起こり、ホットスポット化したことをきっかけとして、ヒンドゥー教至上主義者による他宗教へのヘイトクライムも発生しています。
これは、明らかに道を踏み外した振る舞いです。私たちが〝線を引く〟べきところは、知性と迷信・正義と不正義・寛容と不寛容、その間です。
 最後になりますが、皆さん、忘れちゃダメですよ。
うがい、手洗い、そして正法(サッダンマ)をね。ジャイ・ビーム!

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※ 今回のこの取り組みは、インドの仏教系ニュース・チャンネル「आवाज़ INDIA(インドの声)」でも大きく紹介されました。

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