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人事部の憂鬱(オペレーション業務を評価されない人々)

人事部の憂鬱(オペレーション業務を評価されない人々)

■人事部のお仕事

限られた知識なのだが、かつて(今から40年ほど前)人事部の仕事は採用と労務管理だった。あるいは労働組合対策か。賃金体系は単純な号俸制で賃金計算や税金計算などは総務部が行なっていた。ローテーションや組織変更は社長の専権事項なので人事部が関わることは無かった。

戦略的な施行は必要とせずに、調整オペレーションが中心だ。

さて、現在「戦略人事」という言葉が使われるように人事部も経営戦略の一翼を担うことが求められてると聞く。採用も、単に現業業務を維持するための補完ではなく、将来の競争力強化のための人的資源の整備と強化という視点が必要になる。

人事機能としては以下の視点が求められる(と思う)
1.戦略実現パートナー
 経営戦略・事業戦略に合致するように人事戦略策定・組織設計を行なうこと
2.実務推進パートナー
 会社における人や組織に関するとりまとめを行ない、法的リスクを最小限にし、業務の効率化を高めること
3.従業員パートナー
 従業員一人一人の声を聞き、従業員の意欲を高めるために人事戦略策定・組織設計を行なうこと。
4.理念・バリュー実現パートナー
 企業理念・バリュー・行動規範に合致するよう人事戦略策定・組織設計を行なうこと。

注 下記から抜粋
○事業の組織責任者が人事に期待しているもの
2022.06.13
https://dime.jp/genre/1404534/

「人事戦略策定・組織設計」と頻繁に出てくる。したがって、オペレーションだけすればいいという発想での人事部は、組織の下請けに成り下がる。ぶっちゃけ、事務作業にとどまる戦力に過ぎない人事部は不要になる日が来るだろう・

■人事部は戦略だけ考えているわけではない

とはいえ「2.実務推進パートナー」としての役割も重要になる。
 現在、ISO9001の審査でいろいろな企業にお邪魔する。その時に人手不足などについても意見交換するが、大きくは以下の課題を抱えている。

・そもそも求人しても人が来ない
・採用しても辞めてしまう人がいる
・ローテーションが思うように行かず繁忙期に対応できない

と言ったところだろうか。

募集したら人が集まった時代ではない。
 むやみやたらと採用しても離職が相次げば採用コストの無駄遣いになる。

比較的人材の流動化が進んでいる海の向こうはもう少し深刻のようだ。

○大量離職時代に燃え尽きる採用担当者、求職者の要求に極度のストレス
2022年7月14日

ベリスのバイスプレジデント、アンジー・バーグナー氏は「われわれの仕事はいつになく大変だ。リクルーターが業界を去っている。この3年で10歳は年を取った気分だ」と話す。

どの業界の採用担当者も、同じようなシーンを口にする。仕事に応募してきた20代や30代の候補者が、自身の経歴に見合わない報酬や福利厚生を求めてくることだ。バーグナー氏が言及した最近の例では、大卒の新卒者が在宅希望で、初任給9万ドル(約1250万円)と無制限の有休休暇を求めた。

ミレニアル世代やZ世代などの若年層は気が変わりやすい傾向もあるという。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-14/REZH16T0G1KW01

ブルームバーグのこの記事は当然日本の話ではなくアメリカの話だろう。しかし人ごとで済まさない方が良い。

■人事部に対してもサポートは必要

人が集まらない、人が辞めてゆくと言うことの責任を人事部が負うのであれば、これはかなりのプレッシャーだろう。それが、人事部の責任でないとしても。例えば、転勤などは人事部が決めることではなく、多くは部門で決定される。これが離職のリスクになりうる。

○6割以上が「転勤は退職のキッカケになる」 転勤を承諾する条件は?
2022年06月21日

転勤の辞令が出たら退職を考えるか聞くと、64%が「考える」「やや考える」と回答。2019年の同調査から5ポイント増加した。年代別にみると、20代、30代は7割以上が「考える」と回答した。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2206/21/news129.html

転職ほどではないが部署への異動も気にかける必要がある。
今までしたことがない仕事を強制された場合に不満が蓄積されることもある。
購買部門からいきなりシステム部門に異動させられてサポートもないとしたらどうなるだろうか。

会社は人事部のサポートを疎かにしてはならない。
社員に、メンタルヘルス、セクハラ・パワハラの対策をするなら、そこから人事部を外してはならない。人事部の人間だけ強靭なわけではない。

■人事部が評価されないとモチベーションは上がらない

戦略策定や組織設計だけをするなら別部署にすべきだ。人事戦略部と人事執行部でも良い。実務で考えるとHRMは、調達(採用)、育成、配置、評価、処遇などがある。こうした実務は単純作業ではなく、頭脳労働だ。したがって、100の期待に応えようとすればそれなりの工夫が必要になる。

しかし、実態は100達成できなければマイナス評価になる企業が多いと聞く。
 それでは人事部のモチベーションが上がらない。
 オペレーションの評価もして欲しい。最も言われたことしかしないのであれば「降格」させることも必要だ。

あっ厳しいかな?

<閑話休題>

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