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【エッセイ】雑誌H2Oとスクラップブック

90年代「H2O」という雑誌が好きだった。
当時たくさんあったファッション誌や、料理や家計に役立つような主婦向けの雑誌でもなく、"ここちよい暮らしの提案"をしてくれる、当時としてはほとんど無かったテイストの雑誌だった。

旅やインテリア、本や映画、お茶について・・・など、暮らしが楽しくなるようなテーマが毎月掲げられていた。
写真もおしゃれで眺めているだけで幸せな気持ちになる雑誌で、毎月発売されるのをとっても楽しみにしていた。


お気に入りで切り抜き用と保存用の2冊持っていた
「海へ行きたい!」


その雑誌の一番最後のページに、毎月エッセイが載っていた。
作者は植松二郎さんという作家さん。
20代前半に出逢った雑誌で、それまでおそらくほとんどエッセイというものを読んだことがなかったと思うけれど、植松さんの書く身近な人々の描写が、面白くて「粋」でとても好きだった。

京都の実家から、はじめてのひとり暮らしで引っ越すときも「H2O」は私のそばにあって、十数冊あったけれど捨てられない大事な雑誌だった。
でも数年経ち、転勤で関東へ行くことになったとき、さすがに荷物を減らそうと泣く泣く手放す決意をした。

いざ捨てるにあたって改めてページをめくってみる。
どうしよう、捨てるのはもったいないな…そんな気持ちになりながら・・・あ~やっぱりここだけは取っておこうと思ったのが例のエッセイのページだった。

毎号巻末に書かれていたエッセイ。その半ページだけを切り取ってスクラップブックに貼ることにした。
切り取りながら久しぶりに読み返す。
くすっとしたり、ちょっとノスタルジックな気分になるような、そんな文章。
やっぱりおもしろい。好きだな~。

植松さんの文章がおそらくきっかけで、その後エッセイのような文章になぜかずっと惹かれていた。
そして、読者として楽しませてもらうだけでなく、ふと、「私も書いてみたい」と思うようになり、これからnoteに綴ってみようと思う。

そしていつの日か、当時の私のように「なぜかこの人の文章惹かれるんだよな~」そんな風に思ってもらうことが出来たら、最高に最高に幸せだ。

植松さんのエッセイを残したそのスクラップブック。
実は今も持っている。
最初に雑誌を買ったのが1992年の夏だったから・・・もう30年以上!
ちょっと紙の端がうす茶けてきていたけれど、すばらしい文章はいつの時代も不変だ。

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