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カルチャー俳句通信

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担当している㈱カルチャー俳句講座の生徒さんへのコーナー☆講座感想や作句ポイントなど。
運営しているクリエイター

#本紹介

十七音の包容力と瑞々しさ:黒岩徳将句集『渦』

煌めきながら切ない、この十七音たちは、この感覚は何なのだろう。 本句集を読み終えての第一…

あんこ
7日前
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まどやかな祝福:阪西敦子句集『金魚』

金魚揺れべつの金魚の現れし 華やかに鰭を動かし、水を遊ぶように泳ぐ金魚。 複数あるいは品…

あんこ
3週間前
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【俳句掲載】『名句水先案内』(角川俳句コレクション)

角川『俳句』連載の「名句水先案内」(2020年4月号~2022年3月号)。 今回、角川俳句コレクシ…

あんこ
1か月前
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明日のある日常:折島光江句集『助手席の犬』

「できるだけ普段着の言葉で、普段着の景色を季語とともに俳句として詠みたい」 自分の心と身…

あんこ
2か月前
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【俳句掲載】『全国・俳枕の旅62選』

俳人・広渡敬雄さんが『全国・俳枕の旅62選』を上梓なさいました(出版社:東京四季出版)。 …

あんこ
2か月前
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軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
5か月前
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独自の詩の森の世界へ:しなだしん句集『魚の栖む森』

死角の無い句集である。 どこから読んでも、どの句を読んでも面白い。 溜息が出るほどだ。 全11章より感銘句を各章より1句ずつ。 喝采のやうな風鈴市をゆく 騙し絵のやうな嫗が毛糸編む わが影へ膝折りたたむ汐干狩 穀象の眼いたいけとも見ゆる 鶴渡るふつくら赤き燐寸の火 軍港を白く濡らして日雷 サーファーの鼠小僧のやうに立つ 梟の身に軸のありこちら向く 貌つつこんで花虻の尻の縞 夜に満ちて葬儀のやうな白つつじ 臘梅のひらきて未完なる形 季語の使い方の巧みさはもちろんだが、切れ字

月を仰ぐことを忘れない人:杉山久子句集『栞』

句会でも思うけど、俳句作品がまとまって掲載された句集を読むたびに思うことがある。 「どう…

あんこ
7か月前
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やりきれない存在と今であっても:福本啓介句集『保健室登校』

いろいろと句集をお贈りいただいているのに、全然触れることができず申し訳ない思いばかり。大…

あんこ
8か月前
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客観的視点が生む言葉の距離と味わい:岡田由季句集『中くらゐの町』

中くらゐの町の大きな秋祭 街と町。同じ「まち」でもこの二つは違うと思う。 大雑把にいうと…

あんこ
10か月前
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異界への招待状:俳句誌『LOTUS』第51号

クラクラするほどの痛いほどの今夏の太陽。 八月になって、通りは急にふっと音の存在を忘れた…

あんこ
10か月前
22

俳句のみが発揮しうる魅力:現代俳句文庫88『金子敦句集』

いつもウキウキ、ルンルン♫で俳句を作れるなんてことは先ずなくて、大体句会や締切など「必要…

あんこ
11か月前
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第一句集『揮発』、紹介いただきました

先般、簡易版として限定作成した柏柳明子・第一句集『揮発』。 早速、ご購入のお申込みをいた…

あんこ
1年前
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【鑑賞記事・句集『柔き棘』】嬉しい気づき

今回、香田ちりさんのnoteで 拙句集をご紹介いただきました。 こちらのページです。 温かく気づきの多い鑑賞、 嬉しく拝読しました。 わけても嬉しかったのが、 「使っている単語がシンプル」 「こういう句も作って良いんだ」 その二点でした。 作り方は作家それぞれですが、 私は誰もがわかる普通の言葉で 「普段見ているものを自分なりに見つめ直す」 ことで作品にしたいと考えています。 そして、俳句をしている人はもちろん 「俳句をしていない人」にも 「ひとつの読み物」として句集