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今日のジャズ: 9月18日、1962年@ニュージャージーRVG

Sep. 18, 1962 “It’s Easy to Remember”
by John Coltrane, McCoy Tyner, Reggie Workman & Elvin Jones at Ruby Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey for Impulse! (Ballads)

前紹介曲のエリントン格闘技演奏(以下)の翌日、この10日後に共演相手となるもう一方のコルトレーンが黄金のレギュラーカルテットでバラードアルバムを録音。

硬派で激しい演奏の多いコルトレーンだから、音数を控えてシンプルなアプローチのバラードを吹くと、個人的には物足りないからか全体的にぎこちない印象を受けてしまうが、それがまたコルトレーンの魅力と言える。

一説によるとコルトレーンのサックスのマウスピースの調子がいまひとつで、力強くブローが出来ないために、収録時にバラード曲に切り替えたとの由。

このアルバムでのコルトレーンの音色は確かに硬いし、時に神がかったように感情と演奏がシンクロするコルトレーン絶好調の演奏とはかけ離れて、体を絞り出すような音色で感情がかなり先行した印象を受ける。

勝手な憶測だが、もしかするとリードのせいだけではなくて”In a Sentimental Mood”をはじめとするバラード曲でのエリントンとの共演が控えているがために、前哨戦としてレギュラーカルテットでバラードアルバムに取り組んだ、と考えるのが自然なのかもしれない。

通常はパーカッシブなマッコイタイナーのピアノが影を潜めて、後に作曲集アルバムを発表する程に敬愛するエリントンを意識したかのような演奏も、それを意識したものだろうか。

1964年12月の収録作品

同レーベルのインパルスは、その後にVerveでボサノバを、そしてフュージョンを普及させたCTIに携わり、名作を多数輩出してジャズ界に貢献した名プロデューサーのクリードテイラーが立ち上げて、コルトレーンと契約、本作品等で売上を牽引して、その拡大に大きく寄与した。

このアルバムもテイラーの手腕によってロングセラーとなり、日本のテレビ番組のバーでの一献シーンに度々採用されて耳にしたことがある。個人的な見解を言わせてもらうと、コルトレーンのバラードは、”Song For Ernie”を含んだ”Soultrane”の飾らず気張らない自然体のコルトレーンの演奏が好み。そのSoultrane”からの激しい子守唄はこちらをどうぞ。

この曲、最後は切ない雰囲気のバラードを、全て吹っ飛ばしてリセットしてしまうような容赦無いエルビンの爆発的なドラムロールで幕を閉じるのも印象深い。最初から決め事だったのか、エルビンが大人しく演奏していた反動で最後にバシバシ叩きたくなったのか。いずれにしても採用されたのだから、クリードテイラーのお墨付きには違いない。ありきたりの演奏では、印象に残らない、という事か。

本曲はロジャースとハートの名コンビによるもの。そのコンビによる名曲「マイファニーバレンタイン」は、こちらをどうぞ。

最後に、コルトレーンが開眼、まさにブレークスルーした怪演はこちらからどうぞ。

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