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映画レビュー:23年10月の9本

ソゴビ
(2002年/アメリカ/ジェイムズ・ベニング監督)

すべて150秒(2分30秒)の定点観測×35シーン。エンドロールでそれぞれのシーンのロケ地&どの企業所有の土地なのかが明かされるという。これで成立するのねと勉強になります。

フェイシズ
(1968年/アメリカ/ジョン・カサヴェテス監督)

情緒不安定のお戯れ。イケオジが若い女の子を口説く。自分の不倫は良くて妻の不倫は許せない男。「カサヴェテスに足を運ぶ観客=ほぼ男」説が今回も立証。「若さを恐れているのは、自分たちの座が奪われるのを恐れているのよ」と。マッチョな映画でした。前半、男たちが女を奪い合うのは退屈なのに、後半、女たちが男を奪い合うのは俄然面白く観れる不思議。

その男、凶暴につき
(1989年/日本/北野武監督)

足元(革靴)の音が増し増しにされていて、すごく乾いた印象を与えるの巧い。序盤の緊張→中盤のお笑いに寄せた緩和→そこから終盤に向けて笑い一切ナシで暴力と緊張に突き進んでいく、メリハリが匠。ラストのどんでん返しも「ユージュアル・サスペクツ」みがあって、脚本が傑作。タクシーのラジオから落語が流れていたり、自分の好きなエッセンスをうまく挿入してるところも良いし、ただの乾いたドンパチじゃなくてニヤリがあるから名作たる所以っすね。

エドワード・ヤンの恋愛時代
(1994年/台湾/エドワード・ヤン監督)

孔子がこう言った。それから2000年後。って始まるスケールやばい。相変わらず登場人物の名前は覚えられないんだけれど、物凄く緻密に織り込まれた、練られた群像劇で。会話が交錯し、それぞれの想いが行き違い、みんなちょっとずつ嘘もついて、刹那的な真実もあり。エドワード・ヤン作品ではじめて寝落ちせずに最後まで楽しく観れました。出会うとか、付き合うとか付き合わないとか、一夜を共にするとかしないとか、ほんとぜーんぶタイミングと縁だよね。ラスト「終演」なのも良いよ。みんな演じてるからね。

ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!
(2023年/アメリカ/ジェフ・ロウ監督)

子供の頃から好きだったよ!マーベル作品じゃなくてもNYでストリートカルチャー&サブカルノリで騒げるのたまらなく楽しいよ。ドリトスもピザもンマそうだよ!挨拶「カワバンカ!」推しだけど劇中も全然使われてないよ!

ゆとりですがなにか インターナショナル
(2023年/日本/水田伸生監督)

クドカンもわれわれ世代には安定安心だけれど、若い世代にはちょっと時代遅れ感あるかな、、とほんのり。最後、それぞれが仏壇に向かって心中を吐露する演出(あの世とのテレワークよ、と)、ビミョーにあざといと言うか何と言うか、、、

福田村事件
(2023年/日本/森達也監督)

序盤こそ、農民が土を耕しながら「土とケンカすんな。腰を入れろ腰を。女房を扱うようにだ。」などとおどけた展開で油断させるも、終盤になるにつれ、自らも持つ凶気に火に油注がれるから、そんな自分自身の醜悪さに反吐が出そうになる。率先して外来者の頭かち割りに行く自暴自棄になった女、男の「虐殺は止めろ!と今になって我々に言われても、、、アンタらが、お上がやれって言ったんでしょうが!」という我が身可愛さの自己保身ムーヴ、そしてそんな夫を後ろからそっと抱き「あんたはよくやったよ。」と慰める妻、、、村社会(規模は違えど大なり小なりコミュニティに属するということ)の生きづらい部分が前面に露呈。つら

北極百貨店のコンシェルジュさん
(2023年/日本/板津匡覧監督)

西村ツチカさんの絵が動いて、大画面で観れる!のは良いんだけど、、1枚絵はキマってるんだけど、これが動画となると、説明的な絵作りも増えて、単調に。結果、全体がボヤッとして退屈になって台無し。世界観も共有されず。興行的にも大ゴケしそうで心配になります。

007は2度死ぬ
(1967年/イギリス、アメリカ/ルイス・ギルバート監督)

ゆるいわ。。おとこの子の為の活劇。それはいい女と武勇だ。退屈。

<了>

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