見出し画像

タツノリならエンゼルスをどう立て直すのか。

開幕戦で昨年ア・リーグチャンピオンのアストロズに敗れたものの、4月は14 勝8敗の(昨年に比べたら)ロケットスタートをしたエンゼルス。
大谷は投打にあまり調子が上がらないが、トラウトもレンドンも健康だし、新加入したシンダーガードとロレンゼンはまあまあやりそうだし、ブルペンも厚い。昨シーズン末に「勝ちたい」発言をしていたオオタニサンがハッピーならニッポンジンみんなハピー、だった2022年の春。

ただし、そこから悪夢が始まるのである。

レンドンはいつもとは違う左打席でホームランを打って以来、長打が出ずそのまま故障者リスト入り。そしてケガで今季絶望。
MVPを3回獲得したトラウトでさえ30打席連続ノーヒット、ジョー・アデルはAAA降格等々、主力が活躍できず14連敗。連敗期間中にマッドン監督も解雇した。

6月後半はなんとか盛り返したものの、7月に入るとオールスター前の14試合で2勝12敗。
特にトラウトが7打席連続三振をするなど、アストロズにはどの試合も大差をつけられて6戦5敗、オールスター直前のドジジャース戦ではカーショウに8回終了までパーフェクトをくらうなど、完全に息の根を止められてしまった。

なお、7月のその2勝は共に大谷が先発登板した試合である。
ただ単に推しを表現している「大谷しか勝たん」が、その言葉通りになった稀有な事象であった。

さて、そんな中BSでエンゼルス戦を観戦していると、視聴者からこんなメッセージが紹介された。

覇気がなく、勝利への執念に欠けるエンゼルスを解説の伊東さんならどう立て直しますか。(和歌山県在住 60代 男性)

これはぜひ監督通算勝利数1,192勝、9度のリーグ優勝に3度の日本一を達成した原辰徳監督に聞かなくてはいけない。

が、聞ける術はないため、タツノリなら今のエンゼルスをどう立て直すのか、考えてみた。


マイク・トラウトの四番打者起用

タツノリベースボールにおいて重要なポジション、それは四番打者である。

近代のMLBでは四番打者であることに大きな意味を持たない。
むしろチームで最もいいバッターは1番、2番に配置し、打席数を増やす傾向にある。

ただし、タツノリにとって四番打者は単なる4番目に打順が回るバッターではなく、チームの勝敗の全責任を背負う、スペシャルなポジションなのである。
タツノリジャイアンツでは松井、ラミレス、阿部、岡本とその時その時のチームで最も長打力の高い選手を四番打者に指名し、シーズン通して固定していた。
2002年オフに松井が移籍した際も、すかさずヤクルトの主砲ペタジーニを獲得したほどである。
タツノリ自身も巨人軍第48代四番打者として1,066試合に出場し、255本塁打を記録。
「お嬢様野球」と言われながらも、現役生活の約3分の2を四番打者として全うしており、四番打者がいかにチームで特別な存在か誰よりも理解している。

タツノリがチーム形成をする上で、長打力があるだけではなく、長年チームを支え、チーム、いやMLBののシンボルである選手が大黒柱となる四番打者の固定はマストである。
エンゼルスの中で、そんな選手はマイク・トラウトであろう。

ただし、怪我がちのトラウトとって162試合全試合出場が求められることは大きなハードルとなる。
ここは阿部や高橋由伸をファーストにコンバートして延命したように、レフト、もしくはDHに固定してでもトラウトには開幕からシーズン終了まで四番に固定し、彼と心中する覚悟を持って起用すると考えられる。


大谷のキャプテン指名

タツノリは戦術家であり、かつ強烈なリーダーシップを持った指揮官である。
ただし、それが発揮されるのはあくまでもベンチの中。
ジャイアンツが好調な時は常にグラウンドにもタツノリイズムを体現する選手がいた。
阿部と坂本である。
共にキャプテンに指名され、グラウンド内でジャイアンツを率いてきた。

タツノリのチームでキャプテンを務めるには、その言動だけではなく、成績でもチームメイトを引っ張っっていかなくてはいけない。

そうなると、候補はただ1人。大谷だろう。
打者としてほぼ毎試合出場するだけではなく、週に一度先発登板をする。特に登板時の表情、言動からチームで最もファイティングスピリットがあると想定される。
日本語がネイティブでありながら現地でもコミュニケーションに長け、野手陣、投手陣共に信頼が厚い。
そして、何より昨年MVPを獲得し、今年も投打共に規定打席、規定投球回数に達し、数字でも選手からの信頼を得ることもできる。

グラウンドでタツノリベースボールを体現できる選手は、エンゼルスでは大谷しかいなく、キャプテンに最も値する選手である。



フアン・ソトの獲得と契約延長

タツノリは勝利至上主義である。育成の重要性を理解した上で、それは強いチーム、常に緊張感を持った試合ができてこそという考えである。
球界の盟主ジャイアンツの監督ということもあったが、タツノリは負けが続いているチームであっても、解体、再建などはしない。

そして、チームが低迷している時、タツノリは常にその時その時のマーケットで最高の選手を獲得してきた。
小笠原、ラミレス、グライジンガー、クルーン、杉内、丸・・・
ジャイアンツに移籍して活躍できなかった例もあるが、入団時には好成績を残した選手を確実に獲得している。

もちろん、エンゼルスでも同じ方針であり、今の市場にいる最高の選手の獲得に動くのも間違いない。

そう、ナショナルズのホアン・ソトである。

メジャーリーグ屈指の選球眼と長打力を持ち、まだ23歳ながら既に113本塁打を記録。
先日15年総額4億4,100万ドルのナショナルズの最終オファーを蹴って話題となり、ホームランダービーでも優勝した。
あのテッド・ウィリアムズやバリー・ボンズと比較されるバッティングの天才であり、今後数年でもなかなかお目にかかれない選手である。

契約関係となるとビジネスライクになるMLBであるが、ここはタツノリ自身がトレード、契約の場に立ち、「お前さん、トラウト、大谷のいるチームでエンゼルスを世界一にしてみないか」と言えば良いだけである。


代走のスペシャリストの獲得

タツノリ采配の特徴の一つは試合終盤のベンチワークである。
グラウンドに出ている9人(DHを含めて10人)だけではなく、常にベンチのリソースにも目を配り、局面に合わせ最適な選手起用をおこなっている。

特に印象的なのが代走のスペシャリストの存在である。
第二次政権時代は鈴木を、第三次政権では増田をベンチに温めておき、ここぞという場面で代走起用し、相手バッテリーにプレッシャーをかけてきた。
また、2人とも高度な走塁技術を持ち、警戒されている中で確実に盗塁を決めてきた。

もちろん、エンゼルスにも彼らのような存在がほしい・・・いた。

マーリンズのバーティである。

名前は全国区ではない32歳だが、盗塁数は現在MLBで1位。
何より、外野と内野を守れるユーティリティプレイヤーであり、キャッチャーを除く全ポジションができる増田的な起用をすることができる。
鈴木や増田と比べて打力に長けており、ベンチに置くことは勿体無い気もするが、代走要因はタツノリベースボールにとってキーポイントの一つである。
バーティは、常にヘルメットを被せてタツノリの隣に座らせたい選手である。


ジョー・アデルを熱血個別指導

ジョー・アデルはメジャーリーガーとして守備がうまいとは言えない。
いや、下手だ。

開幕戦で派手な暴投をし、

解説武田氏に酷評され、

今日も本拠地のクッションボールに踊らされた。

ただし、開幕直前にレギュラーレフトのアップトンを解雇してまで起用したかった選手であり、アナハイムにバランスをもたらすアナキン・スカイウォーカーのはずである。

ここは亀井コーチの出番である。
亀井コーチは、今季開幕当初中継までまともに投げられなかった助っ人アダム・ウォーカーを熱血個別指導。
補殺を記録できるような選手にしただけではなく、オールスターに出場するまでになった。

アデルは亀井コーチに任せて、守備の覚醒を待とう。


UCLAとの蜜月

ジャイアンツには安定してチームの主力となる選手を供給する傘下のチームがある。
中央大学と東海大である。
中央大は阿部だけでなく、今やレッドソックスのリリーフを支える澤村、亀井、最近では鍬原も中央大出身である。
そして自身の出身校でもある東海大からは菅野、大城というバッテリーを輩出している。
特に澤村、菅野はドラフト時にジャイアンツ以外の入団を拒否。アマチュア時代から蜜月状態にあるのが中央大、東海大である。

アメリカでも安定的にエンゼルスに好選手を供給するような全米屈指の大学と連携しておきたい。

UCLAである。

世界的に有名なだけではなく、地元カリフォルニアに立地、ベースボールの面でも屈指の闘争心を持つゲリット・コールや自からトレーニング施設を作ってしまったトレバー・バウアーなど好選手をMLBに送り込んでいる。

ここはUCLAと蜜月関係となり、ドラフトではエンゼルスが優先的に取れるような外固めをしておきたいところである。



以上がタツノリがエンゼルスの監督に就任した場合に考えられる再建プランである。
最近のMLBではオーナー及びGMが求めるベースボールを体現できる人物を監督に起用する傾向がある。
ただ、今日もあっさりと負けたエンゼルス。原辰徳のようなリーダーシップに長けた指揮官がこのチームをどう立て直すのか、是非直接聞いてみたいところである。

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

free