最近よく鳥たちが来る。だけど、もしかしたら「最近」じゃなかったのかもしれない、という話
コロナになってから、わたしも在宅勤務になった。
うちのコンドミニアムは高層にあるので、日中は窓を開けっぱなしにしていることが多い。
ある日、仕事をしていたら、窓辺に鳥が来た。
姿かたちはちょうど日本のスズメみたいな感じなんだけど、頭と胸に鮮やかなオレンジ色の羽根が生えている。
たぶんこの鳥かなあ、メキシコマシコ、という名前らしい。
在宅勤務が始まってすぐ、窓際にデスクを動かしたので、鳥と私の距離は1メートルもないくらい。手すりにとまって、チュピチュピ言っている。じっと見ていると、手すりから落っこちるように飛び立って、いなくなった。
数日後、今後は連れ立って、3羽でやってきた(いちばん上の写真の日)。手すりにとまったまま、小さいフンをポトッと落としたりして、みんなでチュピチュピしている。 しばらくしたら、またみんなチュピッ!と言いながら、どこかに行ってしまった。
そして、そのまた数日後、別の部屋にいたらリビングのほうがからチチチチッ!という声がしたので行ってみると、もっと小さなグレーな羽根の鳥がカーテンのひだの内側に入り込んで出られなくなって、騒いでいた。
クッションの上に止まらせて、まどから出そうとしたけど、クッションに止まってくれない。カーテンのすそからそっと両手を入れて捕まえるとおとなしく捕まってくれたので、そのまま窓の外に逃がした。
私は(最近よく鳥が来るなあ)と思った。
そう思ってから、ふいに、
(もしかして、ずっと来てたのかも?)と思った。
私と夫が、二人そろって朝から晩まで外に働きに行っていた何年もの間、もしかしたら、わたしたちのいない日の昼間の窓辺にも、ずっと鳥たちは来てたのかも?
たまには、部屋の中に入り込んで、ソファの背もたれや、キッチンカウンターに止まったり、電子レンジの上においてあるスナックをつついたりしていたのかも?
最近、家にいるようになったのはわたしのほうで、だから(最近よく鳥がくるなあ)とわたしが思っただけの話で、ほんとうは、鳥たちは常連だったのかも?
と思うと、なんかちょっと楽しくなった。
自分が気が付いたときからが、自分にとっては始まりなんだけど、じつはずっとずっとそこにあった、みたいなこと。
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