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好きな本のはなし(俳句、短歌、ほか)

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句集、歌集をはじめとした「好きな本」の感想ページです。
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#詩

十七音の包容力と瑞々しさ:黒岩徳将句集『渦』

煌めきながら切ない、この十七音たちは、この感覚は何なのだろう。 本句集を読み終えての第一…

あんこ
3か月前
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軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
8か月前
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愛とかなしみの背理法:土井探花句集『地球酔』

こんな日は仲間はづれの雉が好き この句の中に自分を見る人、あるいは共感する人は、「ここに…

あんこ
9か月前
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連句誌『みしみし』11号の参加、そして連句の魅力

2023年春、連句誌『みしみし』(不定期刊行)の最新号(11号)が刊行されました。 編集人は「…

あんこ
1年前
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【俳句】玉響(たまゆら)の思い:馬場龍吉句集『ナイアガラ』

ポップで明るい表紙。 まるで懐かしいレコード・ジャケットのよう。 そういえば、レコードを買…

あんこ
1年前
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明日へ弾む言葉たち:三輪初子句集『檸檬のかたち』

表題句 切る前の檸檬のかたち愛しめり 何となく切るのが惜しくなる檸檬の形状と感触。 切った…

あんこ
2年前
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信頼できる言葉と感性:山田牧句集『青き方舟』

残暑の厳しい今年。八月も終わりに差し掛かった頃、届いた一冊の俳句集。 山田牧(ぼく)さんの第二句集。 表題句 地球てふ青き方舟終戦忌 八月十五日という深い意味のある一日を、「地球=青き方舟」というスケールの大きな視点から描いた一句。 構成は四章立て。 一章ごとに二句ずつ、感銘句を引きたい。 赤とんぼ実家の門はいつも開き 傷の掌に載せて全き冬林檎 ゆうらりと昨日に続く冬瓜かな 外套の夜気を吊して今日を閉づ 膝裏を日がな濡らして夏休 八月や花瓶の水のすぐ濁る 背のギ

キュートなはにかみ:津髙里永子句集『寸法直し』

暮らしの中で意外に心に長く残るのは、 大きなエピソードよりも小さなことだ。 あの人に言われ…

あんこ
2年前
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俳句を読む:『Υ(ユプシロン)』No.3、津川絵理子句集『夜の水平線』

ご恵贈いただいた二冊。 大変遅くなりましたが、 どうもありがとうございました。 頂いた順番…

あんこ
3年前
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