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フレーミングを理解して、数字に騙されないようにする

こんにちは、セーシンです。

マーケティングにおいては、商品の価格や価値をよりよく見せるために活用されている認知バイアスの1つにフレーミングがあります。

※認知バイアスとは
人間が持っている思い込みや不安、懸念などが原因となって生じる、認知の誤りのこと。自分の頭では正しいと思い込んでいることが、実は認知バイアスによって論理的に歪められていることが往々にして起こる。

フレーミングとは、物事の提示方法や見る角度が変わることで印象が変わり、その結果として判断も変わってしまう認知バイアスです。

例えば、栄養ドリンクのタウリンの含有量の表示で、「タウリン3g」とグラム単位で書かずに、「タウリン3,000mg」とミリグラム単位で書くことがあります。

どちらも同じ分量ですが、3gと言われるよりも、3,000mgと言われる方が分量が多いように錯覚してしまいます。

他にも、年間10,000円のことを「1日あたりたったの28円」と言ったり、「毎月のアパートの賃貸料よりも安い値段でマイホームを持てますよ」と言ったりするのもフレーミングの1種です。

このように、フレーミングを使うことで、同じことであっても相手に対して全く違った印象を与えることができます。

※フレーミングをマーケティングに生かす話は、「【認知バイアス】フレーミングとは【価格設定への応用を解説】」に詳細を書いています。


ニュースの数字を見るときに注意すべきフレーミング

マーケティングでは、もし相手が商品の本当の価値を気づくきっかけになるのであれば、積極的にフレーミングを使うべきでしょう。

しかし、世の中には、このフレーミングを悪用して人々の感情を動かそうとするケースもあります。

例えば、ツイッターで流れてきたこのニュースです。

この記事のタイトルと冒頭だけを読むと「えっ?7,000回分も廃棄しているの、それは大変なことだ。。。」と反射的に反応したくなってしまいます。

しかし、実際にはこの方が書いているように、1,000万回以上の接種で、7,000回分の廃棄なので、廃棄率は0.07%です。

おそらく、7,000回という数字のインパクトを前面に出したタイトルをつけて、自分と自分のまわりの何十回分かしか想像できない人に暗に比較させて「大変な量だ!」と認識させる意図があるように思います。

つまり、日常生活の中の身近な数字を暗にフレーミングに使っているのです。

もし、タイトルが「ワクチン廃棄率0.07%以下」だったら、感情が動かず記事を読んでもらえないので、意図的に7,000回をタイトルにしているのでしょう。

もう1つ気になった記事が、こちらです。

このヤフーニュースのタイトルを見て、きっとコメント欄が荒れているだろうなと思って中身を見たら、案の定「国内対策が先とか」、「国民に配れ」みたいな話が多く見られました。

しかし、冷静に考えると、日本の国家予算は一般会計だけで100兆円以上あります。(参考記事

さらに昨年度の新型コロナ対策のための補正予算は20兆円以上はあるので(参考記事)、仮に20兆円を比較対象として見れば、880億円はその中の0.4%以下の話です。

1ヶ月の収入が30万円の人が、約1,300円を困っている人を助けるのに使ったという話と同じです。(これもフレーミングです)

また、仮に880億円を国民に配っても、1人あたり約730円にしかなりません。

昨年の1人10万円ですら少ないと言っていた人がいましたが、880億円を配りますと言ったら大炎上しそうなレベルです。

ところが、多くの人は880億円という、身近では絶対に扱うことがない金額を暗に比較させるタイトルにすることで、「ものすごく大きなお金を優先順位の低そうなところに使っている」と誤認させています。

おそらく、これも意図してやっているのでしょう。

「補正予算の0.4%分を支援に回す」という見出しでは、誰も読まないからです。


善意でフレーミングを使い、悪意のフレーミングを見抜く

もし、栄養ドリンクのタウリン3gが、消費者にとって意味も価値もあるものなら、それを3,000mgと言って誇張するのは、決して悪い話ではありません。

これは善意で使うフレーミングと言うべきでしょう。

一方で、世の中には悪意のフレーミングも多くあります。

先ほど挙げた2つのニュースタイトル以外にも、消費者を少しでも誤認させようとしたフレーミングはあちこちの広告で見られます。

マスコミを含めた会社は営利団体なので、少しでも気を引くために相違工夫するのは否定するものではありません。

しかし、受け手は示された数字に反射的に反応するのではなく、他の数字と比較して、本当に自分にとって価値のあることなのか?を冷静に見極める必要があるのだと思います。

私もインパクトのある数字を見たときに思考停止に陥って反応してしまうことがありますが、自戒の念を込めて書きました。

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