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生まれてから失明するまでの記憶を、忘れないよう記録として書き留めました。
記憶に基づいた記述のため不正確な箇所や不鮮明な箇所があるかも知れませんが、一人の人間の生きた痕跡として、…
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#家族
家族について(僕が失明するまでの記憶 3)
家は4人家族で、両親と兄がいた。当時としては典型的な家族構成と言える。しかし、控えめにも「典型的」とは言えない事情を、我が家は抱えていた。
学年で三つ年上の兄には障害があった。重度の自閉症とそれによる知的障害(当時は精神薄弱とか知恵遅れと言っていた)との診断で、それを証明する手帳の交付も受けていた。
兄は頑張っても2語文でしか話せなかった。「バス、来る」「テレビ、診た」「みかん、ない」といっ
続・家族について(僕が失明するまでの記憶 4)
兄の障害のことだけでも典型的な家族から逸脱するには十分だったが、さらに重大な要因がもう一つあった。
僕の家はK会という新興宗教に入信していた。熱心な信者というわけではなかったが、父方の親族が会員だったため、半ば成り行きでその一員に加わっていた。不自然に巨大な仏壇がただでさえ狭い家のスペースを占有していて、父が仕事に行く際にその前でおざなりの呪文らしきものをぶつぶつ唱える以外は無用の長物だった。