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【MLB】カルロス・ロドンはヤンキースを救えるのか。

ヤンキースがジャイアンツからFAとなっていたカルロス・ロドンを6年$162Mで獲得した。


来季に向けたヤンキースののウィークポイントは明確で、先発投手陣であった。
200.2イニングを投げたコール、158.1イニングを投げたコーテズまではいいとして、今期、1年間ローテを守ったタヤンはカブスへFAで移籍、セベリーノはまだTJ手術から復帰後シーズントータルで稼働していないし、今季途中で加入したモンタスはひどいパフォーマンスだった。

特にヤンキースはここ数年、慢性的にイニングを稼ぐ先発ピッチャー不足で、コールやコーテズを除いてなかなかQSを達成することができず(今期は42%。それでもリーグ平均よりはいいが)、ブルペン頼みなのが現状である。
ブルペンに頼りすぎた結果、昨季はグリーンやロアイシーガ、今期はキング、ホームズを酷使し、見事に故障。終盤からポストシーズンにかけては左腕のペラルタを毎日のように連投させていた。ブルペン頼みの投手力は、持続不可能である。

そんな中、今オフFAとなっていた先発投手の中でデグロム、バーランダーに次ぐ3番手の評価だったが、ヤンキースは比較的若く左腕であるロドンを早々から目をつけてしっかりと獲得。

今回はロドンがどんな投手なのか紹介したい。


2020年オフに戦力外


ロドンは実はつい二年前のオフ、戦力外(ノンテンダー)となった選手である。

もともと、2014年のドラフト全体3位でホワイトソックスに入団し、翌年にメジャーデビュー。同じ左腕で、当時絶対的エースだったセールの後継者として期待されていた。
2年目の2016年はローテを守ったものの、翌年から手首や肩の怪我が続き、2019年にはTJ手術。2020年オフに戦力外になったものの、翌年キャンプイン前に古巣ホワイトソックスに再度拾われた。

ところが2021年はふたを開けると4月のノーヒッターから始まり、13勝を記録。

怪我明けということもありこの年は24先発、132.3イニングでシーズン終了。
翌年ジャイアンツに移籍後は、年間通してさらにパワーアップした投球を見せ、満を持してFA市場に出てきたのである。


4シーム中心のスタイルで復活


ロドン復活の要因は4シームの改善である。
直近5年の4シームのスピードと、投球割合は以下の通り。

2018年 92.9mph 47.3%
2019年 91.4mph 51.6%
2020年 92.8mph 51.1%
2021年 95.4mph 58.7%
2022年 95.5mph 61.2%

覚醒前後(~2020, 2021~)で3mphほどスピードがアップし、投球割合も昨年は6割を超え、4シーム中心のスタイルに変化。
特に、バッターの左右問わず意識的に高めに投げ込み、昨年の被打率は.213。これはヤンキースのエース、コール’(.221)よりも優れている。

2018-2020 4シームのヒートマップ
2021-2022 4シームのヒートマップ


基本的にロドンは4シーム主体でカウントを整え、投手有利なケースでスライダーの割合を増やして仕留める。
これは同じヤンキースの左腕のコーテズとは逆(カッターでカウントを整え、投手有利になると4シームの割合を増やす)の投球スタイルであり、相手にとっては厄介かもしれない。


対左の強さ


ヤンキースの投手で重要なのが、左バッターにいかに長打を打たれないか、である。

ヤンキースタジアムはライトが狭く、左バッターに強くコンタクトされやすいピッチャーは厳しい。
一方、ロドンは過去二年で左バッターに3本しかHRを打たれていない。
しかも、ライト方向に打たれたのは2021年の1本である。

2021-2022 左バッターによるホームラン


右バッターに対しても外角にパワーのある4シームを、内角にはスライダーを投げ分けることで逆方向に長打を打たれにくく、ヤンキースタジアムを本拠地とするチームにはフィットする投手である。



対アストロズの強さ


アメリカン・リーグにいた2021年であり、かつ2試合のサンプルであるが、ロドンはアストロズ戦で好投している。

6月18日は試合には敗れたものの、7回3安打8奪三振1失点。

1か月後の7月18日は7回1安打10奪三振無失点。

今季、ヤンキースはレギュラーシーズンでアストロズに2勝5敗、ポストシーズンではリーグチャンピオンシップで手も足も出ず4連敗したことを考えるとあまりにも心強い・・・


以上がロドンの紹介である。
不足気味だった先発ローテーションの穴を埋めるだけでなく、ポストシーズンで自信をもってコールの次にマウンドをまかせられるロドンの獲得はヤンキースにとって非常にインパクトがある補強だったと考えている。

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