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ジャズ記念日: 12月13日、1960年@ニュージャージーRVG
Dec. 13, 1960 “Sonnymoon for Two”
by The Three Sounds (Gene Harris, Andrew Simpkins & Bill Dowdy) at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ for Blue Note (Here We Come)
ブルーノートレーベルによる黒人ピアノトリオのルディバンゲルダー録音で、ソニーロリンズ楽曲の演奏。
本曲収録アルバムのスタンダード曲のラインナップやアメ車写真のポップなアルバムジャケットからしても、ブルーノートの特徴であるミュージシャン主体の硬派でオリジナル曲を演奏というプロダクトアウトのコンセプトからかけ離れた異色のマーケットインのリスナー指向が感じられる。
シリアスな風潮のアルバムジャケットの多いブルーノートだが、スリーサウンズだけは別扱いで、大半が歯をのぞかせる笑顔に溢れた黒人トリオが仲睦まじそうにしている。
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アルバムタイトルも分かり易くてポジティブなものが多い。恐らくブルーノートの企画で作られたというよりは、聴衆を喜ばせるサービス精神が、このトリオにとって最優先とされた結果の産物と思われる。結果、ファンが多かっため、このトリオは「ザ・スリーサウンズ」という名を背負って1956年から1973年まで長きに渡って活動する。
大衆路線のジャズ演奏を手掛けるピアノトリオ、言い換えると「エンタメジャズ」。ライナーノーツでは、このジャンルを「ハッピージャズ」と呼んでいる。認知度の高いスタンダード曲を取り上げて、リスナー目線というかリスナー耳線で、耳心地が良くて楽しめる演奏をとことん突き詰めている。
かと言って、実力者揃いだから演奏のレベルは高いし、しっかりとジャズのツボを押さえた演奏となっている。本演奏では、ピアノのジーンハリスの粘り気あるブルースフィーリングと、バランスを取る軽快なドラムを中心としたグルーブ感を軸としたトリオの息のあった一体感がお見事。難しいことはせずに観客に寄り添って、アレンジを施して聴き手を楽しませる手腕は天下一品。
そんな事から、以下の通り一流のジャズミュージシャンとの共演作もある。
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スタンリータレンタイン共演作
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アニタオデイ共演作
変わったところでは、ビースティボーイズの楽曲でサンプリングされている演奏もある。先ずはこちらをお聴きください。
この4:04からの繰り返しフレーズが以下の楽曲で使用されています。ご機嫌な箇所ですね。
さて、ハッピージャズという括りが正しいのかは、判別が付きませんが、聴いていてハッピーになるのがオスカーピーターソンによる、こんな演奏。
本作と同じ1960年のピアノトリオの演奏に興味がある方はこちらをどうぞ。どれも個性的です。
最後に、商業主義的なジャズはいかがなものか、という話については、こちらをご覧ください。
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