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令和のマリリンモンロー

スイセンをもらった。

真ん中に黄色い花びらが1枚あって、
白い6枚の花びらがその周りを
くるりと囲んでいる。

可憐でかわいい花だなと思った。

スイセンという存在は知っていたけど、
実物をこんなに近くで見るのは
初めてかもしれない。

しかも、恥ずかしながら、
ショウブ、アヤメ、カキツバタ系の
仲間だと思っていたが、違うらしい。
(ちなみにこの3種類も見分けがつかない。)

ショウブ、アヤメ、カキツバタは春に咲くが、
スイセンは秋〜冬にかけて花を開くのだそう。

スイセンからは、
ジャスミンのような
甘い香りがしっかりと匂ってくる。

一足早く春の訪れを感じるような
幸せな香りだ。

ちょっと調べてみたら、
マリリンモンローが愛した香水
シャネルNo.5にも
使われている香りなのだとか。

1952年のLIFEという雑誌のインタビューで
寝るときの服装を尋ねられたときに、
「シャネルの香水No.5だけ」と
答えたというあの香水だ。

残念ながら
デパコスに縁のないなっちゃんは
シャネルNo.5を嗅いだことはないけれど、
スイセンの香りが
なんだか高貴なものな気がしてきた。

しかし、このスイセンは
元はと言えば会社の先輩が
自宅の庭から刈り取ってきたもの。

「たくさん咲きすぎちゃって大変だから
 持って帰って!」と寄越してきた
スイセンは、新聞紙で包まれており、
超庶民的で身近な花に思えた。

家に持ち帰って新聞紙を外すと、
花の可憐さと比べて
真っ直ぐに伸びる葉のボリュームに
驚かされた。

イメージは…ニラの束みたいな感じ。
あれに、ちょろっと花がついている。

丸ごと花瓶に押し込むには
ちょっと葉っぱの量が多すぎるので
飾るように少しだけむしって、
残りは処分することにした。

花をよくみてみると
咲いているのは一部だけで、
プクッとした蕾が
いくつもくっついていた。

結構長く楽しめそう。

ここのところ仕事が立て込んでいて
花を買って帰るような気分にもなれず、
会社・コンビニ・自宅の往復で
ヘトヘトだった。

しかし、スイセンがやってきてからは
ちょっと気分が違う。

少し垂れ下がるような形で
控えめに咲いているのに、
「私はここにいるよ」と言わんばかりに
甘い香りを垂れ流す
スイセンを見ていると、
なぜだか「明日も頑張るかぁ」
という気持ちになる。

…と思ったら、
スイセンの香りには
気分を落ち着かせて
ストレスを軽減する効果があるらしい。

すごいなスイセン。
買おうかな、シャネルNo.5。

そんなわけで、
今夜も私はシャネルNo.5…の原料である
スイセンの香りに包まれながら
眠りに落ちる。

目が覚めるたびに、
マリリンモンローのような
セクシーでクレバーな女性に
1ミリずつ近づいているかもしれない。

そんな甘い夢を見ながら
今日も元気に仕事へ向かう。

あなたにも癒しのお裾分けを。

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