「歴史とは何か」を読む10 ー歴史を時代に分ける「○○史」というのは、事実ではなく必要な仮説ー

原理と事実の間、理論値実践のあいだの交互作用のプロセスによって新しい発見に進む事は歴史家にも当てはまります。

歴史家はすでに基本法則を追い求めることは断念していますし、「こと」がどう働くのかを究明できれば十分なのです。

歴史を時代に分けるのは事実ではなく、必要な仮説あるいは思考の道具です。それが有効なのは「こと」に光をあてるかぎりであり、解釈に有効かどうかにかかっています。

同様に歴史を地域史に分けるのは事実ではなく仮説です。ヨーロッパ史という区分は、ある文脈では有効であり実りある仮説でしょうが、別の文脈では過ちを招き有害です。

最近では科学者も歴史家も仕事の進め方は本質的に同じと見ます。そこで、

諸科学と歴史学とのあいだには基本的な違いがありこの違いゆえに歴史を科学と呼ぶことは過ちを招く

といった議論について考察したいと存じます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?