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再來!!好好台灣旅行 台北編 4/5

謎まん(敗北味)

これは揚げパン入りの飯糰(美味しい)

台北に一泊し、翌朝僕たちは台湾おにぎりを食べた。飯糰(ファントァン)というローカルフードらしい。注文を受けるとおばさんがせっせと黒い米で揚げパンやたくあんなどを詰め込んでくれて、非常に美味しかった。


謎まん屋

肉が食いたい衝動に引かれた僕達一行は隣の饅頭屋で肉まんを3人分注文しようとした。しかし、朝の忙しいタイミングが災いしたのか店員のオジ(と言っても40もいってないくらい)に僕の拙い中国語が全然通じずに苛立たれた。
周囲の客がオジと僕を交互に見返す。___怖い…。僕のオジアレルギーが台北の地でぶり返した瞬間である。

おまけに、その店に並ぶ男の犬が通行人に手当たり次第吠えまくっていて場が凍りついていて泣きそうになる。飼い主も犬も揃って馬鹿だ。一刻も早くその犬の口を塞いだらどうだと思いつつ、気づけば20分ほど待たされ、客がいなくなった後にようやく肉まんらしきものが手渡された。

オジもオジで結局最後には笑顔を見せて「謝謝」と言っていたので、結果オーライかな、と温かい気持ちで饅頭を頬張った。すると中に入っていたのは肉などではなく、桜でんぶのような粉状のもの…。
僕の注文は正確に彼に伝わっていなかったようだ。

しょっぱいんだか甘いんだか酸っぱいんだかよくわからないものを、もしゃもしゃと咀嚼する僕たちは皆最後まで沈黙を貫いていた。初めて台湾で遭遇した敗北の味だった。
写真も残っていない。

鳴き声と食器音または話し声 あなたの声はどれにも溶けない


ハートを直撃❣️白玉事件

台北中の小籠包を食べ尽くしたこの日の夜、〆に友人が行きたがっていた白玉屋に行った。正直、僕は白玉などどこでも食べられる上、高が知れていると思っていた。あの、白玉事件に巻き込まれる前までは…。

『御品元冰火湯圓-台北饒河店』に向かった我ら一行は、待ち時間に熱々の白玉が乗ったかき氷をパクつく人々を横目に白玉欲を爆上げしていた。メニューを見ると、「アイス」か「ホット」のどちらかを選ぶ仕様だった。

さて、かき氷に乗った熱い白玉のコンビネーションにおいて「アイス」も「ホット」もあるのだろうか。
我々は知恵を出し合い、白玉が「アイス」か「ホット」の違いなのだろうと仮説をたてる。そんなもん、全ての客がそうであるように冷たいかき氷の上にはアツアツの白玉がいいに決まっている。皆の期待を背にして僕は元気よく受付のお姉さんに「熱的!!」(ルーダ!!)と叫んだ。

着席し、程なくしてお兄さんが白玉を持って近づいてくる。僕は、お兄さんが持っている器に「氷」が盛られていないことに、いち早く違和感を気づいた。

何かがおかしい。

卓に器が置かれて、僕たちは椅子から転がり落ちそうになった。

全くもってかき氷じゃないのである。白玉は熱々の透明な汁に沈んでいる…。



しかし、僕たちも大人だ。あからさまに動揺せず「ヒュッ」と息を呑むだけで驚きを止めることができた。そして、メニューの「アイス」はかき氷を、「ホット」は熱い汁を表していたことを瞬時に悟った。

「イメージとは(だいぶ)違うけど、これはこれで美味しそうだよね!」と、我々は互いに言い合い、スプーンで汁を啜った。___甘い…。

するとどうだろう、先ほどのお兄さんが駆けつけてきて

「君たち本当はかき氷食べたかったんじゃないの?」

的なことを言ってくるではないか…!僕たちは一斉に首を縦に振りまくった。しかし、お兄さんの隣には先ほど僕がアホ面&自信満々で「熱的!!」とオーダーしたお姉さんもいるではないか。僕は非常に動揺し、

「あ、でも僕がさっきホットくださいって言っちゃったから…」

とまごついていると、お兄さんは交換してあげると言って、颯爽と器を持って厨房へ駆けて行った。

トゥク…ン…。そのとき、僕たちはそのお兄さんの優しさにときめきを感じざるを得なかった。___好き…。

(一口だけ汁を嗜んだのは秘密である♡)



そして、彼が持ってきてくれたのは我々が真に求めていた、かき氷の白玉そのものだった。黒胡麻のペーストが中に練り込まれた熱々の白玉と、甘いレモン果汁のかかったかき氷のハーモニーときたら…。絶品である。

ふと、顔をあげると別の卓で僕たちと同様の間違いを犯した日本人のおっさんに対しても、彼は優しい笑顔を振り撒きながら白玉を取り替えてあげていた。この手の事件が多発しているのだなと察すると共に、彼の優しさに再び我々の胸は高鳴った。トゥク…ン…。

御品元冰火湯圓-台北饒河店のお兄さんへ
白玉なんてどこも同じとか思っていてごめんなさい、お兄さんの交換してくれた白玉が世界で一番美味しかったです。
あの時のお騒がせ観光客より

本当は誰彼構わず優しくはないことを願い白玉を見る

夜、ラブホの前でタクシーに乗ってはいけない

台北市内を歩き回り死ぬほど疲れた僕たちは、ホテルまでタクシーで帰ることにした。時刻は21時。簡単に見つかると高をくくっていたタクシーが、一向に捕まらない。
定位位置を決め、タクシーが通りかかるまでひたすら待つことにしたのだが、ふと後ろを振り向けば、なんとラブホテルがそびえ立っているではないか。しかし、今更移動する体力もなく、程なくしてやってきたタクシーに僕たちは乗り込んだ。


ザ・ラブホ
ここで男女3人でタクシーに乗り込むことになるとは。。。

僕は助手席に座り、友人2人(どちらも女性)は後部座席に座って会話もなくボーッと外の景色を眺めている。運転手のおじさんが、カーナビで女性歌手のPVを流していた。なかなか凝った映像で、僕がその映像美を中国語で賞賛したのがいけなかった。

「綺麗!綺麗!」

とおっちゃんにいうと、どうも反応が良くない。
リアクションも薄いし、僕の発音が悪くて聞き取れないのだろうか。気まずい…と思ったのも束の間、おっちゃんから

「中国語を勉強しているの?」

と話しかけてきてくれた。

僕も嬉しくてニコニコしていると早口で何かを話はじめ、1人でウケていた。その笑い方も何やら普通ではないので、怪訝に思いつつ彼にGoogle翻訳に話してもらうことに。

すると、

「私は日本のAVで日本語を学びました」

と表示されるではないか。絶対に教科書ではお目にかかれぬ例文である。さっきまでPVの話をしていたのにAVの話になるとは…人生わからないことだらけだ。

それを見て後部座席の友人たちも爆笑していた。内心、彼女らがドン引いて(隣の僕は少々引いていた)車内に重苦しい空気が流れたらどうしようかと思っていたので助かった。僕も一応笑っておいた。

次の瞬間、おっちゃんは片言の日本語で

イタイ〜イタイ〜モット!モットォ!!キモチィ〜〜!!!

と絶叫し始めた。わずかな瞬間に、僕たちの生唾を呑む音が車内に響く。ハンドルを握っている彼に下手な真似はできない…。隣に座る僕は全身が硬直するのを感じたが、引き攣った愛想笑いを続けるしかなす術がなかった。彼はただ日本のAVで学んだ日本語を僕たちに伝えてくれる、友好的な異国のタクシードライバーなのだ、と必死に言い聞かせて。

おそらく彼も、一般の日本人乗客に手当たり次第このようなパフォーマンスを仕掛けているわけではないのだろう。僕たち3人がラブホテルの真ん前でタクシーを拾ったこと、僕が女性歌手が映るPVを綺麗だと連呼したことなどが合わさって、とんだ好きもの日本人が乗り込んできたのだと勘違いしていたのであろう。

結局、心身ともに余計に疲労してホテルに帰った。

それにしても、あの喘ぎ声の日本語から察するに彼の見ていたAVはアブノーマルなものだったのではなかろうか。

そんな死ぬほどどうでもいいおっさんの性癖に思いを馳せて、眠りについたのだった。


おじさんが喘ぎ始めてタクシーは密室なのだと初めて気づく





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