見出し画像

「50人に3回、会いに行く」圧倒的な巻き込みでつくられたエリアビジョン #自治体にもビジョンを! 長野県松本市

私たちNEWPEACE thinktankは、この先行き不透明な時代において自治体にこそビジョン(理想像)が必要だと思い、ビジョンある自治体の取り組みを取り上げた勉強会を開催しています。

NEWPEACE thinktankへのご連絡はこちらから
https://thinktank.newpeace.jp/

「#自治体にもビジョンを!勉強会」の開催状況はこちらから
https://newpeace-tt.peatix.com/


理想像を掲げ、実現に向かってアクションする「ビジョニング」

私たちNEWPEACEは、商品・企業・自治体の魅力訴求(ブランディング)にとどまらず、目指す理想像を掲げたコミュニケーション(ビジョニング)を大切にしています。


ビジョニングについてはこちら! 
https://note.com/newpeace/n/n683098335bc6

Vol.5では長野県松本市の「松本城三の丸エリアビジョン」を題材に取り上げ、受託事業者の有限会社ハートビートプランの園田さん・新津さんにお話いただき、ビジョンづくりや市民への浸透について、深堀りを行いました!

「松本城三の丸エリアビジョン」は、市民の皆さんが「つかう」ことから逆算し、市民を巻き込みながら策定を進めています。
さらに、策定したビジョンは1個ではなく、なんとその数10個!市民の皆さんが「自分ごと」だと思え、かつ、街全体に活気が生まれることを目指し、エリアを10個に分けて、それぞれでビジョンの検討・策定を進めました。


「つくる」から「つかう」という発想のもと、地域住民を巻き込みながら策定

ビジョンの実現に向けては、まず、市民・市外の方や社会に対しての意志が起点となります。
そして、その実現に向けては、PR施策、イベントの実施、事業の実施、制度の策定、予算配分などなど、様々な手法が選ばれます。

起点・過程・理想の3つの観点から、松本市の事例を紐解いてみます。

起点:総合計画が契機になり、住民の想い、首長の想いがきっかけに



「基本構想2030」を土台に、第11次基本計画が作られたことが、エリアビジョン策定の契機となりました。そうした際に、コロナ禍を契機に「日々の暮らし」を見つめ直す方も多く、エリアビジョンに対しても「ライフスタイル」「歴史を引き継ぎ、若い世代の発想に期待」「人を結びつける」などの熱い期待が集まっていました。加えて、2020年に新市長が誕生したことも背景にあったようです。

過程:圧倒的な地域住民の巻き込み


今回の勉強会で印象的だった言葉は

「エリアビジョン策定のために、市役所の方に『この人は面白いから話した方が良いと思う』という人をリストアップしてもらい、延べ170人に会いに行った」

「ステークホルダーをリストアップしてもらうと、通常は商工会・自治会・観光協会・地元NPOなどの方だけになってしまう。当然その人たちにも会うが、それ以外に、例えば個人店を経営しているUターン、Iターンの方であったり、なにか活動をしている方など『面白い人』をリストアップしてもらった」
「まずは面白い職員と仲良くなり、その人にリストアップしてもらった」

「約50人に会う時は、こちらの話をするのではなく、聞きに行くことを心がけた」
「約50人は1回会うだけではなく、3回会った。まずはヒアリング。その次に、中間とりまとめへをお伝えし、フィードバックをいただく。3回目で最終案を報告にいき、感想をもらった」

「3回会う時は、同じ人が会う。例えば、同じ会社のメンバーだとしても、人が変われば、相手からすれば『別の人が3回来た』となり、人間関係が蓄積しない」

などなど、圧倒的なボリューム・クオリティの人との接触です。
「できるだけ多くの方から意見をもらい、巻き込み、信頼関係を築いていく」ということは、頭では理解できるものの、ここまでやりきれるのは、本当にすごいことです。

ヒアリングの中では児童・生徒へのアンケートを実施し、さらには庁内でプロジェクトチームをつくり、横串での検討も進めたそうです。

加えて都市工学の考え方である「The Power of 10」をベースに、街を10個のエリアに分けることで、住民を巻き込みながら、街に活気を生み出そうとしています。


「The Power of 10」とは…
10 以上の「アクティビティ」が共生している場は豊かな「場所・界隈」となり、 10 以上の豊かな「場所・界隈」が集まることで個性的な 「エリア」となり、 10 以上の「エリア」が集まることで魅力的な「市街地」を形成するという考え方

ちなみに、街の人口規模によっては「10エリア」に分けるのが難しい場合も、もちろんあるそうですが、その場合でも「10」にこだわることで、街の魅力に気付けたり、活気が生まれたり、などの効果が期待できるそうです。

ビジョン:市民目線のゴール設定


こうしたプロセスを経て作られたエリアビジョンですが、ゴールとしている視点も、市民目線です。
松本市は「世界水準の歴史観光エリア」を目指しているものの、直接的に「世界水準」と掲げたとしても、ゴールが遠すぎて自分ごと化するのが難しかったり、抽象度の高いイメージしか持てないことがあるかもしれません。そこで松本市では、「誰かに語りたくなる暮らし」を合言葉とし、まずは地域の方の暮らしの豊かさを高めることによって結果的に世界水準の街になっていく、というゴールを設定しています。


ビジョンを掲げ、一貫してアクションしていく

「誰かに語りたくなる暮らし」というゴールを掲げ、その実現のために、エリアビジョンの策定の過程においても、圧倒的に市民を巻き込んでいく…
ビジョンと過程のアクションが全て一貫しているからこそ、松本市は注目を集めているのですしょう。

NEWPEACE thinktankでは引き続き、全国の自治体の事例を取り上げていきます。

●今回ご紹介した「松本城三の丸エリアビジョン」
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/soshiki/87/5421.html

●ご担当された会社「ハートビートプラン」さん
(担当:園田さん、新津さん)
https://hbplan.jp/

●NEWPEACE thinktankの連絡先はこちら
https://thinktank.newpeace.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?