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ジョブ型雇用人事制度のために(既得権益にしがみつく人々)

■世間に転がる意味不明(雇用は保障されていると言う幻想)

一時期ニュース欄を賑わしていた「ジョブ型雇用」というバズワードをとんと見なくなった。あれは一体何だったんだろう。

とはいえ、企業は確実に人材マネジメントを変えているだろう。
そうしないと企業が生き残れないからだ。

○米ネットフリックス、従業員300人解雇 コスト削減で
2022年6月24日

米動画配信大手・ネットフリックスは23日、全従業員の4%に当たる300人を解雇すると発表した。人員削減は先月の150人に続いて2回目。十数年ぶりとなる有料会員数の減少を受け、コスト削減を強化する。

https://jp.reuters.com/article/netlfix-layoffs-idJPKBN2O501O

アメリカのことだと対岸の火事のように構えているのは危険だ。ジョブ型雇用がグローバルスタンダードにあわせるための一里塚であるなら、いずれ日本もこうしたレイオフは日常になるかもしれない。

実は、日本は雇用を継続するための仕組みがある。定年制だ。終身雇用の代名詞のような定年制は政府によって強化されている。会社内の高齢者は、これにしがみつこうとしている。

しかし、企業は先手を打って、定年前に高齢者を追い出しにかかるだろう。
雇用が保障されているなどと言う幻想は捨てた方が良い。

■手当は廃止される方向で動くだろう

ジョブ型雇用は、どこで働くかではなく、何を会社にコミットするかで契約関係を規定しようとするものだ。従った、その働き方は同じジョブであろうと異なる可能性がある。

(通勤手当)
最近NTTが、原則自宅勤務であり会社に来るのは出張扱いと言うことになった。
これは、通勤手当は出さない。交通費は実費精算と言うことになる。すなわち、給与には何も反映されない。例えばリモートワークであれば、いままで出ていた通勤手当はなくなることになる。(注:就業規則などの変更が必要)

(住宅手当)
寮などが完備されている会社や、仮にそうでない会社も一定程度の住宅手当が出ているところがある。これを一律の基準で出している会社もあるが、これを廃止し、住宅控除を確定申告で求めるという方策もある。給与の補助的な意味合いで支給するのは、ボーナスの基準額に入れたくないからに過ぎない。ボーナスを月額×月数なんてことはジョブ型雇用にはなじまない。意味不明の手当は廃止される。

(転勤:単身赴任手当)
ジョブ型雇用では、ジョブを遂行することだけが要件となる。仮に現在すんでいないところで業務を遂行しなければならないとしたら、個別に経費が支払われる。

これらを見て分かるとおり、そもそもジョブを遂行できるかどうかだけが報酬基準となるなら、それ以外は経費である。全て自己責任で税金を支払えば良い。ボーナスは手当ではない。報酬の一部である。

都合の良いように手当という既得権益にしがみついてはいけない。

■雇用は施しではない

毎月一定の金額が振り込まれるサラリーマンは、その安定性から思考を奪われる。
毎月もらえるものは当然も権利だと思い込み、「朝三暮四」に一喜一憂する。
雇用は当然の権利だと思い込むことは危険だ。

会社からすれば、何の見返りも考えずに与える施しなどあり得ない。慈善事業ではない。慈善事業ですら目的性がある。

■45年間の悪夢

高齢者の雇用に関しては「高齢者雇用安定法」が施行され以下のような解説が厚生労働省から提示されている。(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694689.pdf)

高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。

65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(令和3年4月1日施行)
① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

これは、現在の高齢者だけでなく新入社員にも適用される。
22歳に入社したとして、48年間の会社との関係性が確立される。

これは、会社にとっても社員にとっても悪夢だ。

48年間も、基本は土日を除いて毎日9時5時の拘束と通勤が続き、ある日突然定年になり自分に何が残されているのかに愕然とする人生は、貴方が望むものなのか?

48年間、その人が会社にいることでもたらされる貢献はその年月に見合うものなのか。投資対効果を間がなければいけないのに、それを計画的にできないなら、人事施策は博打になりかねない。

多くの会社は、今の人事制度、特に賃金制度をどうするかに頭を悩ませている。
そうではない、「既得権益」(ずっと雇ってもらえる、今までと同等の報酬がもらえる)というものを見直さなければならない。

人事部のあなた方。あなた方こそ既得権益を手放しなさい。

<閑話休題>

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