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市場価値を気にしすぎないほうが市場価値が高まるんじゃないかなという話

就職活動中の学生や若手社員と話をしていると、「市場価値を高めたい!」という声をよく聞きます。
「どこへ行っても通用する人材になりたい」という気持ちから現れたその意欲自体は賛成なのですが、短期的な市場価値に気をとられすぎないほうがいいんじゃないかな?とも思ったので筆をとりました。

市場価値を判断する要素には職務経歴書に書きやすいものと書きにくいものの2種類がある

なぜ短期的な市場価値に気をとられないほうがいいかを考えるために、市場価値とは何なのかを整理してみましょう。
市場価値というのは労働市場での価値のことを指します。●●の仕事ができる人には●●円くらいのお給料を払うぞ、というものです。

それで、市場価値(いくらのお給料を払えるか)を判断する要素を乱暴に分けると「職務経歴書に書きやすいもの」と「職務経歴書に書きにくいもの」の2つに分かれると思います。

職務経歴書に書きやすいものは、世の中に共通言語として認知されているスキルや経験のことです。
「Ruby でプログラミングできる」とか「新卒採用の経験が3年」とか「新規事業開発の経験がある」とかですね。

職務経歴書に書きやすいスキルや経験は、そのときそのときの需給バランスによって価値が変動するのが特徴です。
例えば今なら、「機械学習」「エンジニア採用」「上場準備」などの経験があると一気に市場価値が高まります。需要に対して、供給が少ないからですね。

もう1つの、職務経歴書に書きにくい市場価値というのは、世の中に共通言語として認識されておらず、目に見える成果が見えづらい種類のスキルや経験のことです。
例えば、「炎上しそうな案件を察知して未然に防げる」とか「A部署とB部署がギクシャクしているのをいい感じにフォローした」とかそういうやつです。これは職務経歴書には書きにくく、事情が分からない人に成果を正しく伝えるのは難しいです。

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書類に書きやすい市場価値にばかり目を向けると危険

「市場価値を高めるぞー」という話になったとき、多くの場合は前者の職務経歴書に書きやすい種類のスキルを身につけようということになりがちかと思います。

そういうスキルを身につけるために自身で勉強したり努力することはすごく良いことで大賛成なんですが、それにとらわれて仕事を選んだり、仕事の目的が市場価値を高めることになってしまうのは危険なんじゃないかなーと思います。

例えば開発の技術選定を行うとき。いまトレンドの技術だからといって、必ずしも顧客の課題を解決するのに適した技術とは限りません。
例えば人事部の仕事。エンジニア採用や制度構築などの職務経歴書に書きやすい仕事だけでは組織は回りません。職務経歴書に書きづらい、アピールしにくい種類の仕事も必要なわけです。

顧客と会社の貢献に集中すれば、自然と市場価値も高まる

当たり前の話ですが、会社が評価するのは会社に貢献して利益をもたらしてくれる人のはずです。世の中的に市場価値の高いスキルを持っていることと、自社に貢献して利益をもたらしてくれることは必ずしもイコールではありません。

ですので、目先の市場価値にとらわれて仕事を選んだり自社で役に立たないスキルを磨いている社員よりも、顧客のために・チームのためにどうすれば貢献できるかだけを考えて行動している社員のほうが会社に利益をもたらし、評価されます。
先に挙げた「炎上しそうな案件を察知して未然に防いだ」とか「A部署とB部署がギクシャクしているのをいい感じにフォローした」とかができる人は、職務経歴書に書きやすいスキルの有無にかかわらず評価されるはずです。

そして、こういった顧客のために・チームのためにどうすれば貢献できるかをひたすら考えて行動するほうが、結果的に市場価値は身につくと思っています。
状況を見定めて・何が必要かを特定し・課題解決のための行動をする、というのはいつ・どこに行っても求められる普遍的な能力だからです。

「機械学習」や「エンジニア採用」などのスキルは時代や場所によって要・不要が変動しますが、課題を見つけてそのとき必要なことをする能力はいつどんな時代でも求められます。

ですので、市場価値を高めたいと思う方・特に若い方は目先の市場価値にとらわれずに目の前の顧客やチームに貢献するために自分が何ができるか?に集中するほうがいいんじゃないかな、と思います。
そのほうが結果的に会社からも評価され・給料も上がり・自身の市場価値を高められるはずです。

【まとめ】
・市場価値を判断する要素には職務経歴書に書きやすいものと書きにくいものの2種類がある
・市場価値に書きやすいスキルや経験にばかりとらわれるよりも、顧客やチームへの貢献を第一に考えたほうが結果的に市場価値も高まる
・顧客やチームの貢献のために、課題を見つけて必要なことをするスキルは、いつどんな時代でも求められる

以上です。なお、職務経歴書に書きやすいようなスキルを身につけること自体はめちゃくちゃ重要なことで軽視しているわけではないことを最後に補足しておきます。

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