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トド猟師

 テレビでトド猟師のことがやっていた。
 その人は80代で、ひとりで船に乗って、銃でトドを撃つ。
 トドは、漁で仕かけた網を破り、中の魚を食べてしまう。損害は年間1億円以上。
 できるだけトドが苦しまないように、海面にひょこっと出るタイミングを見計らい、頭を撃ち抜く。
 その人は、末期の肺がんと診断されても、手術をしない。手術をすれば体力が落ち、海に出れなくなる。海が好きで、海にどうしても出ていたい。
 仕留めたトドは、すぐにさばいて、地域の人に配る。トドをさばくのは4時間かかる。肉を受け取った人たちは、みんな笑顔で帰っていく。
 その人は、仕留めたトドの体の中に胎児がいたら、それを剥製にする。トドの中にいた赤ん坊は、漁の網を食いちぎったわけではない。剥製を取り出し、撫でて手入れをする。
 トドは、11月に、ロシアの海からやってくる。
 人間が魚をとりすぎて、お腹が空いたトドは、漁の網を食いちぎるしかない。
 漁師は、魚がとれなければ生活ができない。

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