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限りなく熱いコーヒー

名古屋のコーヒーは、半端なく熱い。

カップも熱湯で温めているため、口をつけただけで「あちっ!」と反射的に離してしまい、すぐには飲めない場合も多い。多いというか、日常茶飯事だ。

昨日、食後のコーヒーが熱すぎて、急いで店を出たくてもなかなか飲めずに困ってしまい、ふと「どうして名古屋のコーヒーは熱いんだろう?」と疑問に思った。

そこで今日、老舗の喫茶店(コンパル)で待ち合わせた友達に「なんでかな?」と聞いてみたのだけれど、「え?東京では熱くないの?」と逆に返されてしまった。彼女は疑問に思ったことすらないらしい。わたしの実家の母が昔、東京の喫茶店で「このコーヒーはぬるい!」と文句を言っていた話をすると「へえ、そうなんだ。名古屋はたしかに熱いよね。いまも熱くてすぐには飲めんけど」と頷きながら、目の前に出されたコーヒーを少し冷めるまで待っていた。そしてそれを至極当たり前なこととして受け入れていた。

名古屋弁には「あっちんちん」「ちんちこちん」という表現がある。まさにやかんが沸騰して“ちんちん”と音を立てるほど、「あっちんちん」なコーヒーが好まれる。

ネットで検索してみたが、答えは見つからなかった。店の人に理由を訊いても、首を捻るばかりだったので、「ちなみに何度まで熱くするんですか?』と質問を変えたら「決まりはないんですけど」という前置きのあとで「限りなく熱く、、、」と苦笑された。

限りなく熱い、コーヒー。
もしかするとそれは、喫茶店に長居する人の多いこの地域では必要不可欠なのかもしれない。

コーヒーは少しずつ冷ましながら、ゆっくり時間をかけて飲むべきであって、とにかく、急いで飲める「ぬるいコーヒー」は邪道なのである。

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