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感覚だけが財産だぞ

Oct 5, 2005(楽天blogより)

感覚だけが財産だぞ

「憲法九条を守る会」に参加してきたと演劇学校の若者が
電話をしてきました。

「なんだか政治色がして気が進まなかったんだけれど・・・
 僕はどの政党も支持していません。
 まだ選挙権もないし。政治に関心がないといっていいです。
 無関心派なんてイヤな言われ方をされても仕方ないです。

 でも、その会でビデオを見たんですけど、なんだか、
 からだがおかしくなったんです。
 自分でもよく解らない初めての感覚です。
 いつも、自分のからだの中に湧き起こる感覚は大事にしろ、 
 と言われている先生に電話したくなりました。

 憲法九条とかは話しか知らないし、勉強もしてないし、
 そんなことより一言で言うと
 戦争には行くたくない〜っていう強烈な感情を持ちました。
 自分のことだけではないです。今、戦争だらけですよね。
 戦争でものすごい怪我をしてる人、殺された人、
 殺されている人の家族、
 その人達のことを思ったら気持ち悪くなっちゃって、
 なんか耐えられない感じで、
 からだが震えてきちゃったんですよ。

 この学校に入って野口体操やってきて、
 自分のからだと大事に対話してきて、
 自分のからだが大事になってきて、
 他人のからだも大事になってきちゃって・・・
 他になんにも財産はないぞ、感覚だけが財産だぞって
 先生に言われてきて、
 俺、感度悪いけど、今日は感じたんです。
 俺が感じたことはなんだったんですか。コレって
 大事にしていいんですよね」


生徒は集団の中ではあまり話そうとはしません。
しかし二人だけになると心の内までよく話してきます。
それにしてもどちらかと言うとことばの少ない彼が、こんなに話すのは初めてでした。
それ以上のことは語ろうとはしませんでしたが、
からだの中心から湧き起こった感覚であり、からだが変わる程の経験だったのでしょう。
なにをするにも自分の実感から出発するしかありません。



「感覚がとらえたことしか思考の材料にならない。
 思考しないと行動できない」
               野口 三千三


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