Fakkin! bullshit! TokYo,Boy!

オマル マン氏との対談、第30回目。

(3月1日対談分)

K「オマル マンさん、こんにちは。なぜか、池内氏によりギリシアが議論になっている(今の状況下で)。ヨーロッパの「縁辺」としてのギリシア。興味深い・・。」

Satoshi Ikeuchi 池内恵@chutoislam· 3月1日
まあそう思いたいのがナショナリズムや自己中心主義というやつで、それを普遍として世界に認めさせたのが近代ヨーロッパなんですな。認めさせても理念と現実は違うので辺境部で矛盾が出て来る。矛盾は矛盾として存在は認めた方がいいのでは。別にギリシアはトルコのものだと言っているわけではない。
引用ツイート

wagashichan@wagashichan · 3月1日
返信先: @chutoislamさん
そういう考え方も分かるのですが、
ヨーロッパ意識の土台となっているのはローマ帝国と思いますが、その主要な一翼を担っていたギリシャ、更にはその中心である南欧地中海文化も中東の影響によるものとするのは、やや中東中心主義ともいえそうな気もしますね
https://twitter.com/chutoislam/status/1498478420325404672
Satoshi Ikeuchi 池内恵@chutoislam· 3月1日
中東って中身はエルサレムとかでしょう世界史に残したものの大きさ見ても。メッカとかはイスラーム教がユダヤ教やキリスト教と部族の宗教が摩擦起こして出て来る辺境だったわけで。
近代から逆算して、一部地域の古代と直結させて、中東まで無理やりヨーロッパとして見たがるのがヨーロッパ中心主義。
引用ツイート

wagashichan@wagashichan · 3月1日
返信先: @chutoislamさん
それは地中海性であって中東性とは違うのではと思いますよ

ヨーロッパ性を北欧性、中東性を地中海性と暗に前提していればギリシャは欧州より中東
と言いたくなると思いますが

南欧も欧州、中東性をアラビア半島やメソポタミアやガルフと考えればギリシャは相当に欧州文化かと

Satoshi Ikeuchi 池内恵@chutoislam·5時間
ヨーロッパ中心主義を、その中心でやってる分には身近なところで矛盾は見えないんだけど、ギリシアみたいな縁辺部を無理やりヨーロッパだと言い張っていると矛盾が生じる。
Satoshi Ikeuchi 池内恵@chutoislam·4時間
中身→中心
https://twitter.com/chutoislam/status/1498471053458214914

O「加藤さん、こんにちは。池内ってサイード批判でも有名ですよね。」

K「そうなんですか。」

O「そうですね。サイードの中東理解は出鱈目って。」

小さな本にこめられた、現代のイスラム談義への大きな批判。(『CUT』2006 年 5 月) 山形浩生
https://cruel.org/cut/cut200605.html?fbclid=IwAR0QzJ6Oe7x3LaYF4h1sGIBDn-BILo_YT7R2btLixoCTzTzwUfAVvrRaLLM

K「へー。私はサイード『オリエンタリズム』を買ったまま、今まで読んでいませんでした。そういえば。」

O「上記のツイートは、彼の言説活動のなかでは一貫しているものなんですよね。だから多めにツイートしている...。看過できないトピックなのでしょう。オリエンタリズムとかウォーラ―ステインとかが80年代のニューアカの時に流行しましたよね。網野善彦などもその文脈で「流行」した。池内恵を観察していると、「左翼嫌い」「ヨーロッパ中心主義批判」は、根底にあると思う。Twitterで、父親の池内紀とのエピソードを交えて左翼(全共闘世代の)への嫌悪を何度も表明している。」

「なので、今回のウクライナの件は関係ないというか、彼の「一家言」だと思うけれど...。ちなみに、ウクライナの件、まだまだ全然わからないが、大筋はちょっと見えてきた気がしている。」

K「ウクライナは関係ないですね。池内のライフワーク的な部分と。私は「ギリシア」部分が話題になっていたので、つい反応してしまいました。」

O「ギリシアといえば加藤さんですから。」

K「脊髄反射(笑)。」

O「アメリカがどう動くのか? より具体的に述べると、「国際秩序」をどう再構築するのか?ということ。プーチンとはもう「交渉」しない、という路線はほぼ確定。ユーロ、というか、アメリカーロシア間ですね。私の興味はそっちに移っている。」

K「アメリカ、ロシア間。」

O「そうです。そこが絶対に抜けてはいけない。」

「思うに今回の件、アメリカがやけに「静か」ですけど、内部ではめちゃめちゃ動いている筈。タイムリミットがあるから。近々、バイデンから「プーチンとは妥協しない!」という強力なメッセージを発すると予想している。」

K「情報を公開したのが、正解だったのかどうか?が、今巷で議論されていますね。」

神保 謙 (Ken JIMBO)@kenj0126· 3月1日
返信先: @tnak0214さん, @show_muranoさん
米ホワイトハウスが情報暴露によって事態の好転を期待したとしたら、その想定の方が心配です。抑止理論上は介入の意思と能力を示すか、介入意思が確定できないのであればその意思を不明確(曖昧)にするのが通常です。介入意思がないことを明確にする、というのはちょっと理解できないのですよね。
https://twitter.com/kenj0126/status/1498474266173800451

O「スウェーデンの動きの異常な早さもそうですが、おそらくロシア抜きの「国際秩序」を大急ぎで構築している最中のはずです。今、まさに従来の「ヨーロッパ」が崩壊しているのです。」

K「「ロシア抜きの世界」、すごいですね。同時に起こっているのは、ヨーロッパの崩壊?」

O「「冷戦再開」という語を誰がはじめに使うのか? ロシア抜きのヨーロッパはありえない、というほどに今のヨーロッパはロシアに頼っていたのですから。ドイツもフランスも真っ青だと思いますよ。一気に素寒貧になるかもしれない。」

K「エネルギー問題ですね。」

O「まさにそうですね。だから「タイムリミット」という言葉を使ったのですけど、沈む前に打つ手を全て打っておく必要がある。特にアメリカは。世界の盟主として。最悪、国際秩序のリーダーの座も危うくなる。」

K「ドイツのEUでの存在の大きさ。ドイツがウクライナに武器供与をし始めた。」

O「「世界戦争」はいつも、経済破綻から始まりますから。マジで心配です。」

K「「沈む前に」。」

O「ロシア抜きの国際秩序が確定するのが、いつのタイミングになるのか。早ければ早い程、被害は少なくなる可能性が高い。ボロボロになった後では遅い。」

K「産業への打撃の例。イギリス。」

Satoshi Ikeuchi 池内恵@chutoislam·13時間
BP、ロスネフチ株売却へ 英当局から圧力 #NewsPicks
https://twitter.com/chutoislam/status/1498258229515943937

「英エネルギー大手BPは27日、保有しているロシアの政府系石油会社ロスネフチ株20%弱を全て売却すると明らかにした。ロシアがウクライナに侵攻する中、BPは英当局者から、ロスネフチ株を売却するよう迫られていた。
 BPは140億ドル(約1兆6100億円)相当のロスネフチ株売却による影響や多額の為替差損で、最大250億ドル(約2兆8800億円)の損失を出す可能性に直面する。BPは現在、石油・ガス生産の約3分の1をロスネフチに依存している。」

O「世界恐慌はもうすぐ後ろに。」

(3月2日対談分)

K「ウクライナ侵攻から脱線。茂木健一郎の話題。茂木氏「笑いの本質って、もっと自由競争でアナーキーなものでいいと思う。」「権力者に気に入られるか気に入られないかの競争になっているのは、構造としておかしい。」「日本の社会の構造を表している。」」

松本人志さんと日本のお笑いの構造問題、そしてニーチェ
https://www.youtube.com/watch?v=9F8MAelLG1Y&t=300s

「茂木氏「僕も今まで、そういうこと遠慮して言わなかったんですけど。もうはっきり言うべき時が来たんだろうな、と。」「いつも自分が体制側・世論側にいるという、ポジション取りゲームになっちゃっている。あんまりクリエイティブで面白いことがない。」」

O「有吉から「賢いホームレス」と言われたんだけど...」

K「「地上波文化」。」

O「正直、茂木氏が「笑い」に異常にこだわる、その何か特別な理由があってのことなのは、個人的に確信しているところなのですが、決定打はまだ分かっていません。地上波文化って、アートにもあるし、政治にもある。「保守」というくくりでいえば、ほとんど「宗教」的といってもいい。ようするに「保守」感覚でしょうね。茂木が敵対したい、その総体というものは。」

K「「お笑い界の権力者(例。松本人志)に翼賛している構造はおかしい。それやっていると、この国は駄目ですね。」言い換えると、「アート界の権力者(例。〇〇)に翼賛している構造はおかしい。それやっていると、この国は駄目ですね。」」

O「茂木は、「〇〇の権力者」っていうけど、アメリカでも一緒ですけどね。」

米TV界を揺るがした悪質セクハラ事件! その真実が明らかに!! 映画『スキャンダル』
https://www.banger.jp/movie/28012/?fbclid=IwAR11PPD2Ozc8wr57XOQf6h6k7Ttp6JGLonXZe_ytvVqs31n-39pd2lLmR3k

K「会田誠作品も。(日本的・ここでいう否定的意味合いでの)「お笑い」。」

O「FOXニュースのCEOのロジャー・エイルズが、タレントに枕営業を強要していた。したがって、とりわけて日本の問題ということではない。茂木がたびたび称賛するイギリスのコメディだって、裏では権力構造があるに決まっている。」

K「同じですね。一頃前から取り沙汰されている。」

O「同じですね。「権力者○○を翼賛している構造はおかしい」(by 茂木)、は万国にあります。だから逆に、気になって仕方がないのです。なんで茂木が日本のお笑いをディスるのか...」

K「しかし、ジェフ・クーンズ作品が「お笑い」かというと、違う。マイク・ケリーも。」

O「だから、彼らによって「救い」があるのは、たしかに。日本だと、、」

K「イギリスのダミアン・ハーストは「お笑い」と言っても良いと思う。日本にもフィット感が強い(今やっているようです)。茂木氏がアートで言及するのは、名前を出してハースト(これまでは、おそらくは無自覚に、肯定的に)。ここら辺が茂木氏は揺れている。」

O「揺れているものの一端は、イギリス的な、アングロサクソン的な進歩の気風でしょうね。その尖端としてハーストを置きたい、という感じで。」

 K

会田誠さんがリツイート

貴族@hasegawa_fusao·4時間
現代アート過激派はブルーシートと缶ビール持ってハースト展いく
https://twitter.com/hasegawa_fusao/status/1498853642161766400

「フィット感なんでしょうね。」

O「そうそう。ハーストのインタビューでも。「科学」とかやけに言いたがる。」

K「あ、今言ったのは、会田に代表される日本アートの「お笑い」の感性と、ハーストのそれとのフィット感の方でした。」

O「茂木氏のハースト肯定は、やはり、やや胡散臭い。」

K「ハーストと茂木氏にフィット感が生じるのは、「科学」だと。」

O「そうですね。保守感覚に唾を吐くハーストが好き、みたいな。ハーストのどこが「進歩」なのか?...笑。茂木氏が描いた絵画を見たことがある。ハーストみたいだった。表面だけファンキーというか進歩的で。」

K「私は、ハーストの評価はゼロで、クーンズ、ケリーの方が頑強な「伝統保守」。で、私は評価。ダダのピカビアに対して、ケリーの正統的な継承形態。「保守」。意味が違いますが。」

O「茂木が嫌っている「保守」というのは、なんというか大衆的な保守でしょうね。」

K「ハーストは、歴史からの「孤児」。会田もそう。」

O「文化防衛的に固まった保守。」

K「「孤児」仲間の群れ。」

O「「縄張り」争いに汲々としている一群というか。マイクケリーはそういった意味では、全く違う存在でしょう。」

K「「個」でしょう。歴史と単独でつながった。そういう複数的存在が、20世期後半以後のアメリカにはあった。」

O「茂木にモリスを教えてやったら、そのコメントごと削除されたことがあった。」

K「アートの目で見ると、茂木氏も「孤児」としてこの世界を彷徨っているように私には見えてしまう。」

O「靉光も知らなかった。→茂木。「靉光...?(画像検索)へぇ...」って、ライブで。芸術に民主主義を導入しているから。彼は。」

K「「孤児」(の群れであること)をやめて「歴史」と繋がることの、拒否ですね。」

O「そうですね。「孤児」ですね。根本が間違ってます。」

K「「孤児」のままで群れていることの心地よさがある。」

O「私のパンチが強烈すぎて、パージされました。対話が成り立ったのは、3か月くらいだったかな。最後は、お前嫌いだ!大嫌いだ!ってなった。」

K「うーん。それは知らなかった。」

O「挑発で「私はカースト主義です」って言ったのが決定打だったかも(笑)、」

「「小室圭様は真の勝者です」とか。」

K「うんうん。」

O「茂木のイデオロギーを解体したくなって。」

「だから、彼はやっぱり「モデル」があるんですよ。それが、私には有害に見える。「動員」への欲望を捨てきれない。麻薬なのか。」

K「オマル マンさんの、茂木氏への冒険的な行動。でも、茂木氏の反応は、参照点として貴重なもの。それが日本のアート業界の「駄目さ」「自閉した保守性」を、茂木氏という業界外部から(あるいは縁辺から)、見事に浮かび上がらせている。」

O「動員さえすれば集合知が働いて、アートも正常に働く、みたいなモデル。マイクケリーみたいな存在は1000年も稀かもしれないのに。スケールの問題。」

K「AIが算出したような解ですね。」

「「自分も脳を、0.1%も使えていないと思う。」と茂木氏。最近の動画で。」

O「たしかに聡明ですが、アートの神妙さに触れられる人とは思えない。現に証拠に、彼の「作品」はひとつもないし。笑いっていっても、彼が「笑い」をとった場面もない。「脳と仮想」が代表作。いわく「小林秀雄へのオマージュ」。」

「「人間」というものが強く主体にあって、この世には人間以上のものがある、ということを認めたがらないのではないか。だから、例えば最近でも、プーチンを評価できない。」

K「一言で言えば、そうですね。そこが、具体的に名前を出されても(皆が名を出していないから)拒否という短絡につながってしまう。」

O「「プーチンだって、昔はリトルプーチンだった...(しんみり)」とかそういうことを言う。もうひとつ。どっかで「宗教的天才を科学的に記述できない」とかいってる動画があるのですが、そこからもわかるが、歴史への感受性がない。このドンくささは、池田信夫と通じる。読み飛ばし。ポーズで天才を翼賛するが、近距離に実物がいたら、「べつに...(なにがすごいの?)」と。認めないタイプ。」

K「(日本における)「無名」が何よりも怖いんですね。しかし、アメリカの政治を考えると、二十世紀後半以後のポロックに始まり(モリス、エルズワース・ケリーを含めた)上記固有名をアメリカは残していく。茂木氏は、自称する「愛国者」ではなくなる。(https://ja.wikipedia.org/wiki/エルズワース・ケリー)」

O「そうですね。「十全」に「歴史」となってますよね。完膚なきまでに。茂木のいう「有名」は、時がたてば、消し飛ぶ可能性が高い。」

K「目に見えたことだと思うんですよ。日本は没落すると。これを続けていけば。真の自由主義、愛国者は誰かと。茂木氏の日本の「お笑い」批判は、内容的には正しい。」

O「「内容的に正しい。だが...」ですね。」

K「しかし、真の「痛点」としての「対象」からは、(どうしても)ずれている。」

O「目が曇っていると。シンプルにいうと。」

K「「お前は目が曇っているぞ!!」(笑)。」

「頭いいのに。」

O「頭いいが凶器になっている。今だと。」

K「真の優しさ、人間の暖かさをまだ知らない。」

O「太陽神、加藤豪。アポロン。」

K「茂木氏、私の感触として、悪い方向へは行っていないと思うんですよね。いい意味で変化の途上にあることが感じられる。」

O「そこは同意します。一時期、私も彼に、とても興味がすごくあったのですよ。彼は業界を批判するが、彼自身が業界慣れしすぎている。業界の臭みを抜け!と。まずはそこからだ。京都とかにいって、10年くらい濾過したら、良い感じになりそう。絶対、「東京」を手放さないのだもの。そこが間違いだと思う。文壇バーで島田雅彦とか内田樹とかと呑むのが、そんなにいいのか?と。」

K「業界慣れしているところが、苦しいところでしょうでね。それで生存できているところを、簡単に外すと、危機になるから。確かに心配はある。言葉が凶器化すると。」

「だから「コメディ」を連打しているのは、その危機への対処なのだと見ることもできる。「暴走する自己」の対象化(おそらく、プーチンと自己をも重ねて)。」

O「傷をつけずに殴る、という東京人のスマートさですよね。」

K「そうですね。」

O「東京の人は、見えないところで、「ああ、あれは田舎もんだから...笑」って鼻でわらっている。そういう嫌味が染みついている。そういう隠された陰険な凶暴性があるのだけど。」

「ワタクシのような九州男児としては、あの界隈は、真っ向から叩き潰すしかないと。」

K「なるほど、そういう方向。「断層」ができたんですね。そこで。」

「日本の内在的な、「文化」対立が明瞭化した。私は、その中間地点か(?)。」

「京都の「上品」でもないし。」

O「どんどん断層化していってほしい。」

K「「断層化」の促進か。」

O「あながち冗談ではなく。最近の大阪なんかの不気味な感じとかも。矢作俊彦の「あ・じゃ・ぱん」的な世界観ができつつある。田中角栄膝下の新潟が首都、みたいな。」

K「日本列島、断層化。それしかないのかもしれませんね。」

「現実的に。」

O「例えば、北海道がウクライナみたいに「独立宣言」したら、日本政府はどうするのだろう?とか、昨晩考えていた。攻め込んだら、プーチンよろしく「悪人」呼ばわりされるのだろうか。」

「NATOは北海道をサポートします!とか。これは、思考実験だけど、よりリアルに考えたいところですよね。茂木の最近のふるまいは、露悪的な「東京野郎」ってことなのかな...?」

K「そうですね。私とオマル マンさんの対談も、(今や)九州と名古屋の連盟みたいになっている(笑)。文化的な対立軸が明瞭化する。」

O「名古屋は、齋藤道三ですからね。羨ましい。後釜が信長。戦国の中心地。」

K「茂木氏は全体的なことを考えているのだけど、やはりオマル マンさんが指摘する東京という「部分」に、思考が(おそらくもっぱら生存のため)拘束されている面は確かにある。」

O「ありますよね。絶対に。最近、大江健三郎をよく語ろうとしているのも、その自己の限界を突破したい、その糸口として。読んでいるような感じがする。」

K「大江健三郎は、確かに東京人ではないですもんね。全く。」

O「東京人ではないですね。でもとくに60年代~70年代の東京の若者が一番熱心に読んだ作家ですし。田舎者でもない。不思議な世界観をもっている。天才だとは思う。個人的に好きではない作家だが。」

K「『芽むしり仔撃ち』1958年。」

O「それでも、万延元年のフットボール、は10回くらい通読している。講談社の文庫を、普段用と風呂用の2冊持ってました。」

K「初期の『飼育」とか、『セブンティーン』は、感覚が東京ですね。フィット感が。」

O「大江の最大の特徴は、登場人物がみんな総じて、狂っている。みんな頭がおかしい。あのワイルドな感じが東京にフィットしているのかもしれない。」

K「『セブンティーン』の主人公は、「自暴自棄」。」

O「三島が大絶賛した作品ですね。セブンティーン。」

「たぶん、フランス実存主義のパクリなんだろうけど、どくとくの味がありますよね。日本的な詩情もある。」

K「主人公が鏡を見るシーン。「下膨れで恨みがましい目」(風呂場で自慰後に)。「下膨れで恨みがましい目」って、大江そのものだから。笑いがある。」

O「あの芸風をチェンジしたくて、本人は苦労した。」

K「そうなんだ。チェンジする必要があったんだ・・。」

O「40歳で「セブンティーン」みたいなのを書くのは、いろいろ厳しいでしょうね笑。作家の場合、「平凡」を見事に書くのが、一番むずかしい。」

K「それはそうですね。」

O「二流以下の作家は、大概「事件」や「異常」を書く。それしか書けない。あと「社会」。」

K「しかし、当時の読者の大江への鮮烈さは、その青春小説としてのそれでしょうね。」

O「そうですね。だからサリンジャーみたいな作家として残る可能性が高かったけど。本人が頑張って、後期のような不思議な作風に。後期は、ワイルドさはなくなったけど、抒情性がけっこう残っている。」

K「中期・後期、私はまったく読んでいないんですよ。」

O「初期が一番好きな人が多いでしょう。私は後期がけっこう好きです。グッと泣かせる作風に。年老いた元天才少年、という感じ。」

K「最初の最初だけ。あとは、メディアに登場する姿だけ。子息を、広島の原爆資料館に手をとってほとんど無理強いして連れていく番組など、印象的でした。」

「浅田彰曰く「大江は、暴力への感受性が凄い。」」

O「実際の人物は評判悪いです。この部分だけ、茂木と通じるのかも...」

(対談、一旦中断後)

K「先ほどの追記として。オマル マンさんは茂木氏に、空虚な権力者が支配する構造(ラカン的)を批判する意味で(本当の実力者による)「ヒエラルキーが大事」と発したのだが、茂木氏に誤解されてしまった(=悲劇?、悲喜劇)という構図だと私は思いました。」

「オマル マンさんの優れたところは、最初に「解」がバーンと出てくるところ。最初は私も面食らうのですが。「断層が大事」というのも。攻めている。ここがアート的。」

「面白いわ。」

「「断層」に陥らないと、人の思考は回り始めない。」

「断層的思考は、瞬時は自分が持っている思考の枠が拒絶をし(=何が起こったのか分からない)中断、一定の時間を置き、じわじわーっと浮かび上がってくる。」


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