【読了】クリエイティブ・クラスルーム 「即興」と「計画」で深い学びを引き出す授業法
キース・ソーヤー 著
月谷真紀 訳
英治出版
率直に。この教育をしたい!!
とても勉強になりました。私自身がぼんやりと思い描いていた「教育の本質」をさまざまな実践例とデータを持ちいて背中を教えてくれたような本でした。
そして多くの学びもあり、より効率的で科学的根拠に基づいた教育を行えるヒントが多くありました。
ブルームタキソノミーによる知識構成
まず一つ。新しく得た知識としては、ブルームタキソノミーと言われる「知識構成」です。
ブルームタキソノミーについての詳しい説明をしてくれているサイト(資料)を見つけました。ぜひ見てみてください。
学校で学ぶものと言われると何を一番に頭に思い描きますか?
「先生から教えてもらったもの」という光景がすぐに出てくるのではないでしょうか。
従来の学校で講義型のような一方的な知識の伝達はこのブルームタキソノミーでいうと一番底辺のところにある記憶というところです。
筆者はこの知識だけで終わる知識を「浅い知識」と呼んでいます。
従来の詰め込み式の授業では、この「浅い知識」をどれだけ覚えられて、どれだけテストで点を取れるかというものにフォーカスをしています。
そのテストで優秀な成績を収めた学生にある問題が生じたのです。どれだけ優秀な学生で大学に入学しても、そのテストが終わればその頭にいれた知識を忘れてしまうという研究実績があります。
このことを読んで、改めて「教育」とは何かを考えさせられます。ただテストで点を取ること、大学に入るようにすることが高校教師の務めなのでしょうか。そんなすぐ先の未来だけしか見えず、送り出した後はしらんぷり?そんなことを私は申し訳ないですができません。私にかかわってくれた生徒の未来をそんな無碍にはできないのです。
間違いないと思います。目の前の生徒の様子を見ていたり、毎学期末に行われる「授業アンケート」の様子を見ると、この詰め込み型の教育を欲している生徒が一定数います。
ですが、私はこの本を読み改めて、そのような「浅い知識」を一方的に提供する教育はしません。
私は「未来を創る教育」がしたいのです。目の前の生徒の可能性を最大限に引き延ばし、生徒一人ひとりが自立してこの変化の激しい時代を強くたくましく生き抜くためのお手伝いをしていきたい。
ブルームタキソノミーというものを知ったからこそ、「知識の体系」を意識した授業構成、学びの提供をし、その場限りの暗記で終わらせず、未来へとつながる「深い学び」を生徒と一緒にしていきたい。
この思いはいつまでも変わりません。むしろこの本を読んで強く背中を押してくれたように思います。
まだまだ私も存在を知っただけで、もっと勉強する必要があります。
今までの授業実績をこのブルームタキソノミーにあてはめ、分析・研究をしてみます。
「創造性」を育もうとする時の弊害
「創造性のある学び」を実践するときに出てくる懸念点が数点あります。
間違いないです。先ほども触れたように「浅い知識」がもっとも必要という声を上げる人は教員にも生徒にも一定数います。
このニーズが大多数になると、なかなか創造的な学びの必要性に気づかず、目先の近い未来しか見えなくなります。これだと、「未来を創る教育」が達成できないというもどかしさを感じることがあります。
ですが、筆者はこの現状に対しても強い考えを持ち、教えてくれました。
であれば、なぜ「浅い知識」だけをフォーカスする必要があるのでしょうか。未来に生きる力と、そして、同時に「浅い知識」としてもある「知識」も同時に学べるのであれば、「創造的な深い知識」を教えないわけにはいきません。
ただ、この「創造的で深い学び」もすぐに誰でもできるようになるわけではなく、自分自身の「教育」の概念を改めて見直すこと、生徒の創造性を引き出すスキルを高めることなど、教員にとっても求められることが多くあります。
「変化」をどうとらえるか
はたして、この本に書いてあることに触れて、どれだけの教師が「創造的な深い学び」にチャレンジするのでしょうか。残念ながら、実際の教育の現場では「変化」に対してネガティブな捉え方をしている様子を見ることがあります。
たしかに、新しいことや、正解という確実なものがないことを考え実践することは失敗も伴いますので、なかなか思い通りにはいかないことでもあると思います。
しかし、難しさから逃げ出し、今までの変化のない学びを提供するだけになってよいのでしょうか。
どこかのnoteで書かせていただいたと思いますが、これだけの変化の激しい社会の中で「現状維持という安定は不安定」ということを書かせていただいたと思います。
これからの変化の激しいVUCA時代を生き抜くための教育をしていくのであれば、教員自身も、社会や教育、自分自身の変化を前向きに捉え、行動していくことが必要なのではないでしょうか。
私自身も「変化」に対して不安を覚えたり、もどかしさを感じて自己嫌悪に陥ることも稀ではありません。
それでも、生徒と一緒に未来を考えるという覚悟を決めたのであれば、変化に対応できるように「変わること」を楽しみ、努力を重ねて生きたと思います。
この本には、様々な教育実践が紹介されていました。
これだけのデータや報告があるのであれば、今までやってきたことや、これからチャレンジしていこうとするこに科学的根拠をもって取り組むことができます。
私も生徒の「学び」がより生まれる授業をしていけるように、私自身が「深い学び」を常日頃から行っていきたいと思います。
ぜひ、いろんな先生方に読んでいただきたい。そして、「教育の本質」について語りたいなと思わせてくれる1冊でした。
創造的な先生になれるように。
これを新しい目標のひとつとして今日も明日もこれからも教育に取り組みます。
自戒として、備忘録として、創造性が高い教師の7つの習慣を最後に引用して、今回のnoteを締めくくります。
先生、頑張ります!
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