信頼できる言葉と感性:山田牧句集『青き方舟』
残暑の厳しい今年。八月も終わりに差し掛かった頃、届いた一冊の俳句集。
山田牧(ぼく)さんの第二句集。
表題句
地球てふ青き方舟終戦忌
八月十五日という深い意味のある一日を、「地球=青き方舟」というスケールの大きな視点から描いた一句。
構成は四章立て。
一章ごとに二句ずつ、感銘句を引きたい。
赤とんぼ実家の門はいつも開き
傷の掌に載せて全き冬林檎
ゆうらりと昨日に続く冬瓜かな
外套の夜気を吊して今日を閉づ
膝裏を日がな濡らして夏休
八月や花瓶の水のすぐ濁る
背のギ