わたしの愛した打ち切り漫画たち(少年ジャンプ編)
GWなので(?)、筆者が好きな打ち切り漫画を紹介します!今回は、「週刊少年ジャンプ」作品限定です。
打ち切り漫画には打ち切り漫画ならではの味がありますよね。気になる作品があれば、GW最後の締めくくりとして読んでみてはいかが?
賢い犬リリエンタール 全4巻
ほっこりできる日常系SF
まず最初に紹介するのが、大人気作『ワールドトリガー』作者である葦原先生のジャンプ連載デビュー作『賢い犬リリエンタール』です。
ワールドトリガーはもちろん大好きですが、リリエンタールもつづいて欲しかった……。
ちょっと不思議な力を持つ賢い犬リリエンタールが織りなす日常系SF。葦原先生らしく、敵側も含めて悪人が出てこないのでストレスフリーで読めて、どのエピソードもほっこりできます。
物語終盤は打ち切りゆえの急展開ながら、それまでの伏線もしっかり回収してきれいに話を着地させているのはさすが葦原先生。
筆者の好きなキャラはスーパーうちゅうねことLLL(ローライズ・ロンリー・ロン毛)。
サバイビー 全3巻
絵柄に反したハードなストーリー
つづいて、つの丸先生の『サバイビー』。
ミツバチの主人公が種の存続をかけて、天敵であるスズメバチと死闘を繰り広げながら女王バチを守るお話。
絵柄と作者の印象からギャグ漫画を想像した方もいるかも知れませんが、めちゃくちゃシリアスでハードなストーリーです。
3巻でキッチリ物語は完結しており、打ち切りとは思えない完成度で、つの丸先生の漫画力を感じます。終盤の緊張感とハラハラ感、宿敵との対決は見もの。
筆者の好きなキャラはブル隊長。
P2! 全7巻
丁寧で誠実な作劇
次に紹介するのは、江尻先生の『P2!』。
運動音痴で卓球初心者の主人公が高校から卓球を始めるお話。キャラがそれぞれ魅力的で、キャラごとに熱狂的なファンがいるとかいないとか。
特筆すべきは主人公の覚醒理由です。「動体視力が良すぎるために躍動感がある絵を描けない」という、美術部を辞めた理由と初心者ながらに活躍できる理由をを同時に提示する丁寧で誠実な作劇。筆者はすごく好きだったんですが、ジャンプ漫画としては地味すぎたのかもしれません……。
筆者の好きなキャラは眞白くんと遊部さん。
フープメン 全2巻
ナナメ上の「初心者が活躍する理由」
次も地味めの部活漫画、川口先生の『フープメン』。
バスケ初心者の主人公が高校からバスケ部に入ってがんばるお話。バスケがめっちゃ上手い留学生が転校してきたことで物語が動き出します。
ちょっとここで筆者の考察を少しだけ。
『P2!』や『フープメン』のように、初心者を主人公にする作品は数多くあります。成長と活躍のドラマ・カタルシスを描きやすいからでしょう。そこでポイントとなるのは、「初心者が活躍する理由」です。簡単に活躍しては説得力がないし、かといって活躍しなさすぎても退屈してしまいます。初心者を活躍させる理由をどう描くかが、その漫画の個性になるのです。
ヒット作には、納得できる「初心者が活躍する理由」があるものです。
例えば、『スラムダンク』では身体能力によるリバウンド・『アイシールド21』ではパシリにより鍛えられた脚力・『坂道ペダル』では秋葉原通いで鍛えられたハイケイデンスなど。
話を『フープメン』に戻すと、『フープメン』での「初心者が活躍する理由」は、「英語が話せるのでバスケの上手い留学生の通訳ができる」でした。ナナメ上すぎる!!
そんなナナメ上の個性を持たせた『フープメン』、等身大のさわやかな部活漫画として良作です。
筆者の好きなキャラは留学生のジョシュ。
LIGHT WING 全3巻
読者を2秒で振り切る快作
良作だけど、少年漫画としては少し地味だった『P2!』と『フープメン』の次に紹介するのは、神海先生の『LIGHT WING』。連載初回から、「主人公ひとり V.S 100人でサッカー」というド派手な展開で読者を置いてけぼりにした快作です。
特筆すべきは、物語終盤の怒涛の能力者ラッシュ。打ち切り漫画らしいヤケクソさが感じられて大好きです。主人公の背中に生えている羽で、相手選手をぶん殴って吹っ飛ばしたのは腹かかえて笑いました。その羽、イメージじゃなくて物理的に生えてるんか!
筆者の好きなキャラは佐治先輩。能力名は「イヴァン皇帝(エゴイスティック・エンペラー)」。カタカナに読み仮名つくってなんだよ!大好き。
仏ゾーン 全3巻
仏教は少年漫画向き
最後に紹介するのは、『シャーマンキング』で有名な武井先生の『仏ゾーン』。
タイトルのとおり仏像をテーマにしていて、主人公は千手観音。仲間に地蔵や狛犬、馬頭観音など、仏像好きには(?)たまらない一作。主人公の必殺技が「千手パンチ」とどストレートなのが好きでした。
仏教や仏像って、めちゃくちゃ少年漫画向けのテーマだと思うんですよね。千手観音の「手がたくさんあるから多くの人を救える」みたいな厨二感のある設定が各仏像にはあるわけで。天龍八部衆とか七福神とかキャラも豊富だし、少年漫画で使い古された「四天王」も元々は仏教からですしね。
だけれど、ジャンプでは人気が出ませんでしたねえ、残念。ちなみに、ヒロインのサチは『シャーマンキング』のサティとして登場しています。持霊はセンジュなんだとか。
筆者の好きなキャラは地蔵のジゾウ。
以上、筆者の好きな打ち切り漫画を紹介しました。皆さんの好きな打ち切り漫画があれば、コメントやツイートでぜひ教えてください。
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