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心地よく暮らす。

NPO法人たがやすで運営している民営図書館「本と一筆」の本棚オーナーさんが、置いてくださっている一冊を私が読んで感じたこと、考えたことについて綴りたいと思います。

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「栗原はるみ 私の週末。」

最愛の旦那さんを亡くした栗原はるみさん
今まではふたりで楽しく過ごしていた時間を、どうやったら1人で楽しく過ごせるのか。
残りの人生を悔いなく生きるために、悩み、向き合いながら楽しく暮らしている姿を、時間や空気を感じさせてくれる素敵な写真と一緒に、心地よく紹介してくれる一冊でした。


1. 心地良さ

私がこの一冊を読みながら感じていたのは、心地よさでした。栗原さん自身が心地よく暮らしているということが、私たち読者に自然と伝わるのだと思います。

そんな素敵な栗原さんが暮らしの中で大切にしていることで、印象的だったことが2つありました。

ひとつが、”お気に入りのものだけを身の周りに置くこと”
ふたつめが、”自分でひと工夫して丁寧に作ることを楽しむこと”

2. お気に入りで世界観をつくる

栗原さんは、日常で使うものは自分の価値観にあったお気に入りのものだけにすることで、自分らしく過ごせる空間を作っています。お気に入りのものを愛でて、大切にすることで、自分が心地よく過ごせる世界観が作られていくのかもしれません。

器が好きな栗原さんは、旦那さんとの思い出の器を飾ったり、
ご家族やご友人が集まる大切な食事の時間を、お気に入りの食器を使うことで、
食卓を彩っているそうです。
家族と過ごす時間にともにある器が人生の風景の一部となり、暮らしを豊かなものに、より一層心地よい時間を過ごすことができているのだと思います。

人生の風景の一部となったお気に入りのものたちが、暮らしに彩りをもたらし、心地よい時間を過ごす。
暮らしの細部にもこだわりながら過ごしたいと、なんだかワクワクした気持ちになりました。


3. ひと手間かけた幸せ

栗原さんが大切にしている、”自分でひと工夫して丁寧に作ることを楽しむこと”
何気ない日常も、ちょっとした手間と工夫で豊かなものになる。
その積み重ねが幸せな人生を送るための大切なことのひとつなのかもしれません。

時間がないからと、かけずに疎かに過ごしてしまうことで、幸せを感じるゆったりとした時間を逃し、さらに時間に追われる感覚になるのかもしれません。
栗原さんの素敵な時間を過ごし方を見ながら、少し反省もしました。

4.建築と料理

”ひと手間かけること”について建築家の岡田宰さんが栗原さんと同じような考えを綴られていました。
建築家と料理家は、違うものをつくっているようで、同じものを作っているのかもしれません。

建築家は、機能性、安全性、環境や文化的背景に配慮しながら、居住者が幸せに暮らせるように設計を行います。
同じように、料理家は、食品の選択、栄養バランス、そして料理の美味しさや見た目、食事を提供する環境について考慮して、料理をつくります。

両方とも、人々が幸せに暮らし、豊かな人生を送るためのものです。
目に見えて出来上がったものは違っても、目的が同じでつくるプロセスには共通部分がありそうです。
違う分野でも共通することは、ものづくりにおいて本質的なものなのかもしれません。

自分が専門としていること以外について考えてみることで、自分の専門領域にフィードバックできることはあるなと改めて感じました。


5. 心地よく暮らす

暮らすことは、ただ生きることだけではなく、自分自身や周りの人たちとの関わり、自然との関わり、様々な要素が絡み合って成り立っています。
栗原さんは、自分の暮らしをかたちづくる”関わり”を捉え、自身の暮らしを大切にすることをとおして、自分自身や周りの人たち、そして自然との関わりを深めているように感じました。

好きなものや大切にしていることを見つけ、心地よさや幸せを感じるためにひと工夫する。きっとそのひと工夫できるところは目を凝らせばたくさんあるのだと思います。

そして、栗原さんが思い出の器を大切に飾ったりするように、大切なものに目を向け、丁寧に暮らす中で、自然と目につくようになり、心地よい暮らしがかたちづくられていくのかもしれません。

我が家では、栗原さんのレシピを参考に夕食を作り、幸せな時間を過ごせました。
(私はページを開きながらリクエストしただけ笑)

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