見出し画像

連載手紙風SS:2通目


『天才なぼくからきみへ100通の手紙』


雲の下で暮らすみんなへ
 
 みんなに1通目の手紙を送ってから、次はなにを書こうか考えていました。1通目は、ぼくが文字を書けるようになって、手紙を送りたいと思った理由。そして2通目は……せっかくだから、初めてみんなに出会った日の思い出を書きます。

 あれは、ぼくがまだ生まれて3か月の頃でしたね。おねえちゃんが最初にぼくを抱っこして「この子がいい」って言ってくれたんです。部屋には他にもぼくのきょうだいが何匹もいたのに、ぼくを選んだ。嬉しかった。

 実は他の子も抱っこしようと思っていたけど、一度ぼくを抱っこしたら離せなくなってしまったんだと、おねえちゃんはあとになって教えてくれました。あの部屋にいた犬のなかで、ぼくが一番だったって。聞いたとき、ふふんと胸を張ったことを覚えています。懐かしいな。今でもぼくがみんなの一番だって、ぼくは知ってます。ぼくは天才なので。
 
 それでは、また手紙を書きます。

空の上で暮らすぼくより



―――――

↓前回


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?