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映画「月」を観て感じたこと

ネタバレにならないよう、詳細は省きます。

原作の小説を読んでいないのでよくわからないところもありますが、やまゆり園事件で報道された状況を出来るだけ再現した設定だったと思います。地裁段階で事件の裁判が終わった今、犯人が何を考えていたか等たどり着けない事実も多く、製作者はもどかしさを感じていたかなと思ったりもしました。

すごい衝撃の連続でした。敢えてひと言で感想を言うなら、優生思想・内なる差別に対するストレートな投げかけであったと感じました。一般の方と障害福祉に関わる人と映画に対する見方が変わってくると思いますが、問われていることは同じです。自分が初めて障害のある人たちに接した時のことやその時に感じたこと・入所施設に勤務していた時に感じていたこと等、振り返りながらいろいろと考えてしまいました。

見た動機の一つが、入所施設がどう描かれるかにありました。セットの備品や雰囲気は一昔前の感じでした。立地等の状況から閉鎖的であることや虐待事件について報道されることも多いですが、パンフレットの中で現状に向き合った人権を保障するための取組みについてフォローされていました。どう伝わるか、少し心配です。根本的には障害のある人たちが安心して暮らせる施設・支える職員の不足を改善することが求められていると思います。

一人ひとりがどう考えるかと同時に、障害者差別が生み出される根源には、日本の社会保障制度の貧しさをはじめ、憲法が保障する諸権利をすべての国民に行き渡らせる国家的努力を怠ってきたことがあると思います。その中でもとりわけ障害者への対応が不十分なまま放置されてきたことを改めて強く感じました。

国・社会のあり様を変えるのは、私たち一人ひとり。問題の核心に迫る上で映画を観て、いろいろ考えたり話したりしながら多くの人たちと考えていけたらと思いました。

宮沢りえさん・二階堂ふみさんはじめ出演されていた俳優さん、撮影時には難しい表現を迫られたと思うですが、胸に突きささる迫真の演技だったと思います。出演されてからのコメントや感想を読みましたが、胸を打つものでした。多くの方にぜひ時間を作って観にいっていただければと思います。

映画「月」

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#映画
#優生思想
#内なる差別

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