5日間の探しもの
2月1日から、新調した財布を使い始めている。
春(「張る」)財布という迷信を信じ、去年のうちに買い揃え、使う日を待っていた「長財布」と「小銭入れ」があった。しかしいざ使おうと思ったら、小銭入れがない。長財布と一緒に買ったので、同じ場所にしまっておいたはずなのに、忽然と消えてどこにも見つからなかった。そこで、仕方なく長財布だけ先に使い始めていた。
探しものは、無理に探さないことにしている。
焦って探したところで苛々してしまうし、時間が費やされるばかりで、結局見つからなかったときの落胆は計り知れない。見つかるときは見つかるし、ひょんなことで在り処に気づくということもある。
恋愛も同じではないだろうか。誰か相手を探しているときはなかなか見つからないものだ。あきらめたら気づけば大切な人がそばにいた、という場合もあるし、ふいに出会って突然恋に落ちることもあるだろう。
今日はそんな、「ひょんなこと」で「ふいに」小銭入れが見つかった。しまっておいた棚を夫が年末の大掃除で片付けていたことを思いだし、もしかしたら彼がべつの場所に置いたかも、とひらめいたのだ。そして案の定、彼が置きそうな場所に小銭入れの箱はあった。
見つかった小銭入れを長財布に並べると、揃いのふたつはしっくり馴染んで、「ようやく会えたね」と言い合っているかのようだ。
失くさないように気を付けよう。彼らが二度と離ればなれにならないように。
そんな2月5日の午後だった。
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