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新感染 ファイナル・エクスプレスみてきた。

水曜はレデイースデイ。是枝監督の新作みるか、こっちにするかで迷ったんですが、ここ数作の是枝監督作品、個人的に攻めきれてない感じで五つ星率がやや下がってるのと、新感染のほうは映画サイトやSNSの評判もよさげだったので、監督も役者さんも全く知らないんですがこっちを選んでみました

当方、ポランスキーとかみたいなジワジワ精神抉られる系のホラーは疲れるので滅多に見ませんが、小学生の頃よくテレ東の吹き替え映画をみていたので、B級ホラーとかパニック映画はわりと嫌いじゃないタイプです。

好きなパニックものはタワーリング・インフェルノ、なんかが襲ってくる系なら遊星からの物体Xかジョーズのファースト、ぎょっとする系ならシャイニングあたりが好き(いずれも古典)。そんな私の新感染の感想です。


※以下、ネタバレあり注意※

さて、映画ですが、あらすじやなんかはネットに溢れてるからいいとして、とりあえず思ったのは「端折り方潔いな!」ってことです。

「君らゾンビパニック映画に製薬会社の悪事がどうとかのかったるいドラマパートなんか求めてないでしょ?見たいのはこういうとことか、こういうとこでしょ?」って感じで、最初から最後までクライマックス。事件は全て、現場で起こって現場で終わる。で、なんでゾンビ発生してどうやって収束するの?的な細かい話は、ほぼ完全にスルー。清々しい。

ソウルから(何をどうやったのかはさっぱりわかんないけど)ゾンビの初期封じ込めに成功した安全地帯プサンに至る線路上、走る列車内での生き残りを賭けた闘いに映画の98パーセントまでのエネルギーが割かれるのですが、その潔さやヨシ。と思いました。

実際、そこんとこでたいして練れてもいない中途半端な背景の設定がつまんなくてテンション下がるより、いきなりフルスロットルで始まってなんの解決もなく終わり「で、なんでこんなことに…??」は疑問符のまま放り出される、というパターンの映画のほうが、労少なくしてよいものに仕上がる率が高いと思います。

ちなみにこの映画に関しては前日譚をアニメ映画でやるらしいです。

東出昌大さん似の主人公の若パパ、コン・ユさん、大変イケメンです。仕事仕事で離婚の危機、利己的で子供のこともまともに見ていない残念パパでもあります。この若パパが危機を経てどう変化していくか、といったところがストーリーの主軸になりますが、基本ゾンビパニック映画なので、群像劇になります。

こういう映画をしばしば見る人であれば、オープニングから事件発生までの間に出てくるキャラクターを眺めながら「死ぬ」「死なない」「前半で死ぬ」「理不尽な死に方をする」「どっちか片方死ぬ」「恋に落ちるまたはバディになる」「こいつのせいで拗れる」「パニックになりあかんことをして死ぬ」「いい人だから死ぬ」「役立たずと見せておいて美味しいとこで役に立って死ぬ」「改心するが死ぬ」「あと一歩のとこまで生き残るがラスト近くに自己犠牲で死ぬ」みたいなフラグを自分なりに立てて、予想が当たるかどうかを楽しみに鑑賞する人が多いと思いますが、そのへんのフラグをあまり酷くは外さない、王道の展開です。

それはつまり大勢死ぬ、ということでもありますが(←ゾンビ・パニック映画なので)、理不尽な死と因果応報のバランスがさほど病んでないので、トータルでは安心して見られます。ゾンビ襲撃シーンも、ゾンビが鳥目でちょっとオツムは残念という設定のお陰で比較的緊張感は緩め、血液も少なめ。たたみかけられて心臓がもたない、みたいな映画ではないです。

また「走行中の列車内」という設定を活かし、一両ごとに色んなアイテムやアイディアを(コミカルな演出も交えて)使いつつ、登場人物たちが先へと進む展開には適度な緩急があって、上手い具合に疲れさせすぎず飽きさせもしません。手練れのつくるパニック映画だなーと思いました。これならデートムービーとしてもいいんじゃないかと。ホラーやパニック映画はうまく選ばないと、いいムードどころじゃなくなりますからね。

この安定した展開に親子愛や夫婦愛、兄弟愛に甘酸っぱい初恋といった要素を盛り込んでるので、「感動した」「泣ける」という評価も多いみたい。

私はどっちかというとヒャッハーするゾンビ映画として楽しく見てたので、感想を検索してたら「涙がとまらない」的な声があまりに多くて、自分の感性に不安を覚えたりしましたが、その辺は、はなからパニックもの見る気満々のタイプか、ドラマとして感情移入しながら見るタイプかの違い、ということに…しておこう一応。ともあれそういう感じなので、ジーンとくるシーンもあります。

でも基本的にはアクション祭りです。車内の横スクロールもいいですが、東テグ駅でゾンビの集団が操車場的なところを走って追いかけてくるシーンとか、私脳内でララランドのオープニング音楽が流れてしまいました。つまりテンション上がります(←私だけかも知れません←自分の感性が不安)。

あと、韓国ホラーあるあるだと思うんですが、適度なチープさと人力感が、ハリウッド的なフルCGの重量感のなさに比べてリアリティがあっていいなぁと思いました。どれぐらいまでスタントでどこからCGなのか、どんどん技術は進んでわからなくなりつつありますが、でもまだまだ生身の重量感ってCGだけではうまく出せない気がします。

監督は後から調べたらアニメ出身の人らしくて、なるほどカメラアングルとかゾンビの動き方がアニメの人っぽいかもなーと思いました。野球部カップルの最期のシーンの構図とか、センスいいと思う。

最初に思ってたより生存率低かったですが、後味もめちゃくちゃ悪くはありません(ゾンビ映画にしては!)。いわゆるA級の名作映画ってわけじゃないですが、危なげない佳作なので、この映画の成功をきっかけに、また面白い作品を撮ってくれるといいなぁと思いました。

#映画 #コンテンツ会議 #新感染 #ゾンビ映画







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