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新春文楽 2018

今年の観劇はじめは恒例の新春文楽。今年は8代綱太夫の追善公演と6代織太夫の襲名披露を兼ねる公演で、7日まではお正月モードで手ぬぐい撒きもあるし、襲名の幟や門松、ご祝儀袋といろいろ華やかな雰囲気。

恒例の睨み鯛。戌年ー。

小泉進次郎の祝儀袋あったよ…あと、白鵬からのお祝いの暖簾が展示してあって、意外な人脈に驚きました。相撲界は今ちょっと微妙だけど…

右下ちょっと見切れてるのが小泉進次郎。政治家ってどんなお祭りにでもいるけど、選挙区神奈川なのにマメだな。千房っていうのはやっぱりお好み焼きの千房なのかしら。

こちら↑は綱大夫さんの遺影。咲太夫さんのお茶目なところは、きっとお父さん譲りなんだろうなーと思わせるような、陽気な笑顔がいいですね。

今回の演目はこんな感じ。

第1部
花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)

・万才・鷺娘

平家女護島(へいけにょごのしま)
・鬼界が島の段

八代目竹本綱太夫 五十回忌追善
豊竹咲甫太夫改め 六代目竹本織太夫 襲名披露口上

追善/襲名披露  狂言
摂州合邦辻
(せっしゅうがっぽうがつじ)
・合邦住家の段

第2部 午後4時開演
南都二月堂 良弁杉由来
(ろうべんすぎのゆらい)
・志賀の里の段/桜の宮物狂いの段/東大寺の段/二月堂の段

傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく)
・新口村の段

私の推し太夫の文字久太夫さんは、今回は二部の新口村の段の後。こういう田舎のお父さんものは特に文字久さんが最高だと思う。

ここしばらく観てきた舞台では、歴史物のわりかしノーブルなやつが何度か続いてて、あ、こういうのもいけるんだな…とは思ってたんだけど、でもやっぱり文字久さんの本領は、サムライものよりお百姓のお父さんものだよねーと思います。染みる。早く切り場語りになれるといいのにな…。

咲甫太夫あらため織太夫さんは気合十分という感じで、熱い摂州合邦辻でした。前のめり感すごかった。

咲甫太夫さんは、今の若手中堅ではダントツで人気あるんだけど、私は文楽行き始めたばかりの頃は、とにかく声は通るし聞き取りやすいけどそんなにジーンとこないなーと思ってた。

(なんせ初めて文楽行った時の切り場が人間国宝の竹本住大夫さんだったのです。生まれて初めて飲んだ酒がドンペリでしたみたいな世界で、これを基準にしてしまったら、あとから満足できるものに出会うのはなかなかキビシイものがある。というのは後になってわかってきたんですが…)

咲甫さんよかったな、と思い始めたのはここ一年半ぐらいです。グッと情が感じられるようになってきたっていうか。今回のは泣けたなー。織太夫さんでガチで泣いたの初めてだったかも。客席も笑ったり泣いたり、大いに湧いていました。織太夫!って声がかかってたけど、そうかー、もう咲甫太夫!っていう声はかからないんだね。不思議な感じです。

秋の公演で、かなり足が弱った感じがしてものすごく心配してた簑助さんも、お元気になられた様子だったので一安心。いつもながら愛らしい千鳥でした。咲太夫さんも口上ではお茶目っぷりを発揮しておられ、よかったです。

それにしても、人形、三味線に比べて太夫の層の薄さがすごく不安に感じる…切り場語りが咲太夫さんしかいないのもだけど、そもそも太夫を目指してくれる若手が少ない。パンフ見てても、人形遣いは着々と増えるんだけど、三味線さんと太夫さんが増えない。

特に太夫さんは育つのに30年はかかるのに、今この人数だけで、10年後に公演が成り立つのか?と思うと心配です。30人もいないんだよ…これは日本中でこれしかいないってことで、立派な絶滅危惧種です。イリオモテヤマネコだって100匹ぐらいはいるのに!

この人たちが揃ってインフルエンザとかになっちゃったら幕が上がらない。文楽は太夫が命です。アニメで声優がみんな素人だったらお話にならないように、文楽も太夫さんがキモなのです。一人で何人もの役を語りわけ、地の文まで全部語る。将来、録音を流して人形の動きをあてるようなことにならないといいなぁ…

春には人形遣いの幸助さんが玉助襲名です。大阪行きはだいたい秋とお正月、行ければ夏と決めてるけど、襲名披露だし行こうかなぁ…にしても襲名ラッシュです。今回は手の届くグッズもあったので限定ものに弱い私は買っちゃいました。こういうお商売、文楽劇場にはもっともっと上手くなって欲しいです。貢ぐんで。

私は文楽好きなんですけど歌舞伎は興味なくて、何度か観たけどハマれないんですが、歌舞伎はいつ行っても満員御礼で、なんで文楽こんなに人気ないんじゃ…と歯噛みしています。昭和元禄落語心中で寄席が盛り上がったり、ユーリ!オン アイスでスケオタ増えたりしてるので、これからはアニメじゃ…!流行るアニメを…!とか思ってるのですが、ようやく漫画がひとつ始まったばかり…太夫志望者が増えるといいんだけど。

ちなみに、この漫画「火色の文楽」には文楽界のプリンス、咲寿太夫くんが協力してるらしい。彼は自分で漫画も描いちゃう人なのですよ。

くっそイケメンだから、みんな顔だけでも観にきて…最近上手になってきて出番少し増えたから…!


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