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今日のジャズ: 8月27日、1962年@ニュージャージーRVG

August 27, 1962 “Three O’Clock In The Morning” by Dexter Gordon Quartet (Sonny Clark, Butch Warren, Billy Higgins) at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs for Blue Note (Go!)

「ラウンドミッドナイト」というジャズミュージシャンを題材とした映画の主役を務めたテナーサックス奏者、デクスターゴードンによるカルテット演奏。

お馴染みの「ウェストミンスターの鐘」のメロディーで始まり、終わるという構成。ゴードンは演奏のスタイルのみならず野太い硬派な音色で誰か判別出来る数少ない演奏者の一人。1:54の「ボーボーボー」のシグナルのような音から始まり、2:07からはガーシュイン兄弟による別スタンダード曲、”Nice Work If You Can Get It”の主旋律をなぞり、4:37にはメジャーリーグベースボールの試合で7回表終了時に「セブンス・イニング・ストレッチ」として流れる”Take Me To The Ball Game”を引用するなど終始ご機嫌でユーモアたっぷりに唄い上げる。ソニークラークの朗らかなピアノソロも秀逸。

本曲はスペイン出身のアルゼンチン人、フリオロブレドによる作曲で、1920年代に人気を博し、100万枚売り上げた最初の20ある作品の一つとなった。

ピアノのソニークラークは、ブルーノート作品を聴いてピアノ奏者を誰かと推測するが思い付かない場合、その大半がクラークという個人的な印象がある。明快なタッチで端正、且つ器用なので、大半の演奏者と分け隔てなく相性を合わせられるが、言い方を変えるとピアニストとしての個性がそれほど強くないために印象に残らないからかも知れない。

ゴードンとクラーク

本アルバムは、「全米録音資料登録簿」に「文化的、歴史的、または審美的に重要」との観点で登録されている由緒ある作品。1962年という、モード、フリー、ボサノバといったジャズ多様化の真っ只中において、ぶれずにゴードンがハードバッパーとしての本領を発揮した必須アルバムという背景が主な要因とのこと。因みに他に登録されているモダンジャズの主なアルバムは、以下の通り。

フランクシナトラ”Songs for Young Lovers (1954)”、アートブレイキー”A Night at Birdland Vol. 1&2 (1954)”、”Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book (1956)”、セロニアスモンク”Brilliant Corners (1956)“、“Ellington at Newport (1956)”、ルイアームストロング&ボビーダーリン”Mack the Knife (1956 & 1959)“、チャールズミンガス”Mingus Ah Um (1959)“、マイルスデイビス”Kind of Blue (1959)“、マックスローチ”We Insist! (1960)”、トニーベネット“I Left My Heart in San Francisco (1962)”、ジョンコルトレーン”A Love Supreme (1964)”、サラボーン”Live in Japan (1973)”等々

これまでに紹介した楽曲にも該当があるので改めて紹介しておきます。

モードジャズの口火を切った、”Giant Steps (1959)”

ジャズ史上最大のヒット、“Time Out (1959)”

フリージャズの幕開け、”The Shape of Jazz to Come (1959)“ 本曲と同じビリーヒギンズがドラムを叩いています。

ジャズギターを完成させたウエスの記念すべきデビュー作、“The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery (1960)”

ピアノトリオの現代に連なるフォーマットを形作った、ライブ演奏の名盤、”The Complete Village Vanguard Recordings (1961)“の一部


ボサノバジャズの金字塔、"Getz/Gilberto (1963)"

如何でしょうか。どれも納得の歴史的な意義を兼ね備えた作品と名演ばかりです。

さて、本作品のブッチウォレンによる太いベースに魅了された方は、こちらもどうぞ。

最後に、欧州に移住したゴードンによる本作翌年のパリ録音作品をどうぞ。

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