夏巳(藤田ナツミ)

お話を書くのが好きです。ゲームに関わる仕事をしています。(シナリオライター、たまにイラ…

夏巳(藤田ナツミ)

お話を書くのが好きです。ゲームに関わる仕事をしています。(シナリオライター、たまにイラストも)

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

読める(固定用) ◎pixiv→https://www.pixiv.net/users/27602206 ◎ショートショートガーデン→https://short-short.garden/author/808656 ◎NOVEL DAYS→https://novel.daysneo.com/author/natsuo/

    • 連載手紙風SS:6通目

      『天才なぼくからきみへ100通の手紙』 雲の下で暮らすみんなへ  6通目の手紙です。『6』といえば、みんなは覚えていますか。ぼくの誕生月です。確か6月の誕生石は『ムーンストーン』という月の光のような石だった……はず。おねえちゃんが教えてくれましたね。図鑑を見せてくれたけど、ぼくはよくわかりませんでした。  ぼくは今でも、人間が宝石を集める理由がわかりません。ちょっとキラキラしているくらいで、舐めても味がしないでしょう? 食べられないものに、どうしてあんなにたくさんお金

      • 連載手紙風SS:5通目

        『天才なぼくからきみへ100通の手紙』 雲の下で暮らすみんなへ  4月になりましたね。みんな元気ですか。もう桜は咲いている頃かな?  桜といえば、入学式や卒業式。ぼくは学校に行ったことがないけれど、みんなと一緒に暮らした17年の間に、おねえちゃんとおにいちゃんは中学生になり、高校生になり、大学生になり、大人になりましたね。「大きくなったね」「がんばってね」って、親戚のみんなに何度もお祝いされていたことを覚えています。  おねえちゃんとおにいちゃんは、本当に大きくなり

        • 連載手紙風SS:4通目

          『天才なぼくからきみへ100通の手紙』 雲の下で暮らすみんなへ  みんな元気ですか。ぼくは天使様の授業を受けた後、夜になってからこの手紙を書いてます。空の上で見る月は、雲の下から見るよりも何倍も大きくて、月に住むうさぎさんたちの町も見えるんですよ。  月を眺めていたら、みんなと暮らし始めた一日目の夜のことを思い出しました。リビングで寝ていたぼくは、遠く離れて暮らすきょうだいたちを思い出して泣いてしまったんです。あの夜のぼくの泣き声を、みんなは覚えてますか? ぼくがキュ

        • 固定された記事

        読める(固定用) ◎pixiv→https://www.pixiv.net/users/27602206 ◎ショートショートガーデン→https://short-short.garden/author/808656 ◎NOVEL DAYS→https://novel.daysneo.com/author/natsuo/

        マガジン

        • 創作:天才なぼくからきみへ100通の手紙
          6本
        • 創作:短編小説、散文
          43本
        • 創作:絵、漫画
          6本

        記事

          連載手紙風SS:3通目

          『天才なぼくからきみへ100通の手紙』 雲の下で暮らすみんなへ  さて、この間はみんなに出会った日のことを書いたので、今回は初めてみんなの家に行った日のことを書きますね。初めて会った日に、まっさきにぼくを抱っこしてくれて、家族に迎え入れてくれて、とっても嬉しかったけど。いざ家に行ったときは、とても緊張しました。  家に入り、リビングでおねえちゃんの膝の上に座るぼくを、おとうさんやおかあさんやおにいちゃんが期待するような目で眺めてるんですよ。ぼくはどう反応するのが正解か

          連載手紙風SS:3通目

          連載手紙風SS:2通目

          『天才なぼくからきみへ100通の手紙』 雲の下で暮らすみんなへ  みんなに1通目の手紙を送ってから、次はなにを書こうか考えていました。1通目は、ぼくが文字を書けるようになって、手紙を送りたいと思った理由。そして2通目は……せっかくだから、初めてみんなに出会った日の思い出を書きます。  あれは、ぼくがまだ生まれて3か月の頃でしたね。おねえちゃんが最初にぼくを抱っこして「この子がいい」って言ってくれたんです。部屋には他にもぼくのきょうだいが何匹もいたのに、ぼくを選んだ。嬉

          連載手紙風SS:2通目

          連載手紙風SS:1通目

          『天才なぼくからきみへ100通の手紙』 雲の下で暮らすみんなへ  ぼくが空の上に来てから、もう1年以上たちました。おとうさん、おかあさん、おねえちゃん、おにいちゃん。みんな元気にしていますか? ぼくは元気です。そしてとっても天才なので、こちらに来てからずっと勉強を続けて、文字を書けるようになりました。  みんなと一緒に暮らしている頃は、まったく理解できなかった文字。今ではスラスラ読めるし書けるので、先生役を引き受けてくれた天使様にも褒められました。そして勉強をがんばっ

          連載手紙風SS:1通目

          ショートショート:陶器の犬

           とある商店街で出会った陶器の犬。手のひらに乗るサイズの黒い柴犬だった。箸置きに使うものらしい。お利口に伏せた犬の背中に箸を置くのだ。犬は口角を上げて目を細めている。ボクに任せてよとでも言いたげな顔。なんてかわいいのだろう。  犬は一点物ではなく、店の棚にいくつも並んでいた。ひとつずつ手作りのため表情に若干の違いがある。自分だけの一匹を選ぼうと手を伸ばしかけて、止めた。陶器を無事に持って帰る自信がなかった。帰り道でどこかにぶつけて、家に帰ってから犬が割れていることに気づいた

          ショートショート:陶器の犬

          ショートショート:そんな二月二十二日だった

           二月二十二日。今日は『にゃんにゃんにゃん』の猫の日。  せっかくだから、よくウチの庭に遊びに来る三匹の猫の写真を撮りたい。口笛を吹きながらカメラを持って庭を覗きに行き……私は首をかしげた。  猫が一匹しかいない。三匹の中で一番のんびりしているブチ猫が、一匹だけ取り残されたように木の根元で寝転んでいる。 「あれ? 他の二匹は?」  今日はまだ遊びに来ていないのだろうか。私につられて庭を覗きに来た母にたずねると「それが最近、一匹のオスを取り合って喧嘩しちゃったみたいなのよね

          ショートショート:そんな二月二十二日だった

          推し短歌三首

          投稿企画「 #推し短歌 」に参加します。 ただただ健康でいてほしいです。 そしてそんな推しを応援し続けるためにも、自分も元気でいなくてはと思います。 素直に喜べたことが嬉しくて、すごく安心したのを覚えています。 けど、別に寂しい気持ちになるのもいいと思います。 ポロッとこぼれ出たような一言で、本人は次の日にはもう忘れているような言葉だったけれど。 あの頃学生だった私はびっくりするぐらい感動して、その言葉をずっと心の支えにして生きています。 ※みんなのフォトギャラリーか

          短編:太陽に毛布をかけて

          照明まで私を見捨てるというのか! これは深夜三時過ぎ、蔦川月子(つたがわつきこ)がSNSに投稿した一文だ。月子は、つい先月失恋したばかり。艶のあった黒髪も今はパサパサ。心が落ち着くまで酒を飲み甘味を食べまくり、気づいた時には昼夜逆転、生活リズムが崩壊していた。 どっぷり夜型人間になった月子に追い打ちをかけるように、部屋の照明まで調子が悪いのだから困ったものだ。不規則な感覚で点滅するのがなんともいえず不愉快で、諦めて照明を切ると部屋は真っ暗。寂しい布団の中、スマホの明かりを

          短編:太陽に毛布をかけて

          自己紹介・いろいろまとめ

          ■夏巳(藤田ナツミ) ゲームに関わる仕事をしています。 シナリオライター、たまにイラスト。 お仕事のご依頼ありましたら気軽にDM頂けますと幸いです。 Twitter @N_natsuo (メールアドレスも後ほど追加します) ■シナリオ実績 ・ゲーム「茜さすセカイでキミと詠う」一部キャラシナリオ ・ゲーム「リア充はじめました(仮)」一部キャラシナリオ ・ゲーム「ゲス充」一部キャラシナリオ ・女性向け・男性向け恋愛ゲームのシナリオ(非公開案件多数) ・シミュレーションゲ

          自己紹介・いろいろまとめ

          短編:ミモザコーヒー友人付き五百円

          「えぇ? 一時間も……?」  久しぶりに会う学生時代の友人から、待ち合わせの時間に遅れると連絡があった。了解と一言返信してため息をつく。相田桃奈は、すでに待ち合わせ場所に着いていた。無人駅で、周囲には数軒の民家と畑しかない。ここで今から一時間暇をつぶさなくてはいけないのか。どうしたものかと考えて、桃奈は友人に「先に行っていい?」とメッセージを送った。二人の目的は、雑誌で知った古民家カフェだ。無人駅から三十分ほど歩いた場所にある。外で一時間待つよりは、店内でコーヒーでも飲みな

          短編:ミモザコーヒー友人付き五百円

          3~4月書いた小説まとめ

          書いたものをまとめました。 54字の物語と短編小説と報告など。 3月 ■1日 54字の物語 答え・母親 ■3日 54字の物語 答え・五人囃子の謡 ■6日 短編。友情百合。 ■15日 54字の物語 答え・ホワイトデーのマシュマロには、「嫌いです」「お断りします」という意味が込められている ■21日 54字の物語 答え・ぼた餅 ■26日 54字の物語 答え・桜雨 ■30日 54字の物語 答え・八 4月 ■1日 54字の物語 答え・人魚姫 ■6日

          3~4月書いた小説まとめ

          物語CD『おはなしパーク』に収録されている「初雪の姫へ贈る」がポッドキャストで公開されました。冬のお話なのですが、とても優しい声で演じていただき、私は聴いていて胸がポカポカしました。PCやスマホで聴けます。よろしければお聴きください! https://anchor.fm/67acv25tmb8/episodes/ep-e1gkvi9

          物語CD『おはなしパーク』に収録されている「初雪の姫へ贈る」がポッドキャストで公開されました。冬のお話なのですが、とても優しい声で演じていただき、私は聴いていて胸がポカポカしました。PCやスマホで聴けます。よろしければお聴きください! https://anchor.fm/67acv25tmb8/episodes/ep-e1gkvi9

          1~2月書いた小説まとめ

          書いたものをまとめました。 54字の物語と、短編と、作品の掲載情報、公募報告など。 1月 ■11日 54字の物語 ■20日 2月11日発売の『#54字の物語∞(エイト)』に、私の作品も掲載されます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ■23日 NPO法人・声物園様の『物語CD制作寄贈プロジェクト』に作品を採用していただきました。ありがとうございます。 ■24日 54字の物語 ■31日 短編。嫌な話。 2月■1日 54字の物語 ■3日 54字の物語 ■5日 見本

          1~2月書いた小説まとめ