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戦略人事:前提条件を疑えない経営者の愚(今までうまく行かないことの理由を無視したジョブ型人事制度)
■ジョブ型雇用の乱用
NECだけというわけではないだろうが、ジョブ型雇用の話題には事欠かない。
○NEC、2024年度は600人の新卒採用を計画 - 内定時に配属部門・職種が確定
2023/04/04
部門×職種別採用については、それぞれの部門と職種のジョブディスクリプションを新卒採用サイト上で公開し、学生は志望する部門と職種を選択してエントリーを行うことができる。
部門×職種別採用の対象となるのは研究職、技術開発職、SE職、コンサルタント職、サービス職、生産関連職、知的財産職、法務・コンプライアンス職、経理・財務・FP&A職、人事・総務職の10職種だ。部門フリー採用の対象は営業職、スタッフ職の2職種となる。
目的の一つに「配属希望のミスマッチを減らす」とある。
○NEC、新卒採用でも「ジョブ型」導入 24年から、採用数は前年並み
2023年04月04日
NECは4日、2024年春入社の新卒採用から、内定時に配属部門と職種が確定するジョブマッチング採用を導入すると発表した。配属希望のミスマッチを減らし優秀な人材の獲得を目指す。採用人数は23年度並みの600人を計画する。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023040400714&g=eco
仕事のミスマッチで退職者が出るという話はある程度理解できるが、仕事のミスマッチがなくなれば有数な人材が獲得できるというのは「論理学」で考えてもおかしい。
こうした経営者の思惑には論理の誤謬がある。
■優秀な人材の行動原理
優秀な人材であれば、そもそも仕事のミスマッチなどを犯すことはない。なぜなら、彼らは自分自身を知っており、その選択を間違えないだろうからである。
仕事のミスマッチで能力を発揮できない人物は「優秀な人材」と評価されないだろう。やらせてみなければ分からないというのであれば、そもそも人材の登用する側(人事部)の能力不足であり、はなから優秀な人材を選定できない。
こうした状況下では「優秀な人材」はこうしたジョブマッチング制度があろうとなかろうと御社に向かうだろう。そして「私はこうした仕事がしたい」と言う。それを受け止めてこなかったとしたらこの制度の存在意義は何だろう。
ジョブ型雇用と雇用のミスマッチと優秀な人材の獲得は問題の本質が全て異なる。
■ジョブ型雇用が旨く行くという幻想
2000年頃だろうか、アメリカから「目標管理制度」を導入し、社員の働き方に報い、組織能力を上げるもくろみがあったかもしれないが、それは失敗したと思っている。いわゆる成果主義と連動させたことで、売上市場主義が蔓延し、個人の成果に目が行くことでチーム活動は慎重になり、さらに評価の公平性もないため、社員の不満とやる気の阻害という副産物が発生したという評価が私の評価である。
本来のドラッガーが述べていた、自身による目標を持った仕事により成果を出すという(Self Management By Object)は有名無実化している。
期待した効果が得られなかった理由を探さない限り、ジョブ型雇用が旨く行くとは思えない。成果と紐付けた人事制度が旨く行くとは思えない。
■雇用のミスマッチ
○若手社員の6割は「今の会社を辞めたい」 転職したい理由は?
入社前に不安だったこと
2023年04月12日
新卒入社3年未満の若手社員(20代)に「入社前に不安だったこと」を聞くと、「仕事内容が自分に合うか」と「仕事についていけるか」(40.7%)が同率1位で、「職場の人間関係がうまくいくか」(38.0%)が続いた。
入社後も不安が払拭されていないことを聞いたところ、「仕事内容が自分に合うか」が21.3%、「仕事についていけるか」が18.0%、「職場の人間関係がうまくいくか」が17.3%だった。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2304/12/news051.html
こうした記事を見ると、「会社がきらい」という理由はないことが分かる。
仕事なんぞは、同じ環境下で行なわれることはない。特にVUCAの時代の時代といている以上、常に不安定の中にある。
だとしたら、仕事のアンマッチは常に起こりえる。
■前提条件を疑え
(1)優秀かどうかは結果論
その人が優秀であるかは素質で見るわけではない。結果として成果を出せれば優秀と言うことになる。優秀さを見るのは正しくない。自社への共感、努力する姿勢などを評価すれば良い。郵趣な人に選ばれる会社でなければ、採用してもすぐにやめる。
(2)ミスマッチは当然
最初から適材適所ができる何だという幻想はやめる。やらしてあっていないなと思うのであれば異動をさせる。そもそも、異動がしにくい、ジョブの組み替えがしにくい人事制度であれば硬直性が高すぎる。再編がしやすい企業になるべきである。
(3)辞めても良い
合わない人がいるのは当然なので、そういう人たちを飼い殺ししてはならない。
辞めたいという人の就職支援をするべきである。戻ってくることも不利にならないようにするべきである。自分さえ良ければ良いという組織風土はいつか社員に見捨てられる。
<閑話休題>
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