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カルチャー俳句通信

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担当している㈱カルチャー俳句講座の生徒さんへのコーナー☆講座感想や作句ポイントなど。
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#俳句

十七音の包容力と瑞々しさ:黒岩徳将句集『渦』

煌めきながら切ない、この十七音たちは、この感覚は何なのだろう。 本句集を読み終えての第一…

あんこ
7日前
19

まどやかな祝福:阪西敦子句集『金魚』

金魚揺れべつの金魚の現れし 華やかに鰭を動かし、水を遊ぶように泳ぐ金魚。 複数あるいは品…

あんこ
3週間前
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【俳句掲載】『名句水先案内』(角川俳句コレクション)

角川『俳句』連載の「名句水先案内」(2020年4月号~2022年3月号)。 今回、角川俳句コレクシ…

あんこ
1か月前
29

明日のある日常:折島光江句集『助手席の犬』

「できるだけ普段着の言葉で、普段着の景色を季語とともに俳句として詠みたい」 自分の心と身…

あんこ
2か月前
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【俳句掲載】『全国・俳枕の旅62選』

俳人・広渡敬雄さんが『全国・俳枕の旅62選』を上梓なさいました(出版社:東京四季出版)。 …

あんこ
2か月前
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軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
5か月前
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【自選俳句10句】2023「日日俳句」より

対岸柏柳明子 初がらす垂直に時止まりけり まなうらに四日の海を仕舞ひたる 対岸の翳りはじめし桜餅 あの蝶はあの日失くしたピアスだらう 風が来てサンバはじまる百日紅 去り際のみづいろ揺れてゐるプール いとうりの知らん顔にて隣り合ふ 途中から白桃になる暗号文 凩に心臓攫はれぬやうに 宿木のささやく昔話かな note「日日俳句」では、2023年1月1日から毎日・1つの俳句(日によっては2句)を掲載してきました。 (今年はまだ残り3日あるのですが、大晦日は書いてる時間がないので

愛とかなしみの背理法:土井探花句集『地球酔』

こんな日は仲間はづれの雉が好き この句の中に自分を見る人、あるいは共感する人は、「ここに…

あんこ
6か月前
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【日日俳句】2023年、一日一句の掲載・更新を続けてきて

はじめに「日日俳句(にちにち・はいく)」とは、2023年の元日から一日に一つの俳句(および短…

あんこ
6か月前
44

独自の詩の森の世界へ:しなだしん句集『魚の栖む森』

死角の無い句集である。 どこから読んでも、どの句を読んでも面白い。 溜息が出るほどだ。 全…

あんこ
6か月前
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【雑感】川崎市生涯学習財団「俳句入門・秋編」を担当して

川崎市生涯学習財団で年三回(春・秋・冬)開催の「キラリ文化教室」。 その講座の一つに「俳…

あんこ
7か月前
14

句集の鑑賞文を寄稿しました【BLOG俳句新空間・第214号】

BLOG俳句新空間・第214号での企画、【渡部有紀子句集『山羊の乳』を読みたい】に鑑賞文(下記…

あんこ
7か月前
5

月を仰ぐことを忘れない人:杉山久子句集『栞』

句会でも思うけど、俳句作品がまとまって掲載された句集を読むたびに思うことがある。 「どう…

あんこ
7か月前
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やりきれない存在と今であっても:福本啓介句集『保健室登校』

いろいろと句集をお贈りいただいているのに、全然触れることができず申し訳ない思いばかり。大変遅くなりましたが、少しずつnoteで感想を書かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 まず、感銘句より。 桜しべ降る中夕方登校す 十代といふ闇にゐて涼しさよ 目見開き内なる冬を見つめをり 小春日の昨日に我を置いて来し さくら咲き記憶喪失終はりけり 親ガチャにハズれたと君汗拭ふ 四月来る長欠の子の机にも 本句集のタイトルは「保健室登校」だが、ページを捲っているとそれ以