見出し画像

毎年同じ成果を出し続けるだけでは成長していないのか?

1年に1回、あるいは半期に1回くらいの頻度で査定や評価、来期の目標設定を従業員に対して行う組織は多いと思います。
その時によく見られるのは「前期からどれだけできることが増えたか」「どれだけ多く確実にできるようになったか」などの差分を評価されやすく、「前期までと同じことをやって、同じような成果だった」という状態は、評価が据え置きになることが多い気がしています。

しかし「同じ成果を繰り返し何度も出せる」ということは一つの評価されるべきことなのではないか、と個人的には考えています。


評価や目標設定では新しいことを求めがち

査定や評価の中でよくある内容としては、

  • 昨期はAができていたけど、今期はBもできるようになったのでプラス

  • 昨期よりもAをこなすスピードが上がり、ミスも減って多くの量の成果を出せるようになったのでプラス

  • 昨期からAができていて、今期も同じようにAをやっていただけなので変わらず

と、今までやってきたことに加えて、新しいことができるようになったりアウトプットの量が増えるのを評価することです。
例えば

  • 昨期までは1人の作業者として与えられた作業をバリバリこなしていたが、今期は他のメンバーの作業の管理などマネジメントも少しやるようになってプラス評価

  • 昨期までもマネジメントでチームを上手く回していて、今期も同じようにマネジメントしていたが、これまでと同じことを継続していただけなので期待値どおりで変化なし

といったようなことです。
これまでできていたことに加えて、新しくなにができるようになったかを差分として、成長しているかどうかを主に判断しています。

来期の目標設定でも同じように、「今期はAができていたので、来期はBもできるようになろう」といった形で新しくなにかができるようになることを求められることが多いです。
これ自体は自身の成長を考えていく上では正しいですし、目標としては持つべきものだと思います。

同じ成果を繰り返していても変化や成長はしている

しかし、同じ成果を繰り返している場合(前述の「昨期からAができていて、今期も同じようにAをやっていた」パターン)は、成長していないのか?というとそんなことはありません。

例えば「作業者としてバリバリこなしている」という状態を何年も繰り返していたとしても、指示を出す人や作業に求められるスピード感、クオリティなど変わっているかもしれません。
「同じチームでマネジメントを続けて上手くチームを回している」という状態が何年か続いているとしても、会社やチームの状況は常に変わりますし、毎年条件が変わる中でも同じようにチームを回していけるようになにかしらの対応をしているはずです。

組織での活動は

  • 業界の動向

  • 会社の財政状況

  • 人員の入れ替わり

など様々な要因によって常にやらなければいけないことは変化していきます。
出している成果としては同じように見えても、やっていることは変わっていっていることがありますし、状況の変化に対応できているからこそ出せている成果でもあります。

「これまでAができていたけどBもできるようになった」というのはできることの範囲が広がったという意味で成長ですし、もちろん求めるべきことではありますが、「これまでと状況が変わった中でもAができていた」というのも一つの成長です。

長く繰り返せるほど再現性が高く価値が上がる

長い期間同じ成果を繰り返し出せていれば、それは長くなればなるほどより成果に対する再現性が高くなり、価値が上がっていきます。
10年間同じ場所で同じ成果を出し続けていれば、それは10年分の変化に対応しながら成果を出し続けてきたということです。

さらにやっていく中で対応できる変化のパターン(例: 人員の入れ替わり、予算の削減、景気の変動、etc…)が増え、ノウハウも蓄積されていきます。
結果それが再現性の高さにつながってきます。

再現性の価値も評価で考慮されるべき

査定などで行う評価というのは、結局は期待値です。
「今までこれだけのことができていたから、来期もこれくらいはできるだろう」という予測のもと報酬などの評価が決まることが基本だと思います。

その時「これだけのことができていた」というやっていたことの範囲が広がったことに焦点が行きがちです。
もちろんそれも正しいですし、成長のために求めていくべきことでもあります。
しかし、「これくらいはできるだろう」という確度がどれだけ高いのか(再現性の高さ)ということにも大きな価値がありますし、そこにもちゃんと着目して評価されるべきなのかなと考えています。

余談ですが、今回のこの話を書こうと思ったきっかけは、趣味のサッカー観戦でソン・フンミンというヨーロッパの強豪リーグで8年連続2桁得点(10点以上)を取っているアジア人選手を見た時です。
スポーツ選手はわかりやすく「今期これだけ活躍した(◯点取ったなど)から来年もこれくらい活躍するであろう」という評価で年俸が決まる世界ですが、「今年始めて10点取った選手と、何年も連続して10点取ってる選手だったら来年も10点取ってくれる確度が全然違うし評価変わるよな」と思った時、他の仕事でも同じ話なんじゃないかと考えた次第でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?