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歯医者に行ったら素敵な本棚に出会った。

今日歯医者に行って親知らずを抜いた。
もしかして親知らずが虫歯かも、と気づいたのは数週間前。
30年生きてきて、人生で初めての虫歯。ショック。
私虫歯になったことないんですー、と自信有り気に話すことがもう出来なくなった。自分の自慢がひとつ減った。
まあ、そんな事はどうでもいいのだけど、歯医者に行くというのはなんだか憂鬱だ。気分は上がらない。

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今まで歯医者に縁が無かったので新しく歯医者を探して電話で予約。
診察は無事終わり、やっぱり虫歯になっていた。

初めて診察した日がバレンタイデーで会計の際に
「今日はバレンタインデーなのでささやかなプレゼントがあります!」
と言われ、旗がついた爪楊枝が刺さっている藁の鍋敷きを差し出された。
(分かりにくいかもしれないけど、この鍋敷きに爪楊枝が刺さっているのを想像してみて欲しい。爪楊枝には可愛い旗がついてたよ。)

「ここから選んでください!」
私はとりあえず手前の爪楊枝を選んだ。

「えっと…これは、歯磨き粉です!チョコミント味です!」
チョ、チョコミント…
い、いらない。と思ってしまった。
なぜにチョコミント。普通のが良かった。

「なんか初めて来たのに無理やり参加させてしまってすみませんね^^;」
これいらない、と思ったのバレたかな…

「いえいえ、ありがとうございます!!」
出来るだけ明るく答えて、ありがたくいただいて帰った。

爪楊枝を鍋敷きに刺す、いう発想はどこから来たのだろうか。
チョコミント味はいらなかったけどこういうアットホームな感じ好きだわー。
と好印象だった歯医者。


1週間後、本日ついに抜歯。
待ち時間が少しあったので待合室にある本棚を物色。
実はずっとここの本棚が気になっていた。
あ、この本私も持ってる、
この本気になってたんだよなー
と知ってる本がたくさん。
歯医者とか病院って子供向けの本とか漫画、雑誌くらいのイメージなのだけど
ここはエッセイから小説、写真集などいろんな本があった。
そして私好みの本ばかり。
この本を選書した人と好み似てるわ。

ここが歯医者ということを忘れて本を楽しんでしまった。

会計の際に
「本棚の選書素敵ですね。気になる本がたくさんありました。」
と小声で伝えたら、お姉さんが両手を掲げて

「えー!嬉しい!!!ほんとですか!?私たちで本選んでいるんです!本っていいですよね〜このめくる感じとか!ねえ!」
急にテンション上がってびっくりした。

そんなに喜ぶ?というくらい目をキラキラさせながら本棚の前に移動してどれが好きですか?どの本持ってますか?と本トークで盛り上がった。

歯医者を選ぶ時に
「先生はベテランだけど予約が中々取れない」みたいな口コミが多く、「そんなに長く通う訳じゃないからサクッと終わらせたいなー」と思い、口コミはまだ全然無いけど、新しく出来た歯医者で「おしゃれだなー近いしここでいっか。」という前情報全く無いところに飛び込んだけど、ここ選んで正解だったなー。

小さい歯医者だからこそ、こういう会話する余裕があるし、お客さんにリピートして欲しいという純粋な気持ちと取り組みが伝わって来て、とても気持ちがいい。

親知らずも無事抜けて、痛みも全く無い。最高。

帰り道は親知らずのことは忘れて
ずっと本のことで頭がいっぱいだった。

「Youtubeのオススメ動画一覧を見ると、その人が今ハマっている事や気になる事が分かる。」「SNSはその人の趣味嗜好を把握して、オススメしてくる。」みたいな事をよく言うけど、そんなのじゃなくて、本棚でその人の趣味嗜好を知りたいわ!その方がずっと嬉しくてワクワクするわ!
と思った。比較対象になるのかはよく分からないけど。

この歯医者の本を選んだ人は、きっと暮らしにまつわる話が好きで、自然や料理が好き。そして猫好き。

自分の好きな本が並んでいる本棚ってとても尊い存在だと思った。

来週また歯医者に行くのが楽しみだ。
次行った時に読みたい本はもう決まっている。
貸し出しもいいですよーと言っていたけど、歯医者ってそんな役割もあるの!素晴らしい。近くのカフェや岡山ワインの紹介フライヤーが置いてあったり、なんだかカフェみたいな歯医者。

後日、、

1週間ぶりの歯医者。

待ち時間に本棚から気になってた本を手に取り、少しだけ読む。相変わらず気になる本が多い。時間足りない。

診察はすぐ終わり。

会計の際、
「さっき読んでた赤い本と赤いトレーナーがマッチしていて、絵になってました!とても素敵だったので伝えようと思って。本を読んでる人や読んでる姿ってかっこいいですよね~」
私のこと覚えてくれている。そして、なんだかこの方の本に憧れてる感じが伝わってくる。

「もし良かったら、気になる本あったら、貸し出しもしてるので!」

『でも私次来るの来月だけど大丈夫ですか?』

「全然大丈夫です!数ヶ月単位で借りられる方、歯医者に来る予定なくても本借りに来る人もいます!子供は絵本読んだり!」

すごいー、ここまできたら完全に図書館としての機能を果たしている…!

私は今回2冊借りてきた。コーヒーの本と谷川俊太郎の詩集。

定期的に通う場所や人が集まる場所では、新たに色んな出会いや交流が生まれやすくて良いなー、と思っていたけど、まさか歯医者もその場になるとは。

今のところ、私は歯医者で人との交流と本との出会いが生まれている!

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