見出し画像

教育学部鈴木ゼミの夢サンド誕生秘話 vol.02 〜民間企業とコラボして小学生の案を実現〜


2021年、長崎大学教育学部の鈴木ゼミ3年生3人(廣瀬翠さん、岩本菜那さん、植田優貴音さん)が、小学校と地元企業との掛橋となり、小学生が考えたサンドイッチを商品化するお手伝いをする物語です。3回に分けてお届けします。

vol.01はこちら(Click)からご覧ください。

画像18

全校生徒から寄せられた夢サンド原案は69枚。

2021年7月7日、鈴木ゼミの3人は大村市の人気農業交流拠点施設「おおむら夢ファームシュシュ」に来ていました。一緒に「夢サンド」のロゴを考えているのは同社の山口成美社長。創業から22年、大村市の食材を生かして様々な商品を生み出してきた方です。

山口社長は「長崎大学教育学部の鈴木慶子教授から連絡を受けたのは今年の3月です。ゼミ生3人と小学生とで考えたサンドイッチをコラボレートで商品化できないかとの提案を聞いた時は、面白い!と思いました」と話します。

画像7

「感染対策のために多くのイベントがなくなり、子どもたちは思い出作りができずに淋しい思いをしています。そんな中で同企画は、様々な方向に夢を与えられると直感して、ぜひ実現させましょうと答えました」。

画像2

萱瀬小学校から届いたサンドイッチの原案は69枚! 6年生だけではなく、全校生徒が描いてくれていました。キャラクターがデコレートされているサンドイッチ、お肉や野菜が詰まったボリューム満点サンドイッチ、フルーツてんこ盛りのスイーツサンドイッチなどなど、3人と山口社長、シュシュのスタッフとでアイディアの全てに隈なく目を通しました。

画像11

「子どもが夢見ているものを実際に作ることが大人の仕事です。アイディアを拝見しているとどれも実現可能。ただ、イチジクは真夏、イチゴは冬、と食材には全て旬があるので、季節に合った食材を使い一年かけて夢サンドを作り続けていきましょう」と山口社長。児童から寄せられた原案をできるだけ多く実現したいと思っていた3人は、山口社長の心強い提案の元、初夏に実現できるサンドイッチを選びました。

実際に作って理解した「作り手の気持ち」と「コスト感覚」

また、3人は山口社長のご好意で、フルーツサンド作りを体験させていただきました。扱うフルーツはブルーベリー、バナナ、メロンなど大村産のフルーツと、山口社長のネットワークで安く手に入る沖縄産マンゴーです。

岩本さんが扱っているのはなんと大村産のバナナ。「輸入バナナは緑色のまま収穫・出荷されますが、こちらのバナナは完熟直前に収穫しているので本当に甘いんだそうです」。

味見するのが楽しみですね。

画像8

廣瀬さんはメロンをクッキー型を使って花型や星型にカット。その断面部分を真ん中に向けて置くことで、カットした時にメロンの形がキュートに見えます。

画像2

画像3

植田さんは宮崎産のマンゴーをカットしています。単価が高額のマンゴーはより効率的に使いたいもの。山口社長から正確に重さを測るよう指示されました。

画像4

「マンゴーひとつの重さが117g、その内、皮や種が45g、実が72gです」。

すると山口社長が効率的に使うための歩留まり率について教えてくださいました。「このマンゴーの場合、利用できる部分は61%です。この割合を歩留まりと言います。歩留まり率が高いほどコスト面でのロスが少なく、良品ということになる。製造の際には商品の良し悪しにも、厳しく目を止めていく必要がありです」。

教室では学べない民間企業の現場ならではのコスト感覚です。その後、社員が作ったサンドイッチも見学しました。

画像6

「ブルーベリーのサンドイッチは、普通のホイップクリームとブルーベリージャムを混ぜた紫色のホイップクリームを作ってみたけどどっちがいい?」との山口社長からの質問に、3人は揃ってジャム入りサンドイッチ。少しの工夫で商品のイメージが格段に良くなることを学びました。

画像6

「販売まではスピーディに進めていきますが、構想は最後まで粘って粘って良い商品を作りますよ。私が商品開発で一番大事に思っていることは“遊び心”。小さな気づきでも大事に取り上げて、反映させながら商品を開発します」と山口社長。

確かに萱瀬小学校から原案を受け取って内容確認、商品開発、販売までわずか2週間です。3人もそのスピーディな展開に着いていっています。

画像16

完成した手作りサンドがこちら。実食してみました。どれも本当に美味しい中、3人が目を見張ったのはやはり”大村産バナナ”の甘さでした。一番美味しい状態で収穫することができる「地産地消」の良さをバナナの味で実感することができました。

画像17

”生徒の夢”と”作り手の想い”を伝える手作りポップ

フルーツサンド体験から3日後の7月10日(土)、夢サンドの販売がおおむら夢ファームシュシュでスタートしました。この日、鈴木ゼミ生3人はポップやポスターなどの商材を作って売り場に飾りました。69人分の「児童の夢」と食材やサンドイッチを作った「作り手の思い」を買ってくれる人に伝えたいと思ったからです。

画像11

夢サンドのショーケース、よくよく見てください。

画像12

画像13

児童たちのイラストをそのままポスターにしています。

画像14

ポップにも原案になっている児童のイラストを加えています。

画像15

「萱瀬小学校の子どもたちが遊びに来てくれて、自分たちのアイディアが形になったのを見て、とても嬉しそうでした。そしてお客さんが手に取っていく様子も見ることができ安心しました。売れ行き好調です!」

画像18

順調な走りだしをすることができた「夢サンド」。萱瀬小学校の児童たちのアイディアを元に、季節ごとにラインナップは変わる予定です。おおむら夢ファームシュシュの人気商品の一つになりそうですね。

次回のvol.03は最終回。夢サンドのミッションでゼミ生たちに何を学んで欲しかったのかを、鈴木慶子教授に伺います。

vol.03は下記からご覧ください。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?