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人に仕事をつけるのではなく、仕事に人をつける

私は15〜25歳くらいまでの若者を支援するNPOで働いている。働き始めて、もうすぐ1年になる。全く福祉に興味がなかったのに(なんなら今もないのに)、これまで特に辞めたいと思わず続けてこれたのは、なんでだろうか。

現場での仕事は、楽ではない。若者たちは不安定で、時に暴力的で、幼い。(余談だけど、案外「幼さ」を自覚している若者は多い。「普通」の生活をしてこなかった自覚があり、ゆえに「普通」の経験が不足している。それが幼さに繋がっているのを、自覚している若者は多い。もちろん個人によって幼さとその自覚度合いは変わるけど。)

そんな彼らから、ときどきヘビーな過去や今について聞くこともある。私は経験したことがなくて100%理解することはできないから、安易に「分かるよ」とかは言わない。事実の確認をしたり、その時に本人がどう思ったか(今どう思っているか)聞いたり、もしくは言葉を選びながら、素直に思ったことを伝えたりする。

直接何かをしてあげられなくてごめんね、と思うこともあった。だけど、私の役割はそこじゃないから、ここ数ヶ月であまり気にしなくなった。

私の役割は、ただただ週に何時間かを同じ場所で過ごして、気軽に声をかけられる相手になって、何かあったときに「この人になら話してもいいかな」と思ってもらうこと。あの空間で、なるべく心地よく過ごしてもらうこと。

つまり、私や、私が関わる他スタッフ、そして私たちがいるあの場所を、若者が居場所と感じられるようにすることが、私の仕事(かもしれない。ちょっとここは後日詳しく書く。安全とか、信頼とか、そういうものを感じてもらうことだと思っている)。

居場所で相談を受けたら、本人の了承を得て団体内に共有し、具体的な解決策や支援方法を専門家に聞く。それを本人に伝えたり、専門家に繋げたりする。

私の役割はこれくらいだ。現場にいて、これを週に3日やる。

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若者が相談できる相手になること、若者に居場所と思ってもらうこと。これらはきっと、基本的にずっと現場にいるからできることな気がしている。他の人は知らないけれど、少なくとも私はそうだ。仮に週に1日居場所にいて、あと2日は裏方業務をするために事務所に籠っていたら、私は若者の相談相手になり得ないと思う。

だから、裏方業務をせず、ほぼ100%現場に居させてもらえていることに、私は感謝したほうがいいと思った。

やりたいことをやり、やりたくないことはやらない。そんな環境を作ってくれている先輩や組織に感謝すべきだと思った。先輩はよく「仕事に人をつけるのではなく、人に仕事をつけるべきだ」と言っている。社会人5年目の私には全くできないけれど、先輩はそれをきちんと実行している。だから私はここで働き続けられているのだと思った。

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福祉分野は若い人が少ないらしい。実際、私は団体内で最年少だし、うちのスタッフのボリュームゾーンは31〜35歳だ。私はいつまでここにいるだろうか。いつまで福祉の分野で働き続けるだろうか。まだ何も決めてないけど、とりあえず楽しく、無理せず、自分なりのやり方で、2年目もお世話になります。

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