見出し画像

【国際結婚】うちのアメリカ人オットのディープな寿司愛・刺し身愛について

わたしはアメリカ人の夫と結婚して5年。ずっと夫を観察している。5年たっても「こんなアメリカ人もいるのか」とけっこう驚くことがあるので、みなさんにも共有したい。今日は、夫の寿司・刺し身愛がすごいという話。

6年前の初デートは、彼の行きつけの寿司屋だった。
それも、ハワイ歴30数年の日本人の60代の大将が握る、本格的な寿司屋。最初は、わたしが日本人だから寿司屋を選んでくれたのかと思ったのだが、大将いわく、もう20年来の常連だという。

いや、ちょっとまって、わたし、行きつけの寿司屋なんて人生で一回も持ったことないんだけど。と思いながら、普通に美味しいお寿司をいただいた。

初デートだからちょっと様子がわからなかったが、日本語はほとんどできない彼が、魚の名前と寿司ネタだけは完璧に覚えていて、「エンガワ、プリーズ」とかオーダーしていた。

そして、彼が常連である店はこの1軒だけだった。

そして、彼は何よりも寿司と刺し身を愛するアメリカ人だったのである。

夫はもともとカリフォルニア州のワインの産地ナパバレーの生まれ。高校のこっそり飲み会もワインが出てくるという土地柄で育ち、生の魚は二十歳すぎるまで食べたこともなかったというのに、どうしたことか。

その後もアメリカのいろんな州で働いていたのだが、日本にもっとも近く、日系人も多く、マグロ(旨いです)が捕れるハワイに20代後半でやってきたことで、寿司ラブ・刺し身ラブ!!!に開眼したという。

そのうち、大将の見よう見まねで、自分で寿司を握りだしたらしい。
なので、彼と結婚したとき、かれのキッチン用品には、わたしが一度も持ったことのないような立派な檜の寿司桶としゃもじ、出刃包丁と柳包丁があった。嫁入り道具か。

わたしと結婚したことによって、日本に年一回は行くことになり、夫の寿司熱は上がってきた。

(握り寿司は、家庭料理じゃないんだけどね・・・・)という感覚、日本人の皆さんならだいたいおわかりいただけると思う。手巻き寿司は家庭料理、ちらし寿司も家庭料理、でも握りは違うでしょ、というこの日本人の厳密な寿司界棲み分け定義をマル無視して、うちの青い目のおじさんは寿司を握る(けっこう上手い)。

そのうち、わたしがうっかり、かっぱ橋に連れ行ったりしたせいで、彼は板前さん並の包丁と砥石、そして砥石を平らにする砥石、さらには鮫革のわさび下ろし、などなど充実の調理具を備えた、我が家専属寿司シェフになっていった。

彼は寿司を握るのもさることながら、魚をサクから刺し身にするときの、スゥーッと引いて魚を切る仕草がかっこいい!!と惚れているようで、それをやっているときはとても嬉しそう。


アメリカ人らしく、脂の乗った魚が大好き。寿司にしても、刺し身にしても、サーモン・サーモン・ブリ・中トロ・大トロ・またサーモン・ブリ・ブリ、立て続けに食べてたい人。つまみも、味噌汁もなんもいらん人。(そんなにギトギトで攻める?と思うけど、彼は平気)

なので、彼の理想の夕食は、刺し身の舟盛り!以上!


そして冗談抜きで、刺し身なら一人でこのくらい食べられる。

スクリーンショット 2020-09-20 190210

スクリーンショット 2020-09-20 190231

画像引用 (←画像をお借りした、伊豆の漁師の宿やかたさん、行きたい)

実際に、きょうは刺し身食べる!というと、サクを5-6つは買ってきて、嬉々として、なが~い包丁で自慢げに切って、うちにある一番の大皿におもっっきりたっぷりと盛り付けている。

(魚をまるごと下ろすのは、面倒だからイヤみたい)


でも、ちょっとモノ申したくもなるわけです。食事には流れっちゅーものがあるでしょ、と。

たとえば居酒屋にしても、最初はまあ枝豆ね、あ、だしまき卵?いっとく?おひたしいいね~、おー揚出し豆腐、牛すじ?そうねハイハイいるいる、とあれこれ頼んで、ちょいちょいつまみながら、最初はビールで次なにいく感じ?焼酎?ロック?おーいいねあたしもそれいく、とかしてるうちに、まあ刺し身も来るよね、というこの感じ。温かいものと冷たいものの対比とか、こう味の緩急っていうかね?今夜の物語を描くっちゅうの?そういうもろもろのうちらジャパニーズが代々培ってきたハウトゥーを夫に伝えようとした。

しかし、夫としては「刺し身のすべてがメインディッシュで、それ以外は要らないし、デザートは最後にとってあった大トロ」ということで一貫している。寿司と刺し身以外はすべて寄り道であるらしい。

ちなみに持ち帰り寿司の場合、炭水化物が多すぎる(看護師なので健康指向)といって、途中からシャリを半分残したり、ネタだけをめくって食べたりするダイエット中のOLみたいなこともする。刺し身(美味しいプロテイン)だけを思いっきり食べるのが一番幸せみたい。

ということでね。
ナパ育ちのアメリカ人と結婚したというとさぞかし、おしゃれなワイン生活を送ってるかと思われることが多いのだが、うちの夫は10日に一回、一升瓶の純米大吟醸を、仕事帰りにバックパックで買ってくる、青い目のアメリカ人。週末になると今夜は寿司を握る、と包丁を研ぎ始める人。

ほんと、毎日ハンバーガーとかピザばっかり食べてるアメリカ人夫より100万倍いい。(そもそもそんな人だったら結婚したかどうかも怪しい)

でも、結婚5年経っても、たまに、「ハテ、このひとは?」と思う気持ちに襲われるのも事実。いったいどこでどうしたら、こんなアメリカ人が出来上がるのだろう。

でも、みんなが思ってる国際結婚のイメージとぜんぜん違うアメリカ人の夫がここにいるってことを、こっそりnoteのみなさんにお伝えしたかった。

ハワイの日曜の夜でございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?