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episode③ ただの私が現実へ踏み出した。
就職活動は、全く上手くいかなかった。
希望していた企業には全て落ちた。
コロナ禍で、高校一年生から勤めていたアルバイト先も解雇された。
新しく始めたバイト先ではマネージャーからパワハラを受けた。
溜まった悲しみと、上手くいかない不満。
負の感情を当時の彼氏にぶつけていた。
すると、暫くしてから連絡が取れなくなって、
ついには振られた。
一方的に捨てられたと言った方が正しい表現かもしれない。
1年程辞めていたタバコを吸い出した。
何もかもがうまくいかなくて、
何もかもが辛かった。
「隣の芝生は青く見える」と言うけれど、
周りを見渡せば第一希望の企業に受かった友人や、大手有名企業に内定をもらった友人や、彼氏ができた友人や、新しい道へ進んでいく友人。
嫌でも入ってくる情報に、私は更に追い詰められた。
ただの私は、社会には必要とされていない。
必要とされるには、必要とされるための努力、能力、才能、がないといけなかった。
"凡人"になりたいと言っていた人たちは、
"何者"かになりたいと思っていた私よりも、
ずっと前を、顔をしゃんと上げて歩いていた。
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