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2020.2-

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日記やいろいろ。
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記事一覧

2021.8

朝、職場へむかうために家をでると雨が降りはじめた。アスファルトを白く煙らせながら、ばらばらと音をたてて降る雨。足早に最寄りの駅まで行き、地下鉄に乗る。 地下鉄から降りると、くっきりと晴れていた。雨が夢だったかのような青い空。強い日差し。影がない場所では目をあけるのもつらいほど。 そうだ!と、さっきまでさしていた傘をひらく。日差しよけにもなるし、雨でぬれた傘も職場につくころには乾くはず。そう思いながら背の高いプラタナスが街路樹の道を歩く。 すると、さした傘にさわさわとゆれ

2021.1 - 3

また会えた、 あたらしい春 梅の花びらの てんてんと広がる やわらかい緑 深呼吸 ジンジャー シナモンと クローブは すべてパウダー。 カルダモンは切り込みいれて つぶつぶを出して、すり鉢で。 フィンランドの風がとろけた ジンジャークッキーのスパイス完了。 深呼吸 朝の光は、はやく 夜の訪れは、おそく 少しずつ少しずつ。 ななめからの陽は 私やみんなの影を 長くのばしてくれて コンクリートの歩道を 淡い色に変えてくれて たくさんの記憶の中の 春 と 今 重ねてくれて

2020.10 #2 - 12

ご報告です。夏から治療していた貧血が回復しました。赤血球たちはまるまるふっくらとしてくれたみたいです。しばらく定期的に検査は必要ですが、まずは一安心。 早起きは続いています。朝の空をよく眺めています。空があかるくなる時間が、とくとくと日々遅くなってゆくのを感じながら。そう思っていたら、もう冬至もすぎていたなんて。 さて、10月。再び始まった歌舞伎公演を観に、国立劇場へいってきました。大劇場、ひさしぶり。平櫛田中の鏡獅子。東山魁夷の雪原の絵。まず好きなものたちにご挨拶。

2020.10

10月のおわりに息子と海へ行く。東京湾以外の海をみるのは、今年はじめて。 一昨日「海に行きたいのだけれど」と息子が言ったのだった。そういえば夏にも言っていた。さらに春にも言っていたのだった。その時は「そうだよね、私も海いきたいな。のんびり浜辺で貝を拾いたいよね」などと海への想いを二人で語り合い、けれども実際に行くことはなく、そのままになっていたのだった。 「ずっと旅していないじゃない?なんかね、校庭のトラックをぐるぐる走っているような気持ちになってきた。いつもと違う景色が

ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」岩井優さんの《彗星たち》に参加しました #後編

◆前編のお話◆ 岩井優さんの《彗星たち》の第1回ワークショップで紙袋マスクをカスタマイズし清掃アクションに参加した私。Moiの岩間さんとハラダさんに撮影とストーリー構想に協力してもらい、ふたたび第3回ワークショップへ参加することにしました。 山深い集落で人間と助けあって暮らしていた昔のクママスク族の姿に戻らせてみよう。 第3回・紙袋マスク制作のオンライン会に参加し、“みみずく土偶”みたいな姿を目指しカスタマイズです。 こちら東京国立博物館にて私が撮影した“みみずく土偶”。か

ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」岩井優さんの《彗星たち》に参加しました #前編

岩井優さんは「洗浄」をテーマに活動されているアーティストです。この作品では一般参加者とオンラインを通じてのディスカッション、そして清掃にまつわるアクションが行われます。各自カスタマイズした紙袋マスクを頭にかぶって、清掃アクションを行うのがポイントです。 紙袋マスクを作るとはおもしろそう! そう思い、一般参加者として参加することにしたのでした。 おおまかに《彗星たち》の流れをご紹介します。 1:参加者には黒鉛(グラファイト)が表面に塗られた紙袋が郵送されます。頭にかぶると目

2020.8

8月はほとんど毎日、朝焼けを眺めていた。 それは早い時間に起きようと決心しているからではなく、体のリズムが今は早寝早起きだから。8月に入ってから貧血治療のため処方された鉄剤を一日一回、夕食後に飲んでいる。健康診断の結果で自分が貧血だということを疑ってしまうほど、あわあわとした自覚しかなかったのだけれども、鉄剤を飲みはじめてから、あ、貧血なんだと感じるようになった。 鉄剤の効き目が切れはじめる夕暮れになると、体から休みましょうのサインがでてきて眠くなってくる。お昼すぎにミロ

2020.5 #2

早い時間に、目が覚めた。 空をみてみると、朝焼けがはじまった頃だった。 毎日 太陽が昇り、 沈んでいるのに。 人生で何回 空の変化を こんな風に ゆっくりと ながめるのだろう? 夕焼けをみながら友が言ったことを、こんな時はいつも思い出す。 また一回、みることができたよ、と思う。 朝焼けをみた日、夕焼けもみる。

2020.5

ちいさな虹をみつけた。 高いところにある窓が きらきら光を反射していた。 床をすうっと照らして ちいさな虹をつくっていた。 ゆらゆらみえたら とけるかのように 消えてしまった、 ちいさな虹。 それから ちいさな虹を探している。 けれども みつけることができない。 5月まっすぐな光の日に 窓辺に水を、置いてみた。 ゆらゆらと あわあわと、色かさなる。

2020.4

2020年の4月は、自分の日常の中、自分の住んでいる、ごくごく近くを、見つめるような時間だった。 そこにしか居られなくなったことによって見つめてみると、ささやかだけれど、これまでは気がつくことができなかった発見がある。 空が広がる 雲が流れる 風が吹いた 影が揺れる 鳥の鳴いて 空気をすう。 もし、どれか一つでも欠けてしまったら、どんなに淋しいものだろう。 そして、今私が居る場所と違う場所、そこに居てくれている大切な人、もの。 どちらも尊い。 そんなことも考えた4月。

2020.3 心を動かすことができる力。

息子が6年間通った小学校の卒業式が行われた。 どこまでも広がる青い空、 淡い雲のように咲いた桜、 あたたかな春の日差しの中。 思い出す。 9年前の春。地震の日。 東京の家で息子と私は二人だった。 いくつか物が落ちてきたけれど、それによって怪我をすることはなく、停電や断水にもならずに済んだ。 テレビをつけた。あまりのことに言葉を失い、私はテレビをしばらく消すことができなかった。 けれどその時、私よりも何倍ものショックを受けたのは、当時3歳だった息子の方だったのだ。実際の地

2020.3/1-10

人の出が少ない時間帯をみて、ご近所の自然豊かな場所を散歩しています。 10代前半まで私は北国で暮らしていて、ちいさな頃は雪や木の実や野の花は遊び相手で遊び道具。「ふきのとうが雪から顔を出した」とか「たんぽぽの綿毛が飛びそう」とか、日々ぐんぐん変化するものたちとの思い出は穏やかで色とりどり。 今こんなにも植物をみつめているのは随分と久しぶりで、もしかしたらその時以来かもしれないと思う。息子がちいさい時は毎日公園に行っていたけれど、注視すべきは植物よりも走りまわる息子でした。

2020.2/28

小学6年生の息子は、人生にはいろいろなスパイスがあるという考えを持っている。「こんな時には、人生に一番大切な愛と感動のスパイスを増量するしかない」と言うので、「そうだよねえ」と話していた。 今日、息子が学校に行った後、トイレに入るとトイレットペーパーが三角に折られていることに気づく。そういえば、昨日もその前も三角になっていた。これまで「あれ?」と思っただけだったけれど、もしかして、これは、愛と感動のスパイスかな。 山のような荷物を抱えて小学校から帰ってきていた。6年前はラ

2020.2/18

梅の木が、満開だった。 赤い花をつけた木と、白い花をつけた木。 もう花びらも散り、地面をみたら みどりの色。