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大アジア思想活劇ーー仏教が結んだ、もうひとつの近代史

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教談師・野口復堂、神智学協会・オルコット大佐、スリランカ人仏教徒ダルマパーラ、そして田中智学などなど、十九世紀から二十世紀の正史、秘史を彩る人物たちがアジアを股にかけ疾駆する近代…
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2022年8月の記事一覧

13 野口復堂 ついにインド上陸|第Ⅰ部 噺家 野口復堂のインド旅行|大アジア思想活劇

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南の島の天長節

そんな調子で密度が濃いんだかなんだかわからない日々を過ごしていた野口復堂。ほかにもセイロン人の結婚式に立ち合った際の印象記やコロンボの街頭で救世軍の一団を目撃し、その物真似をネタとしてマスターした逸話など、おかしな話題は枚挙にいとまないが割愛しておく。

ちょうど来島一カ月に足らんとした頃に、復堂は南アジアの小島で十一月三日の天長節(天皇誕生日)を迎えた。

「公使館か領事館があ

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14 明治日印交流史~仏教聖地巡礼から国際結婚第一号まで|第Ⅰ部 噺家 野口復堂のインド旅行|大アジア思想活劇

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島地黙雷の欧州歴訪とインド上陸

さて、ここで先ほど野口復堂の言に出た、渡印した日本の坊さんお歴々の履歴を述べておきたい。ついでに維新から明治二十一年までのインドと日本の人的な交流についても、筆者が調べた範囲で御紹介したいと思う。なかなか面白い人間模様がうかがえて興味が尽きなかった。

復堂が名前を挙げた北畠道龍、南條文雄、赤松連城はいずれも浄土真宗の僧侶である。このうち赤松連城について手元の資料

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