結婚

高知県から結婚を考える#03

新しい年が始まりました。昨年4月からコラムを始め,第2回を年末に更新しました。

高知県から結婚を考える#01

ゆったりしているとまた更新が遅くなってしまいそうですので,第3回目を新年初めての更新にしたいと思います。

今回は高知県の男女の労働力率についてです。

前回のおさらい

労働力率の話の前に,簡単に前回のおさらいをしておきたいと思います。

前回,2019年5月に発行された『サポーター通信』のコラム「高知県の女性は元気な気がします」の内容を紹介し,そこには4つのポイントがあることを示しました。

1. 高知県では未婚化,晩婚化が進展
2. 高知県女性の年齢別労働力率はフラット型
3. 高知県では居酒屋に女性が多い
4. 女性の「元気さ」と高知県の「結婚」が関連

そして,前回は「高知県では全国と比べて未婚化が進展していること」「高知県では全国と比べて晩婚化が進展していないこと」(2について)を統計データから確認しました。

詳細は記事で書きましたのでご興味のある方はご覧ください。

高知県の女性の労働力率

今回は女性の労働力率(ポイント2)について確認していきます。

労働力率とは,15歳以上人口のうち労働力人口が占める割合です。労働力人口とは,就業者(収入があった人)と完全失業者(収入はないけれど仕事を探していた人)を合わせた人数です。

日本における女性の年代別の労働力率は,多くの人が結婚・出産の時期である20代後半から30代前半にかけて一旦低下し,育児が落ち着いた時期に再び上昇するという,M字型を描くことで知られています。近年,M字の谷の部分が浅くなってきている,つまり,一時的な低下の程度が小さくなってきていることが示されています。

しかし,高知県は全国と比べてM字型の谷が浅く,むしろフラット型だと言われていました。すなわち,女性が結婚・出産を機に退職せず,働き続けるということです。これには産業形態(農業とか)も関わっていますが,要するに「働き者」が高知県女性には多いということです。

実際のデータでも確認してみます。まずは全国のデータからです。

全国の女性の労働力率

図1. 全国の年代別女性労働力率。 各年の国勢調査よりデータを抽出し作成。

M字型の谷が浅くなっていることともに,谷の位置がずれてきていることにも特徴があります。すなわち,1990年代までは20代後半に低下を始め30代前半で谷底のピークがくるのに対し,2000年代以降は20代後半までは労働力率が上昇し30代前半から低下を始め,30代後半に谷底のピークがきています。

未婚化,晩婚化とは結婚・出産の時期が年齢の高い方へ移動することです。これを反映するように,労働力率の谷底のピークも移動しているのでしょう。また,バブル崩壊以降,日本は不況の時代を迎えています。それを反映して,M字型の谷が浅くなってきているのでしょう。

高知県のデータも確認してみます。

高知県の女性の労働力率

図2. 高知の年代別女性労働力率。 各年の国勢調査よりデータを抽出し作成。

1980年代と90年代,20代後半から30代前半にかけて多少の労働力率の低下はみられますが,それでも全国に比べると谷は浅いです。2000年以降,20代後半,30代前半で大幅な労働力率の低下はなく,フラット型の労働力率が確認できるかと思います。

ここで面白いのが,全国でみられたような谷底のピークの移動が高知県では顕著ではないという点です。今後の推移の様子を確認してみないと何とも言えないところもありますが,仕事に復帰するのが早いとか,働き続けないといけないとか,働きやすい環境であるとか,いろいろなことが仮説として考えられます。

高知県の男性の労働力率

高知の男性の労働力率には年度による大きな変化はみられません。強いて言うなら,20代前半と60代後半,70代前半の男性で労働力率が1980年代や90年代と比べて低下していますが,全国も同じように低下しているので,高知に特有なわけではありません。

念のため,1985年と2015年の全国と高知の男性労働力率を示しておきます。

全国と高知県の男性の労働力率

図3. 全国と高知の年代別男性労働力率。 各年の国勢調査よりデータを抽出し作成。

ここからわかるのは,今も昔(1980年代)も,働き盛りの時期(20代後半から50代後半)の男性労働力率は全国と比べて高知県は低かったということです。

「男性は働かない」「女性がよく働く」ということを高知県ではよく耳にしますので,ある意味当然の結果です。ただ,「男性は働かない」といっても,働き盛りの時期の男性の約94%は働いているので(全国は約96%),極端に働いていないわけではないです。「働かない」言説はもしかしたら働き方(就労時間とか)と関係しているのかなとふと思いました。

高知県の年代別労働力率のまとめ

今回は高知県の年代別の労働力について確認しました。改めて2015年の労働力率を掲載しておきます。

全国と高知県の男女の労働力率

図4. 全国と高知の年代別男女労働力率。 国勢調査よりデータを抽出し作成。

女性の労働力率について確認したことは以下です。

・高知県女性の労働力率はフラット型
・高知県女性は30代前半に谷底のピーク(1980年代から変化なし)
 ↔︎全国では30代後半に谷底のピークが移動

なぜ高知県女性は谷底のピークが移動していないのか?については新たな検討課題です。いずれ検討したいです。

次回は高知県の居酒屋の消費についてみていきたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ただそばにいることがサポートなのかなと思っています。また見に来てください。気が向いたときにご支援お願いします。