彦坂尚嘉氏の最新個展情報

以下動画の冒頭。

【イスラエルとジャニーズ】第二次大戦後の問題として共通している

彦坂なおよし
https://www.youtube.com/watch?v=8vRKk9L7FmI

彦坂氏、かなり憔悴している様子が私からは見える。

彦坂氏は田村彰英氏の写真論で数年前、「強者(加害者。例:アメリカ、イギリス)」の側に立つという(私はこれを左翼美術業界内での椅子取り的な戦術だと見ていたが)論陣を張っていたが、ここに来て感情とそういう閉じた業界内での政治レベル双方で引き裂かれている様子が私からは伺える。

彦坂氏はジャニー喜多川への評価も、現在の事件化前は非常に高いものだった(主にその権力性に対して)。現在はそのトーンを落とさざるを得ない。


最近のイスラエル、パレスチナの問題に関して。

彦坂尚嘉さんの格付けだと、ネタニヤフを「想像界しかない顔」とか言いそうだな。私は実は彦坂さんと(Twitterで東浩紀氏と彦坂氏の対決事件以来)相互ブロック状態なので、実際は分からないが。


実は一週間ぐらい前、彦坂尚嘉さんの個展の情報を氏の動画で知ってから、レセプション(今日が初日)に奇襲してみようかという案も内心よぎったのだが、時間切れ。もう始まる時刻。体が動く契機を結局生まなかったのだ。私はそれに従うことを決めていた。色々な思考が別個にないわけではない。

SNSで相互ブロックをし、以来氏は私のnoteを読んでいることは分かっていた。こういうのを「インテリジェンス」と呼ぶ。彦坂氏の動画では、(私にしか分からない)私への隠れたメッセージが実に長い期間に渡って頻繁に読み取れる。


ところでイスラエル、パレスチナの問題に関しては私も相当関心を持っている。私が最も現在気になっているのは以下のポイント。彦坂尚嘉さんならどう思うのか?

氏のラカン読書会にも一度だけ参加させてもらったことがあり、フロイト(『モーセと一神教』)は氏にとって継続して重要な議題だったと思われるので。

まだ「対テロ戦争以後」が信じられていた去年の記事。ユダヤ教徒の神への「信仰」についての部分。

エルサレムで振り返る 2022年の世界【岩間陽子】【池内恵】
https://koken-publication.com/archives/1780

池内「イスラエルという国は建国時は西欧的な世俗的な民族主義をめざす人たちによってつくられたものであって、イスラエルでも公的空間は世俗法で統治し、ユダヤ教の宗教規範は家の中で守っていれば良いという考え方が有力でした。それがイスラエル建国の父たちの主流派でした。旧約聖書を文字通りそのまま読む限りでは、「自らの力でイスラエルという国家をつくれ」と神に命じられたとは言いにくい。」

池内「ユダヤ人の歴史は、国をつくるたびに異教徒によって破壊されることの連続です。神は全知全能と信じられているので、起こったことはすべて神の意志であって、人間にとってあまりに不当だと思われることも正しく、意味があるとされるわけです。つまり、神の意志によってユダヤ人は国を滅ぼされ、神殿を壊され、ディアスポラさせられた。
 同時に、ユダヤ教はこの苦難を耐え忍んで家の中で聖書を読んで生き延びれば、やがて神がその意志で任意の時期にエルサレムに神殿を打ち立てユダヤ人の王国をつくってくれる。それをユダヤ人は信じて待つしかない。待っていれば神がユダヤ人のために国を建ててくれて、ユダヤ人だけが天国に行ける。この神の意志に逆らって、現世にイスラエルという国をユダヤ人が自分の手でつくること自体がユダヤ法的には違法であるとすら言えるわけですよね。
 ただし、今のヨルダン川の西岸(ユダヤ・サマリア)を含むパレスチナの土地の多くの部分は聖書においてユダヤ人に与えられた約束の地だとは読める。そこから、パレスチナにアラブ人がその後に住んでいたとしても、神の法のほうが上位にあるのだから、権利はユダヤ人にある、というのがイスラエルに帰ってきたユダヤ人の認識です。つまりイスラエルという国をつくることに関しては、それが宗教的に命じられたものなのか、宗教の法を国家の統治の基本とするかに関しては意見は分かれていても、ユダヤ人がパレスチナの土地の所有権を持つ、というイスラエル国家建設の前提となる信念や根拠は聖書に求められているのです。
 そうなると、イスラエル国家を人間の意志でつくることについては消極的だけれども、しかしできてしまったイスラエルには住んでよくて、そして神に与えられた約束の地を耕すのは神の命令に従う義務だと考えて、ヨルダン川の西岸の入植地建設を支持する、ということになります。近代国家の命令には従わないけれども、神の課した義務を履行する権利は主張する。これを世俗的な近代国家を建設したユダヤ人も受け入れざるを得ない。世界中からユダヤ人がパレスチナにやってきてイスラエルが成り立っているのは、パレスチナの地をユダヤ人に与えたことが神の意志でありユダヤ人は帰れるならそこに帰るのが義務である、という信仰なしにはイスラエルは存在し得ない。
 世俗的で政教分離の考え方で民族主義によって国をつくりたいという人は、今ではおそらく多数派ではないと思います。またそういう世俗的なユダヤ人にとっての理想的な国家は、すでにアメリカで実現していると考えることもできるので、世俗的なユダヤ人としてはあえてイスラエルに移民する必要はないわけですよね。他に行き場がなかった初期の段階はともかく、後から移民してくる人たちは基本的にユダヤ教の考え方や聖書に従って生きたいからイスラエルに来る。そうすると、神が「産めよ、増やせよ」と言っているから、子どもを5人も10人も持つ、人間がつくったに過ぎない国家を支える兵役や経済活動はしない、という超正統派がイスラエルに集まってきて一大勢力になっていく。
 ですから、世界各地では場合によってはユダヤ人の世俗的な人からは狂信者のように見られていた人たちが、多くイスラエルに移住してくる。宗教的な観点でイスラエルを選ぶ人たちが多いので社会が構造的に宗教的になっていくんですよね。」

池内「11月の総選挙の結果ネタニヤフ首相が返り咲くことになりましたが、彼は民主的制度の中で選挙で勝つために同盟者を選ぶので、こういった超正統派の人たちに手を伸ばして取り込んでいきます。そうして打ち出した政策が国際的には評判が悪くても、内政上の基盤は強いのです。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?